冒険者殺し
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フィンが剣を、私はシャムシールを抜き放って構えて、サーラは鞄から真っ直ぐな棒みたいなのを取り出して構えたわ。
「へぇ、曲刀使うなんてお姫様やるじゃーん! それとそっちの美人さんは、棒? そんな武器でいいの?」
この男は嫌だけど今の意見には私も賛成。 あんなただの棒が武器ってサーラ一体何を考えているのかしら?
そして目の前に立つ冒険者殺しの男が手にしている武器は、小剣と短剣なのだけど、短剣のほうは片刃の方がギザギザでソードブレイカーと言われている武器なんだって。
「一つお尋ねしてもいいですか?」
「殺される前に聞きたいことがあるのなら答えてあげるよ」
「では……おとなしく投降する気はないのですね?」
サーラが相手に敗北を促してみるのだけど、案の定男はヘラヘラ笑って見せてきたわ。
「ない! あるわけがない」
「では仕方がないですね」
「それじゃあもういいかなぁ? こいつら貧乏で大したもの持ってなくてさぁ。
でも代わりにお宝持ってきてくれたからいっかぁ」
友達の死を馬鹿にされた冒険者がブルブル体を震わせたかと思うと、止める間もなく抜刀して斬りかかってしまって、それを男は小剣で難なく受け止めて、冒険者の剣はソードブレイカーによって呆気なく折られてしまったわ。
「はい、しゅぅ〜りょぉ〜」
気がついたときは体が勝手に動いていて、冒険者にトドメを刺そうとしていた小剣をシャムシールでそらして、返す刃で切り返してた。
「ウワッと危ないでしょう!」
嘘つき! それと私だってこれで倒せるなんて思ってないんだから。
と思ったらフィンも加わって2対1になったのだけど、2人がかりで攻撃をしても男は苦しそうな顔をするどころか楽しんでいるように見えたわ。
武器を折られた冒険者は友達が使っていた剣を拾って加わるのだけど、それでもまだ余裕の表情が伺えたわ。
フィンが男の持つ小剣の一撃を受けそうになったとき、サーラが棒で防いでくれて私たちの援護に回っていてくれたみたい。
「守りは私が引き受けます」
「おねぇちゃんやるねぇ、今の一撃を後ろから防ぎにくるかい」
男の攻撃がさらに増すけれど、その攻撃はどれもサーラが見事なまでに防いでくれるから、私たちは攻撃に専念するのだけど一向に当てることすらままならない状態だったの。
このままではいずれ押し負かされる。 そう思ったときだったわ。
後方から地響きを立てながら騎兵たちが向かってきてくれたの。
「ちっ! あんたたちも運がいいな、だけど俺を見た獲物は絶対に逃さねぇぜ! せいぜい怯えながら待ってろよ。 特に……お姫様」
舌なめずりなんかさせて気持ち悪い!
「逃がすか!」
フィンが捨て身で掴みかかろうとしたけど、その手は空を切って気がついたら男の姿が見えなくなったの。
「姫ー! 姫は無事でございますか!」
やばっ! あの声ってマクシミリアンじゃない!
「ヤベェ親父だ……」
騎兵たちがたどり着いて男を捜索するけど結局見つからなかったみたい。
「ご無事で何よりです。 姫!」
「マクシミリアン、助けに来てくれてありがとう。 フィンのおかげで助かったわ」
「愚息がお役に立てて良かったです」
「親父、すまない……」
「今はいい、それより4人がかりで倒せないとは噂に聞いていた以上か、それとも……いやなんでもない」
ひとまずこの後王都まで騎兵に護衛されながら戻った私たちは、ここにきてやっと唯一助かった冒険者と話すことができたの。
「大丈夫? 友達を助けられなくてごめんなさい……」
「い、いい、いえ! プリンセスにここまでしてもらえただけで……仲間たちも喜んでいると思います……うぐっ……」
「貴方の名前を伺ってもいいですか?」
「あ、はい、失礼しました。 僕はアルバロ=ロドリゲスです。 【愛と美の神レイチェル】所属の冒険者の神官戦士です」
「まぁ、私のひいお祖母様の神官なのね」
アルバロは頭を何度も下げながら私たちの元から力なく去って行ったわ。
そしてフィンもまたマクシミリアンに呼ばれているからって肩を落としながらとぼとぼ帰っていっちゃった。
やっぱり怒られちゃうんだよね、ごめんねフィン。
「私は少し用事ができましたので、ララは王宮に戻っていてください 」
サーラまでそう言って何処かへ行っちゃった。
私は1人で王宮まで戻ってログェヘプレーベの元へ向かったの。
「これはプリンセス、私に何か用事でやがりますか?」
「うん、ログェヘプレーベにもっと剣の稽古をつけて欲しいの」
そうしたらログェヘプレーベが難しい顔をしちゃった。 ダメだったかなぁ?
「私がプリンセスに教えられることは全て教えやがりました。 ここから先はプリンセスの経験でやがりますね」
経験かぁ……冒険者になっちゃおうかしら? なーんてね。




