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04 ヒゲを剃る、奴隷を買う

 VIPルームには王様が座りそうなリクライニングシートがあった。

 周囲には酒や果物、そして世界中から呼び集めたような、さまざまな美女が。


 彼女たちはこそが、魔力と電力で動いているという奴隷人形(ゴーレム)

 パッと見は人間と見分けがつかないが、首輪にあるネームプレートで識別ができる。


 美しきゴーレムたちは俺を、ハーレムにやってきた王様のように歓迎してくれる。

 花のような笑顔で俺のまわりにあつまり、シートに誘ってくれた。


 シートにどっしりと腰掛けると、さっそく美女たちの手によってフルーツが口に運ばれる。

 それどころかマッサージや爪切り、髭剃りまでしてくれた。


 いきなり極楽気分を味わっていると、揉み手のコンシェルジュが囁きかけてくる。


「いかがざますかお客様。当店最新の奴隷人形(ゴーレム)によるサービスは。

 当店のゴーレムはなんと、髭剃りや耳かきまでできるんざますよ」


「うん、悪くないね。

 さっそく2台ほど見繕ってもらおうか」


「に、2台もざますか!?

 あの、お客様、当店のゴーレムは1台、最低でも5千万はするざますが……」


「なに、5千万? そんな安物をこの俺に勧めてるのか?」


「ひいっ!? マジセレブっ!? ししっ、失礼しましたざます!

 かしこまりましたざます! 当店最高のゴーレムをご用意させていただくざます!」


「うん、頼むよ」


 そう言って提案されたゴーレムは、1台1億円だった。

 俺はタブレットごしに見せられたスペック表を、フリスビーのように窓から投げ捨てた。


「ぎゃあっ!? 1台50万はする最新式のタブレットがっ!?」


「タブレットも安物だが、この店はゴーレムも安物しかないみたいだな。

 正直、期待はずれだ。

 俺は世界に一台しかないほどのゴーレムを求めてるんだ」


「ひっ、ひぃぃぃーーーっ!? すっ、スーパーセレブっ!?

 誠に失礼、失礼こきましたざますっ! でしたら本社にある最高スペックのゴーレムをご用意させていただくざます!」


 次に出てきたのは、1台5億のゴーレム。

 ボディーガード機能だけでなく、暗殺や大規模戦闘、秘書やメイド、家事や育児、それどころか飛行や潜水までこなせる超スペックのものだった。


 うん、これなら俺のターミネーターとしてはじゅうぶんだろう。

 ターミネーターといっても、もちろんマッチョなオッサンじゃなくて、美少女でナイスバディなデザインにした。


「これをすぐ持ってきてくれるか?」


「はい! もちろんざます! フルカスタマイズではありますが、超特急でお作りして、明後日までにはお手元に……」


「遅い。俺は今日の夕方までには欲しいんだ。もう1億くれてやるから、暴走特急でやれ」


「かっ、かしこまりましたざますぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 この世界はすべてが金だ。金でかなわぬ望みなどない。

 昔は金では越えられない、人間の意地やプライドなどがあったそうだが、今や金は実弾以上の破壊力がある。


 コレを突きつけられて、言うことを聞かない(ホールド・アップ)しないヤツはいないんだ。


 俺のゴーレムができあがるまで、俺はVIPルームでサンプルのゴーレムたちとイチャイチャして過ごす。

 その途中、コンシェルジュがいそいそとやって来た。


「お客様、お代金の11億のお支払いをたしかに確認させていただきましたざます。

 あの、ところでお客様、ひとつ差し出がましいことを伺ってもよろしいざますか?」


「なんだ?」


「なぜ、鎖のついたボーリングの球を持ち歩いてるんざましょ?」


「ああ、俺はワールドチャンピオンクラスのプロボウラーなんだ。

 ボウルは友達だから、こうして肌身離さず持ち歩いてるんだ」


「なっ、なるほどぉ! 私はボウリングに疎いので存じ上げませんでした!

 まさか、ボウリングの世界チャンピオン様だったとは!

 ははーっ! 怖れいったざますぅ~っ!」


「言うまでもないことかもしれないが、俺がここに来たことはナイショだぞ」


「もちろんざます! 当店のお客様はセレブ揃いざますから、そのあたりの守秘義務はバッチリざます!」


 そして夕方になって、ビルの屋上のヘリポートに案内された。

 どうやら納品に間に合わせるために、ヘリをチャーターしたらしい。


 風を巻き上げながら着陸したヘリ。

 そこから降りてきたのは……。


 美女に見慣れたこの目ですら、息を呑むほどに美しい、2体の……。

 いや、ふたりの美少女だった……!


 黒髪ロングの少女はおっとりとしていてあどけない顔立ちで、白を基調としたメイド服を着ている。

 膝上丈のスカートから覗く、レースの白いハイソックスがまぶしい。


 恥ずかしがり屋の女子高生メイドというイメージで注文したのだが、バッチリだ。

 彼女は俺と目が合うと、恥じらうように目を伏せたが、胸部をふっくらと押し上げる胸ははしたないほどに大きい。


 もうひとりは黒髪ポニーテールの少女で、顔立ちは少し大人びていて眼鏡をかけており、ムッチリした身体をカッチリしたスーツに身を包んでいる。

 全男子の憧れであるタイトスカートはお尻の形がハッキリとわかり、そのすぼまった裾から覗く黒いストッキングがさらに色香を加速させる。


 女子高生秘書というイメージで発注したのだが、こっちも申し分ない。

 彼女は俺と目があうと頭を下げ、ブラウスからこぼれんばかりの谷間をこちらに向けていた。


 ふたりは俺の前に並ぶと、かたや新人メイドのようにおずおずと、かたやベテラン秘書のように優雅に自己紹介を始める。


「はっ、ははっ、初めましてご主人様……! 『ポチ』と申します! ふっ、不束者ですが、どうかよろしくおねがいたします!」


「初めまして、ご主人様。『タマ』という素晴らしい名をくださり、誠にありがとうございました。これから生涯をかけて、ご主人様にお尽しさせていただきます」


 犬耳のように飛び出た髪を水平にしているポチと、ポニーテールを猫のしっぽのように揺らすタマ。

 こんな美少女たちが俺のモノになるのかとつい頬が緩んでしまったが、俺は厳しい表情を作ってふたりに言った。


「よし、じゃあお前たちが俺にふさわしいゴーレムかどうか見せてもらおうか。

 後ろにあるヘリを、お前たちができる範囲で破壊するんだ。

 カスリ傷程度だったら工場に送り返してやるから覚悟しろ」


 するとコンシェルジュが仰天し、ヘリのパイロットが逃げ出した。

 大袈裟な反応だが、どうせ機体を少しへこませるのが関の山だろうと俺は思う。


 ポチとタマはお互いの顔を見合わせ、頷き遭った後、


「ししっ、失礼します、ご主人さまっ!」


 ポチがぴょーんと俺に飛びついてきて、タマはヘリに向かって指をパチンと鳴らす。


 次の瞬間、


 ……ズドッ……ガァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!


 ヘリは爆発炎上。

 爆炎や破片の嵐が吹き荒れたが、俺はしがみついてきたポチに守られ無傷ですんだ。


 コンシェルジュとパイロットは逃げる最中に爆風に吹っ飛ばされて軽い火傷を負ったのと、飛んできた破片が尻に刺さって軽傷を負っていた。



所持金 35億円

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