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変身少女ララノア? いいえ違いますから!

 ボーッと目が覚めると温かいものに抱きつくように寝ている。 それは微かに動いていて……

 そこでバチッと意識がはっきりしてそっと頭を動かすと、サハラが私を腕枕をしながら今も眠っている。


 …………寝顔、可愛い。



 寝顔を眺めてるとサハラも目を覚ましちゃった。



「私の抱き枕はよく眠れた?」


 サハラが照れながら頭を撫でてくる。



「最高だったよ。 昔飼っていた犬を思い出した」


「えぇ! 犬!?」


 笑いながらサハラが言うけど、サハラって犬と寝るの!?


注) この世界の犬は大型犬しかいないし、愛玩目的で飼育する風習はない。


 顔を見るとサハラは当たり前のような顔をしている。



「ほら、もう起きてみんなのところに行くんだ。 俺はもう行くからね」


「行くってどこに?」


「ゴメン、人種には言えない事だ」


 照れ笑いをしながらサハラは起き上がってそう言うと、もう一度私の頭を撫でた後、顔を外に向けると姿が消えてしまう。



「行っちゃった……」


 しばらくサハラが見つめた空を見上げた後、ドレスに着替えてサハラがくれたリボンで髪の毛を結んで部屋を出ようとする。



“ハッピーバースデー! ララっち!”


 え? って振り返ると懐かしいムキムキマッチョなおじさんの姿のイフリートがいた。



「イフリート!? 今までどこに行っていたの」


“何処ってララっちのイヤリングだわさ”



 よくわからないけど、私が15歳になるまで出てこれないようにされていたみたい。 もちろんそれがブリーズお姉様が関わっている事はなんとなく予想できた。


 でもなんで? その答えは簡単。 火の精霊は総じて愚鈍で力で物事を解決しやすいそう。 幼い頃の私にイフリートは制御できないとサハラが判断したんだそうなの。



「という事は今後はイフリートも私に力を貸してくれるの?」


“ララっちとは契約してるから当然さぁ。 必要な時は俺っちに声をかけてくれれば良いだけだぜ”






 一人一人来てくれた方に挨拶をしてそして次々と帰っていく。



「それではプリンセスが来てくれるのを心より楽しみにお待ちしています」


「う、うん、あはははははは……」


 恥ずかしさから照れ笑いを浮かべて、手をパタパタ振る。

 ジークフリートもヴェニデに戻っていった。




「ララノアたん、ダイエットしながら楽しみに待ってるんだな」


「あ、あははははは……」


 ……大丈夫だよね。

 キュモヲタも帰っていく。 これで全員見送りを終えた。



 みんな帰った後私は1人になって暇になると、訓練場に向かう。

 誰も入ってこないようにいって、イフリートを呼び出すと姿を現した。



「イフリートはどういう力を持っているの?」


“それじゃあ俺っちの力がどんなものか教えてあげるさぁ!”


 そう言って全身が燃え上がり出して、炎が手の平に出てきてそれを投げようとする。



「ちょ、ちょっと待って! 実践しなくて良いから! 人が何かあったと思って来ちゃうから!」


 爆音とかしたら絶対に人が来るし、訓練場を壊しちゃっても困るから慌てて止める。

 ブシューと音をさせながら空気が抜けていくようにイフリートが縮こまっていく。

 ホッと一安心して、ドラウの事とドラウの神のアラクネーが関係しているから神も手出しできない事を説明すると、イフリートが難しい顔を見せてくきた。



“それは俺っちも力を直接は貸せないさぁ”


 精霊であるイフリートもアラクネーと争う事になると、精霊とアラクネーの全面戦争になり得るんだって難しい顔をみせる。



「じゃあやっぱりイフリートも手伝えないんだ」


“んーや、直接は無理だけど精霊は間接的になら貸せるさぁ”


「間接的?」


 なんでも精霊は契約している以上離れる事は出来ないから、助力は許されるんだって。



“それじゃあララっちちょっと武器を構えるさぁ”


 ノーマのお爺ちゃんが作ってくれたシャムシールを構える。 イフリートがコマンドワードを教えると、イヤリングに消えていった。



「本当に今のがコマンドワードなの!? なんだか凄く恥ずかしいフレーズなんだけど?」


 イフリートからは何も返事がなくて、まるでサッサと言えとでもいう感じ。 仕方なく私はコマンドワードを詠唱する事にした。



「灼熱の炎は情熱の色! この身に宿れコロナ、纏えプロミネンス!」



 パーーッと暖かいものに包まれた感じがしたと思うと、私の着ていたドレスは薄っすらと光を放って、剣には舐めるように炎が纏っている。



「な、な、な、何これぇぇぇぇぇぇ!」


“俺っちの力を最大にララっちに貸し与えている状態さぁ。 試しに剣を振ってみるべさ”


 なんだかわからないけど、言われたままにシャムシールを一振りしてみる。



 ブフォフォフォフォ……


 まるで炎が刀身になったように見える。



「す、すごい!」


“はいはーい静粛に静粛にぃ! それじゃあ解説いたしますですよ、はい。

今着ているララっちのドレスには炎の最上位精霊の加護で、炎と冷気に対してだけ非常に強くなっております、はい。

それでもって武器、剣の方でございますが、こちらは炎の最上位精霊の加護によって同じように炎の力が働いております、はい。

勘違いされて困りますのは、炎の精霊の力により炎の力が籠りますがぁ、別にご契約者ご本人様が強くなられた訳ではございませんので……その辺しっかりとご了承してくださいまーせー”


 イヤリングからそう声が聞こえてくる。



“なお、剣を振る時はプロミネンススラッシュ、ララっちの得意なスリングショットを使う時はプロミネンスショットと言う事をオススメします”


「よくわからないけど、それだけは絶対に嫌。 それでこの状態を戻すのはどうしたら良いの?」


“そーですか、そーですかー。 なら好きに呼び名をつけたらいーざんす。 リリースって言えば戻りますよー”


 なんだか不貞腐れてるようなイフリートの声が聞こえたけど、いちいち攻撃する度に喋っていたら、力が入らないしとっても恥ずかしいと思うの。




「リリース!」


 纏っていた炎が鎮火するように消えていった。

 完全に消えたところでイフリートが姿を見せて、これで説明は終わりだって。



 よくわからないけど、なんだかとっても複雑な気持ち。




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