ついにこの時が……
ブックマークありがとうございます。
その夜は目に焼きついたモノが脳裏を離れなくて、なかなか寝付けないでいた。
「す、すごかったな……男の人のって、あんな風になっちゃうんだ……」
思い出すだけで、なんだかすごくドキドキして体が火照ってきて、昔、アルナイル先生に教わった性教育の事を思い出しちゃう。
知らず知らずのうちに手が勝手に身体に伸びていった。
「……っん!」
声が出たところで自分自身がやってる事に気がついて手を止める。
やだ……私、キュモヲタのを見て欲情しちゃってる!?
誰もいないはずの部屋をキョロキョロ見回したあと、 なんだかモヤモヤした気分のまま横になっていたらいつの間にか寝ちゃっていたみたい。
突然、部屋の扉がすごい勢いで叩かれて私は目を覚ます。
返事を待たずに扉が開け放たれてキュモヲタが飛び込んできた。
「ララノアたん!」
上半身を起こして目をこすると、キュモヲタの姿が近づくのが確認できる。
まさか以前みたいに魔法でさっきのを見られてたんじゃ……なんて心配になって身体を強張らせながら顔が赤くなってるのが自分でわかる。
「な、なにか用?」
内心はあの事を言われるんじゃないかとドキドキしながら、素知らぬふりで返事を返す。
「大変だ! 報せで、オークが視認されて、ヴィロームに進軍してくるかもって早馬が来たんだな!」
心配していたことと違って、なんだかちょっぴり安心してホッとする。
「ララノアたん! 寝ぼけてる場合じゃないんだな!」
私がボーッとしているように見えたのか、キュモヲタが肩を掴んで揺すってきた。
だんだんはっきりと状況がわかってきた時、キュモヲタの顔が眼前に迫ってた。
「ララノアたんがドラウ進軍を任されているんだから、しっかりして欲しいんだな!」
「え、あ、うん」
普段と違うキュモヲタの態度に驚きながらも、先ほど見たモノが思い出されてドキッとしちゃう。
パンッ!
私の顔の前でキュモヲタが手を叩いて完全に我に返って頭をふる。
「ごめんなさい、私寝ぼけてたみたい。 それで状況は?」
飛び起きて着替えをしながら状況の確認をする。 着替えを見られていることなんて今は気にしていられない。
キュモヲタも目を伏せながら状況を説明してきた。
早馬が来たのがつい先程で、報告が済むとその足で王都へ向かったそうだから、今日の夕方には王宮にいるお父様にも報せが届くだろうって。
「という事は、オークの視認がドラウの進軍だったら、おそらく今頃ヴィロームはオークの波に飲まれているかもしれないわよね。 私は今からすぐに王都へ戻るわ。 キュモヲタはヴォルフの兵を招集して。 えっと臨時の冒険者もね!」
「わかったんだな!」
キュモヲタに一度笑顔で頷いたあと、私は窓に駆け寄って外を見ると、日が昇り始めて明るくなってきている事に感謝しながら、グリフィンを呼んで飛び乗る。
「グリフィン、王宮に急いで!」
ピピッピ!
空を移動しながら考える。 ついにドラウの進軍、その尖兵であるオークが姿を見せた。
どんなに早い馬だろうと空を駆けるグリフィンにはかなわない。 早馬よりも少しでも早く着いてお父様に伝えなくちゃいけない。
私の気持ちに応えるように、グリフィンも振り落としかねないほどの速さで飛行してくれる。
王宮へは日がまだ出ているうちに辿り着く。 すぐにお父様の元に行って、この話をしてしばらく経ってからログェヘプレーベが早馬がついた事を知らせに来た。
「ララ、分かっているとは思うが遊びはここまでだ」
そう言ってお父様は見ておけとでも言うように、マクシミリアンに王宮にいる全兵力に戦に行ける準備をして集結させるように指示を出して、ログェヘプレーベには援軍の要請と、冒険者ギルドに臨時召集令状を出すように指示を出す。
「ララ、お前はここを守っていろ。俺がいない間はお前に全て任せるからしっかりやっておけ」
「はい、お父様! お任せください」
返事を聞くが早いか、お父様も戦いに向かう準備をしに向かった。
タイトルで勘違いして、勝手にエッチィ想像した人なんていないよね?
無いから、あり得ないんだから!
そんなわけで、私の恋の行方はオークが現れた事で、決まる事もないまま終わった。
マクシミリアンは全兵士に戦の準備の指示を出したあと、猫の女獣人を呼び出していた。
「いいか、貴様は十分それがしの恩に報いた。 今日この日をもって解放する、今後は貴様の好きにするがいい」
「しょ、将軍、それってまさか死ぬ気かニャ!」
「死ぬつもりなど毛頭ないが、過去の文献を見る限り国が滅びるか否かぐらいの戦いになるそうだ。 もう、ニャも言わないでいいぞ」
猫の女獣人の目に涙が浮かんでボロボロこぼし出す。
「嫌ニャ! 僕はまだ恩を返しきってないニャ! だから将軍は必ず生きて帰ってくるのニャ!」
マクシミリアンはこの猫の女獣人の反応に驚き、また困惑する。 だって、マクシミリアン自身は利用しかしてないつもりだったのだろうから。
「なら一つ頼みごとをして……するぞ。 某がいない間は、某に従うようにフィンに従うのだ。 分かったな馬鹿猫。 一刻を争うのだもう行く」
あとに残された猫の女獣人はその場にへたり込んでしくしく泣いてる。
「あの人の言ったようにフィンを見てあげてくれるかしら?」
え? と顔を上げるとミュラー夫人が優しい笑顔で見つめていた。
存在がばれたことで慌てるのだけど、ミュラー夫人はずっと前からもう気がついていたんだそう。
「あんな人だけど、あなたの事、たぶん本当の娘のように思っていたんじゃないかしら」
猫の女獣人がそれを知ってワアァァァって泣き出した。
「それにあの人なら大丈夫。 だって、私に告白する為だけに王国最強の兵士になったんだもの。 馬鹿だから未だに私の為に上なんか目指して、貴女と悪巧みしてたみたいだけど……貴女がわざと失敗させてくれていたのよね?」
感動的に思われたんだけど、
「ウニャ? それだけは僕に落ち度は1度だって無いのニャ?」
それを聞いたミュラー夫人が苦笑いを浮かべてひくつかせた。
マクシミリアン=ミュラーは本当の馬鹿だった…………
これでこの章は終わりです。 次話から新章に入ります。




