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1人旅

本日書き溜めができたので、もう1話です。

「それじゃあ行ってくるね」


 数日後、お父様、お母様、ルロス、アルバロ、フィンたちが見送る中、私はジークフリートとの約束を果たす為にヴェニデの町に向かう。

 1人きりなのは用事が用事なのとグリフィンに乗っていくから。



「ヴェニデとヴォルフにも行くんだろ?」


「うん」


 ジーっとお父様が見てきて、ニヤニヤしてくる。



「な、なにお父様」


「まさかキュモヲタとは、なぁ母さん」


「……あなたの血ですね」


 どうやらお父様とお母様は私がキュモヲタとも逢引する事に反対どころか、血だと言ってくる。

 そして思い切り反対したいかと言われると、そうでもない私はやはりドM王の血がこの体に流れているんだと思った。



「正直言うと父さん、ジークフリートよりはキュモヲタの方が良いと思うぞ?」


 フィンとアルバロが驚く顔をみせて、ルロスもお父様を見て引いている。



「い、一応理由を聞かせてもらってもいいかな? お父様」


「理由か? そんなこたぁ決まってんだろ。 堅っ苦しい奴より夜を楽しめる……グフォォォォォォォォォ!! みなぎるぜぇぇぇぇぇぇ」


 お母様が顔を真っ赤にさせて、グーでお父様をパンチする……なぜか股間に……



「……やだわ、あなたったら恥ずかしい」


 悲しいかな、私のこの体には、この2人の両親の血が脈々と流れている。




「空からなので安全かと思いますが、十分気をつけてください、姫様」


「うん、ありがとうフィン」


「【愛と美の神レイチェル】様の祝福がありますように」


「ありがとうアルバロ」


「しっかりその目で見極めてきてください」


「うん、わかったよルロス」




 見送られる中、私は元気に走り出す。



「グリフィン!」


 ピーーーーーー!


 ブワッとお尻を持ち上げられて浮遊感を感じながら急上昇していく。



「グリフィン、ヴェニデの町までお願いね」


 ピピッピ!



 小さくなっていくお父様たちに手を振って、一路ヴェニデの町に向かいだした。






 初日だけでヴォルフの町に辿り着いた私は、身分を隠したまま彷徨いて宿屋を探していく。



「あのぉ、ここは1泊おいくら?」


「うちは夕飯と朝食がついて銅貨5枚 (5千円)だ。 他より安い方だよ」


「浴場はついてるの?」


「んな高級なもんはねぇよ。 湯浴みする場所ぐらいだ」


「そうなんだ……じゃあいいわ、ありがとう」


 驚いた顔をしている店主に笑顔でバイバイして宿屋を出る。



「うーん、どこがいいかなぁ?」


“そういう時は一番でかい宿屋を探せばいいさぁ”


「なるほど! イフリートさすがだね」



 イヤリングにいるイフリートとそんな会話をして一番大きな建物に向かう。



「らっしゃい。 お泊り、だよな」


「うん、1泊の値段と浴場はある?」


「大浴場付きは1泊銀貨1枚 (1万円)、夕飯と朝食付きだぜ?」


「じゃあここで一番高い部屋は?」


「スイートかい!? 金貨1枚 (10万円)になるぞ?」


「それじゃあそこで」


 ポシェットから金貨を取り出して手渡すと、マジマジと金貨を見つめて一齧りして確認すると、おじさんの態度が一変して、もみ手をしながら誰かを呼び出し始めた。



「お客様ぁ、お荷物は御座いますか?」


「このポシェットだけだから平気よ?」


「おお! それはまさかホールディングバッグのポシェットタイプでございましたか」


 なんだか部屋に着くまでいろいろ話しかけられて、やっと辿り着いた。



「如何でございましょう? 広いでしょう?」


「うん、そうね」


 本当は私の部屋の半分もなかったけど。


 夕飯と朝食はスイートのため部屋まで運んでくれるみたいだけど、浴場は1箇所しかないから共同だった。

 やっと部屋に1人きりになってどっと疲れが出る。



「お父様の言った通り身分を明かした方が良かったのかなぁ? うううん、せっかくの1人旅なんだもん。 身分を隠して満喫しなくちゃ」


 さっそく浴場に向かって脱衣所に入る。 大浴場だから他の人も入ってるはず。

 そこに浴場から出てきた女の人が私に気がついて頭を下げてくる。 なんか服着てる……



「あのぉ、それ何?」


「うん、これは湯衣よ? 知らないの?」


「裸で入らないの?」


 呆れた顔をされて、中には男の人もいるのに良いの? って聞かれて驚いちゃう。



「お、男の人もいるの!?」


「当たり前じゃない。 って知らないの? もしかしたら何処かのお嬢様?」


「う、うううん。 こういうところに来るのが初めてなの」


 なんとかごまかして、湯衣の事を教えて貰って浴場に入ると、王宮の半分ほどの浴場だった。 それで男の人も女の人もいた。


 服を着たままお湯に浸かるんだけど、なんだか張り付いてきて気持ち悪いから、ゆっくりしないでサッサと済ませて部屋に戻った。



「はぁ……ここまで私って世間知らずだと思わなかったなぁ」



 今日のことだけで私がどれだけ劣る存在なのかわかって、今までサハラやフィンたちが私の為に色々してくれていたことがわかった。


「明日は野宿だし早めに休もう」


 目指すヴェニデの町までは、グリフィンが頑張っても2日かかっちゃう。




 翌朝ヴォルフの町を少し出たところでグリフィンに乗って空の旅をする。 暗くなってきて、鳥目のグリフィンの限界近くなったところで、街道から少し外れたところでグリフィンに見守られながら眠りにつく。

 この時サハラが犬と寝たって話を思い出して、なんとなく気持ちがわかった気がした。


 翌日の夕方には目的のヴェニデの町に辿り着いて、領主のエーリッヒ=ヘイへの屋敷に向かったの。




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