一緒に入浴しちゃいます
ララノアが少し遅い思春期に入っています。
ヴェニデの町からヴォルフの町まで戻った私は、そこまま領主の屋敷に向かった。
「これはプリンセス、ようこそお待ちしておりました」
「や、やぁララノアたん……」
あれ? なんだかキュモヲタが元気ないみたい。
到着したのが日が落ちる前で、食事までまだ時間があるからキュモヲタに元気がない理由を聞く事に。
「なんだか元気ないみたい?」
「う、うん、なんだか急に自信がなくなってしまったんだな」
どうも話を聞く限り、フィンとアルバロ、ジークフリートの3人と比べた時に、自分なんかじゃ到底相手にならないし、私に嫌われるようなことをしちゃってるから半ば諦めちゃってるみたいだった。
「だ、だから僕なんかと無駄な1日過ごさないでもいいんだな」
「私と結ばれるのは、キュモヲタの中では決定事項じゃなかったの?」
「あ、あれは僕が能天気だったんだな。 ララノアたんとは一番歳も離れてるし、デブだし、気持ち悪いし、いつもエッチなことしか考えてないんだな」
あはははは……はぁ、疲れてきた。 なんかお悩み相談になってきたよ。
ちなみに話を聞いて分かった事は、キュモヲタって名前は実は愛称で、正式にはキュールモアタ=ボナパルトって言う立派な名前があるんだそう。
そういえばお父様はちょっとキュモヲタの名前の呼び方がおかしい気がしてたんだけど、キュールモアタって言っていたからだったのね。
ヴォルフ領主は元々レドナクセラ帝国時代からの臣下の末裔で、ウィンストン公国には付かず、ガウシアン領土になった時もマルボロ王国になっても土地に残ったんだって。 だから本来はとても由緒正しい家柄なんだけど、主君が変わるたびにその主君に従うから疎まれているらしいの。
「もし嫌だったら私、こうして来てないよ。 それにね、戴冠式の時、メビウスの貴族から守ってくれたの嬉しかったんだよ?」
そうしたら凄く照れながら私が困っていたのを放っておけなかったって。
「そういえば私、まだあの時のお礼してなかったよね。 どんな事がいい?」
「じゃ、じゃあ結婚してください」
「それはダーメ。 他の事ならなんでもいいからさ」
「ほ、ほほほ! 本当に!!」
あ……勢いでなんでもとか言っちゃった……
「えーと、良識の範囲でお願いね?」
「じゃ、じゃあ……」
…………キュモヲタが望んだのは私とお風呂に入りたいだった。 もちろんお互い湯衣は着るっていう条件で。
前回この町の宿屋に身分を隠して泊まった時に湯衣を着て入ったけど、さすがにやっぱ恥ずかしい。 ……のだけど、正直異性の裸にちょっぴり興味があってつい了承しちゃう。
夕飯も食べて一度私に当てられた寝室にいると、キュモヲタが呼びに来て一緒に浴場に向かうんだけど、今更ながらとんでもない要求を了承した事に後悔の念。
それでもって湯衣に着替えるから、先にキュモヲタに入ってもらって後から入る事に。
当たり前だけど既にキュモヲタがお風呂に入って待っていて、私が入ってくると私の湯衣姿に興奮した顔を見せてる。
「は、恥ずかしいからジロジロ見ない! このまま出ちゃうよ?」
「は、はい!」
慌ててキュモヲタが背を向けてくる。 その慌てる姿がちょっぴり可愛い。
少し距離を置いてお風呂に浸かって、 キュモヲタの方へ向くと、すっごく嬉しそうに見てくる。
「そんなに女の子と一緒に入れて嬉しいの?」
「も、もちろんなんだな」
「それなら宿屋の浴場に行けばいいんじゃない?」
「そこはやっぱり、大好きなララノアたんだからに決まってるんだな!」
あはは……とか笑いつつも私の目は、お湯が揺らいで見えないキュモヲタの裸に目が行こうとするのを誤魔化しながら話をする。
男の人の湯衣は腰に巻くだけみたいで、それ以外は裸。
キュモヲタの裸に別に興味があるんじゃなくて、なんだか最近無性に異性の事が気になりだしたというより興味がある。
これは前にアルナイル先生に教わったことのある、異性を気にしだす思春期というものなんだと思う。 もっとも私の場合、王宮暮らしの王宮育ちで、最近になるまであまり異性と接する機会が少なかったからかなり遅かったのかも?
とにかく相手が誰であれ、いろいろと気になってしまう年頃のようで自分でも困っちゃう。
「き、気になる、のかな?」
「え! え? な、何が?」
「さっきからチラチラ僕の方を見てるんだな」
……気づかれてた! ど、どうしよう!
「そ、そうじゃなくて、ただ私はキュモヲタが以前より痩せたなぁって思っただけ」
慌てて言い訳をしたんだけど、ニマーっとキュモヲタが笑ってまるで見透かされているみたい。
「そんな顔するならもう私先に出るからね!」
慌てて謝ってきて、なんとか誤魔化せた、のかな?
それからしばらく会話を楽しんだあと、キュモヲタが暑いからもう出ようかって言い出す。 なら先に出るねってお風呂を出た。
湯衣を脱いで身体を拭いてから着替えを済ませて、キュモヲタに良いよって声をかけるんだけど返事が返ってこない。 おかしいなって覗いたらズルズルと徐々に沈んでいくキュモヲタの姿が見えた。
「キュモヲタ!」
大きな声で呼ぶけど返事は無くて、もう首の辺りまで沈んでいて人を呼んでくるだけの猶予もなさそう。
急いでキュモヲタを引っ張り上げてお風呂から出して仰向けにさせたけど、のぼせていて意識が朦朧としているみたいで起きあがらなかった。
……と、そんな私の目にあるモノが目に入ってしまう。
わ、わ、わ……み、見ちゃった。
引っ張り上げたせいでキュモヲタの湯衣が取れちゃって丸出しになってる。 つい興味が勝って両手で口を押さえながらもついマジマジと眺めてしまう。
彫像で見たのとそっくり……
そこでハッとなって頭をブンブン振った後、キュモヲタに水をかけてみてしばらく近くで様子を見る。
「……う、」
「大丈夫!?」
「ぼ、僕は?」
「のぼせて倒れちゃったみたい」
そうなんだって身体を起こして湯衣が無いことに気がついて私を見てくる。
「キュ、キュモヲタが危なかったんだから仕方が無いでしょ! ……それに前に私の裸だって見たんだから……」
これで、おあいこなんだから!
なんて思っていたら、先ほど見たモノが徐々に大きくなっていって、まるで蛇が鎌首を持ち上げるようになっていくのが目に飛び込んでくる。
す、すごい! こんなになっちゃうんだ……
思わず両手で口元を覆いながらも初めて見る大きくなったモノに魅入って、ビクビク動くそれをしばらく見つめちゃう。
視線を感じて我に返るとキュモヲタが嬉しそうに私の事を見ていて、真っ赤だった顔がさらに赤くなるのがわかる。
「み、見たの初めてなんだな?」
「……うん」
「触ってみても良いんだな」
手を伸ばしてそっと触れようとしたところで自制心が働いた。
「な、何させようとしてるのよ! キュモヲタのエッチ! 変態!」
私は慌ててお風呂場から立ち去って部屋に戻った。
は、初めて男の人の大きくなったの見ちゃったぁぁぁぁぁ!
いろいろと興味を持つ年頃。 こんな状態でキュモヲタの屋敷で夜を過ごして大丈夫なのでしょうか?
次話でこの章、恋の行方はおしまいです。




