フィンとの出会い
いつも読んでくれてありがとうございます。
結局冒険者ギルドでの毒物混入の犯人はわからずじまいのまま時は流れていき、早いもので私は12歳になったの。
もちろんあれ以降も時折私の身の回りに不穏な事は起こったけど、サーラや火蜥蜴のおかげで何事もなく過ごせたわ。
そうそう、この頃から少しだけサーラとも仲良くなったのよ?
「毎回毎回、なんなのだあの付き人は!」
「恐ろしいほどの勘の持ち主ですニャア」
「こうここまで妨害されるとなると、あの付き人をまずどうにかするのが優先だな」
マクシミリアンと猫獣人の女がまた悪巧みを考えているみたい。
knock knock!
と、そこにノックする音が聞こえて、慌てて猫獣人の女は身を隠したわ。
「親父ちょっといいか?」
「む、フィンか? 入れ」
フィンと呼ばれた男の人はマクシミリアンの息子で、如何にも武人といった端正な顔立ちで、今王宮でも女性に人気の若き期待のホープらしいんだって。
「何の用だフィン」
「ああ、俺ももう15歳になったんだ。 いい加減親父の従者じゃなくて、一人前の王国の兵としてやっていきたい」
「ふん、王宮で期待されて人気があるからといって調子にのるんじゃない。お前なんぞまだまだ……待てよ……」
「なんだよ親父」
「お前におあつらえ向きの仕事をくれてやろう。 王女の護衛、どうだ? 責任重大だが出来るか?」
「ちょっと待てよ親父、姫様の護衛なら付き人のサーラさんがいんだろ?」
「嫌ならいいぞ?」
「……わかった、やってやるよ姫様の護衛ってやつをよ!」
フィンが出て行くと隠れていた猫獣人の女が姿を見せて、どういう事か聞いてきたわ。
「なに簡単な事だ。あいつは王宮で女共に人気があるらしいからな。 王女の側に護衛としておいて、あいつを好きになって結婚してくれれば、親である某が実権を握ったも同然だろう?」
「相変わらずやり方がセコイっていうか、姑息ですニャア」
「なんか言ったか?」
「何も言ってないですニャア」
「ふふふ、フィンよ、某のためにもしっかりと王女の護衛をするのだぞ」
なんだかわからないけど、そう思う通りになるのかしらね?
当然そんな事を知らない私は今日も午前中はアルナイル先生に勉強を教えてもらって、午後からはサーラと王都に出かける予定よ。
10歳過ぎた頃から王都に出かける事も増えてきて、12歳になってからは御忍びではなくて、ちゃんとプリンセスとして出かける様にもなったの。 もちろん振る舞い方の練習なんだけどね。
だから御忍びで出かけた時の方が、気楽だし素の王都の姿が見れて好き。
それで今日はプリンセスとして出かける振る舞い方の練習なのよねぇ……
そういうわけで御忍びと違うから、あるきにくいドレスに髪の毛を念入りにブラシをかけて編み込んで纏めあげたら、ティアラを乗せて準備オッケー。
王宮をサーラと出ようとした時、またマクシミリアンが私たちを止めてきたよ。
「なんでしょうかマクシミリアン将軍」
「実は今日から2人に護衛を付けたいと思ってな」
「サーラがいれば安心だから平気よ」
「そういうわけにはいきません。 付き人に守られているなんて我ら王国の兵士からすれば恥部となってしまいます。 ここは軍からも是非1人護衛を付けさせてもらいますぞ」
言い出したらなかなか引き下がらないマクシミリアンを相手にするのは大変なのよねぇ。 ここはサーラに任せちゃお。
「サーラはどうなの?」
「確かに護衛もつけず、付き人だけというのは奇異の目で見られてもおかしくありません」
「そうねぇ……じゃあお願いしちゃおうかしら」
そうとなるとマクシミリアンが妙に張り切りだして、1人の男性を合図して呼んだの。
「フィン=ミュラーです。初めまして姫様、それとサーラさん、お二人は自分が命をかけて守ってみせますので、よろしく頼みます!」
ふーん、歳も近そうだし印象も悪くないわね。 フィン=ミュラーね……ミュラー!?
「ミュラーってもしかして……」
「あ、はい! 自分はマクシミリアン=ミュラーの息子です」
うそっ! この人がマクシミリアンの子供なの!? 似ても似つかないじゃない!
驚きの表情を向けるとフィンも察した様で、頭を掻きながら照れ笑いを浮かべてるわ。
「それではララ行きましょう。 護衛の方お願いしますね」
「おう! 任せてください」
王宮を離れていく私たちの後ろ姿を見送りながらマクシミリアンがほくそほほえんでいたわ。
そしてしっかりやれよ、息子よって呟いているの。
やっとフィンが登場するところまで来ました。




