模様替え
少女期の始まりです。
付き人サーラが紹介されて、まずは暮らす部屋を決めることになるんだけど、どういうわけか私の部屋に向かいだしたの。
「なんで私の部屋に行くの?」
「護衛も任されているから当然です」
うえぇ、まさかとは思うけど寝食共にするっていうのぉ?
私の部屋に入るとサーラはキョロキョロして、クローゼットのある部屋に向かったの。
「ここがいいですね。 衣類は後ほど衣装ケースを用意してそこに移してしまいましょう」
「ちょ、ちょ、ちょーっと待って! まさかサーラそこで寝るの!?」
「何か問題でも?」
「ある! あるあるある! 大ありよ! 私のプライバシーはどうなるのよ!」
「……ない。 あるわけがないでしょう? プリンセスはご自分の立場が分かっているんですか?」
っな、ありえないわ! これは何が何でもお父様に直談判しないとダメね。
部屋を出ようとしたところでサーラが呼び止めてくるんだけど、そんなのどうでもいい。 監視されながら生きるような人生お先真っ暗だわ。
お父様のところへ向かったはいいけど、サーラも当然のようについてくるの。
「ねぇサーラ、私これからお父様のところへ行って、貴女のことを断りにいくわ。
もう辞めてもらうからついてこなくてもいいわよ?」
「どうせ無駄だとは思いますが、ご自由にどうぞ」
ウキーーーー! なんなのよ一体! こうなったら何が何でも辞めてもらうんだから!
お父様とお母様の部屋に入った私はさっそく涙ながらにサーラの事を話したの。
だけど返ってきた答えはノー。
「つまりお父様とお母様は何が何でもサーラを辞めさせる気はないって言うのね!」
「こればかりは諦めてくれララ」
「もうお父様なんか嫌い!」
「頼むよララ」
「大っ嫌い!」
いつものお父様ならこうすると折れてくれるのをわかってる。
ふふん、これでサーラとさよならよ。
「ダメだ」
え? お父様今なんて……
これだけ私が言ったのにお父様が聞き入れてくれなかったことなんて一度もなかったのに。
落ち込んだ私の様子を見たお父様が、困った顔で私じゃなくて、サーラの方を見ているんだからさらに落ち込んじゃう。
「ではこういうのはいかがでしょう。 私が一緒なら王宮の外、王都へ出歩くことも許可するというのは」
すごく魅力的な提案だけど、なんで付き人のサーラにそんな権限があるのよ! そんなのお父様だって許すわけないじゃない。
「そうだな、その条件つきでサーラに付き人をしてもらうのならどうだララ」
な、なんでぇーーーー!?
でもでも憧れの王都散策ができるのよね。 でも待って。 ここで大喜びなんてして見せたらなんかうまく乗せられたみたいで嫌だから、そう、そうよ、渋々ながら言うの!
「わ……わかりまひた……」
か……噛んじゃったーーーー!
もう気分はすっかり王都に行ける事で頭がいっぱいになりすぎてるよぉ。
「というわけだからサーラ、ララを頼んだ」
「承知いたしました」
結果的に私がサーラを付き人として認めることになってしまい、早速部屋に戻って模様替えが始まったの。
「私のお古になってしまいますが質は保証いたします」
そう言って肩からたすき掛けにかけていた鞄からニューッと衣装ケースが出てきたの。
「な、な、なにこれぇ!」
「プリンセスは知りませんでしたか? この鞄はホールディングバッグといって、入る容量はそれぞれ異なりますがたくさん入れても重さも外見も変化がないマジックアイテムなんですよ」
「へ〜、サーラって凄いものを持っているのね」
にっこり微笑むサーラがとても綺麗で思わず見惚れちゃった。
サーラがテキパキクローゼットの衣類を衣装ケースに移したりしている間暇になった私は、何をするでもなくサーラのやっていることが珍しいことばかりで、いろいろ聞きながら見ていたの。
話してみて悪い人じゃないんだなってこの時ほんの一瞬でも思った自分を呪いたかったけどね。
「これで終わり」
クローゼットの部屋は扉を閉められていてどういう風になったか気になった私は、サーラに見せてもらってもいいか聞いて見せてもらったの。
「うわぁ……」
衣装だらけだった部屋がすっかり変わって、ベッドからなにから揃ってるよ。
そこで机の上にある小さな額縁のようなものを見つけた私が覗いてみると、そこにはサーラと真っ赤な髪の毛の女の人とエルフの女の人、赤毛の女の人の姿が今にも動き出しそうな、まるで本物がそこにいるみたいな絵があったの。
「これは何?」
私がそう聞くと初めてサーラが慌てた様子を見せて「私にとってかけがえのない大切な人たちです」って返事が返ってきたの。
もう一度覗くと全員楽しそうに笑顔を見せていて、とっても幸せそうに見えたわ。
でも後ろに写っている背景はいったいどこなんだろう?
そんなこんなで夕飯もなぜか私達と一緒に食べて、眠りについたんだけど……
クローゼットだったサーラの部屋では話し合いが行われていたの。
「イフリート久しぶりだな」
“サハラ生きてたんだな! 感動の再会にキスしてもいいか?”
「気持ち悪いから断る」
“お前はサハラから離れたんだ。 サハラの契約精霊は俺だけで十分だ”
“お! ワンコちゃんもいたのか!”
“うっさいこの筋肉ダルマ!”
「イフリートもフェンリルもその辺にしてくれ。 それよりなんだってお前がララノアといるんだよ」
イフリートは事の成り行きを芝居仕立てで説明していったの。
「なるほどな、とりあえず俺はお前の事は知らないことにしておく。 それともう一つ、ララノアなんだけど変わったところとかはないか?」
“変わったところかぁ、心根の優しい良い子だぁあの子は。 サハラが心配するような子じゃ絶対ない”
「そうか……今9歳だろ? キャスがいれば参考になったかもしれないんだけどなぁ。
まぁもうしばらく様子見だな」
“俺の出番は当分なさそうだな?”
「我慢してくれフェンリル。 赤帝竜達なんか俺に会えもしないんだぞ」
“わかったよぉ”
まったく……人の知らないところでこんな密会が開かれていたみたい。
幼少期ラストで半ば少女期でもあったんですけどね(^_^;)
少し大人になってララノアの言葉使いが変わってきています。




