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怪しい連中

 一度部屋を出てサーラの姿がない事をお父様とお母様に伝えに行くんだけど、2人共特に気にしている様子もないの。



「サーラはララと違って大人なんだから心配ないさ」


「……そうですよ」


 お父様もお母様もさらっと言ってるけどおかしくない? だってサーラは仮にも私の付き人なんでしょ? 付き人って普通は常に身の回りのお世話をするものなんじゃないの?


 そもそも、サーラって何者なんだろう?


 そんな事を考えながら部屋に戻るとサーラの部屋から物音が聞こえた気がしたの。



「あれ、サーラいるの?」


 扉が開いてサーラが当たり前のように出てきたよ?

 お父様とお母様の部屋と私の部屋は離れてはいるけど隣のはずで、この短時間で通り抜けて戻るには思い切り走っても間に合わないはずなんだけど……



「人を訪ねておいて考え事ですか?」


「え? あれ? サーラいつの間に戻ったの?」


「何を言ってるんですか? 私ならずっとここに……あ、いえ、先程まで少し出ていました」


 絶対に怪しい、サーラは何か隠してるわ。



「何処に行っていたの? サーラは私の付き人なんだから行き先ぐらい報告するものなんじゃないの?」


 ふふん、いつものお返しなんだから。 さぁ、サーラはどうするのかなぁ? くふふ。



「冒険者ギルドに向かい、その後知り合いとばったり会って話に花が咲いてしまい遅くなりました」


 うん、筋は通っているわよね。 でもどうやって戻ってきたのかよ。



「帰りはその知り合いの魔法で戻ったんです」


「なんだそうなのね、なんでなにか隠してるみたいな言い方していたの?」


「仮にも魔法で城に侵入したようなものですよ? 答えにくいに決まっています」


「……あ、そうね」


 とまぁ上手い具合にサーラに騙されちゃったんだけど、この時の私は納得しちゃったのよね。



「それでウルヴィスはなんて?」


「まだ調査中だという事でした。 さぁもういい時間なので休みましょう」


 よく見たらサーラの顔に疲れが見えたから、そこで話をやめて眠る事にしたの。





 私が寝た後、サーラは部屋でまだ起きていたの。



「あっぶなかったなぁ……」


“あの子なかなか勘が鋭いな”


「ああ……しっかしイフリートの奴、全然役に立ってないなぁ」


“俺っちちゃんと止めたさぁ、けどよぉ俺っちだって身バレないようにってなると結構難しいんだわさ”


 火蜥蜴(イフリート)もいつの間にかサーラのところに行って言い訳しているよ。


“それはお前が筋肉だるまだからだろ”


“違わい! このワンころが! あの子は暴走すると精霊(ひと)の話なんか聞きゃしないんだぞぉう!”


「……確かにそれはわかるな。 疑われっぱなしだと動きにくくなるから仕方がない、しばらくは大人しくするしかないな」


 なんだか言われたい放題に言われてる気もするけど、隣の部屋で眠ってる私にはどうにもならないわよね。


 最終的にサーラがもっと気をつけるっていう事で話を終えてサーラも眠りについたみたいね。






 そしてまた別の場所では怒りに身を任せている怒鳴る人物がいたの。



「くそがぁぁ! 某の策が失敗しただと! しかもよりによって冒険者ギルドの狼野郎(ギルドマスター)にではなく、あの付き人風情の女に見抜かれたと言うのか!」


「ですが足取りはしっかり掴めないようにしてあるので安心してくださいニャア」


「当たり前だ! 某が仕向けた事などとバレるわけにはいかん」


「しっかしなんでまたこの様な事をするんですかニャア?」


「王がすっかり腑抜けになったからだ。 ララノア姫が誕生されてからというもの、野盗ごときに王宮が一時的にとはいえ占拠されるような事態に陥るなどあってはならん事だ!」


「いや〜……それはこの国の将軍であるマクシミリアン様にも責任があるのではニャイかとぉ〜」


「何か言ったかね!? まったく救ってやった恩も忘れてニャアニャアとうるさい」


「雇うときにニャアニャア言えと言ったのは将軍でしょうが……」



 なんてこと……冒険者ギルドのお茶とお菓子に毒を入れたのは、マクシミリアンとこの猫の女獣人の仕業だったのね。



「でも将軍、こんな事をしてどうするつもりなんですかニャア?」


「決まってる。 頼りにならない王に変わって、某がこの国の新たなる王になるからだ!」


「大丈夫かニャアこの人についてて……」


「何か言ったかね?」


「べ、別に何も言ってないニャン。 だけど将軍、お姫様を陥れてどうするつもりだったのかニャン?」


「何簡単な事だ。 王の怠惰を指摘し王位を退いてもらう。 またはこの国初の女王になるであろうララノア姫が、如何に頼れぬ存在かをアピールできれば良い。 某自身が恐ろしい……まさに完璧だ!」


「う、腕は立つけど……恐ろしいほどバカだニャン」


「何か言ったかね!?」


「な、何も言ってないニャア……」


 つまりマクシミリアンは、お父様の失脚を狙ってるみたいね。



「それで、次はどうするつもりですかニャア?」


「今回の一件ですぐに手を出せば尻尾も出やすくなってしまう。 しばらくは静観するぞ」


「はぁいですニャア」




 なんだか私の知らないところでいろいろあるみたい。

 でもサーラもマクシミリアンも今回の一件で慎重になったみたいで、しばらくは何事もなく過ごせたの。



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