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誕生日と成人

いつも読んでくれてありがとうございます。

 フィンとアルバロとの逢引から数日後、ついに私は15歳になって成人する。


 それに合わせて各地各国より様々なプレゼントが贈られてきたり、お祝いに来てくれる人たちまでいた。

 お父様には前もって報せが届いていたようで、同盟国ではウィンストン公国が沢山の若い貴族の子息が、護衛を数名つけただけでお祝いに足を運んでくれて、メビウス連邦共和国からも数名、やっぱり僅かな護衛をつけただけでお祝いに来てくれる。

 マルボロ王国内からはヴァリューム領主のノーマお爺ちゃんからお祝いの品が届いて、ヴィロームの領主からはお祝いの品と一緒に、7つ星の騎士団からも祝辞が届いた。




「誕生日おめでとうございます、プリンセス」


 そう言って姿を見せたのはジークフリートで、すかさず手の甲に口づけをしてきた。



「わざわざ来てくれてありがとう、ジークフリート」


「我が愛するプリンセスの為とあらば何処からでも馳せ参じましょう」


「ありがとう。 でも本当はね、近いうちヴェニデに行くつもりだったんだけどね」


「それはどういったご用件なのでしょう?」


「うーん……えっとね、私と1日過ごしてもらおうと思ったの」


 ハッとした顔を浮かべて、ジークフリートが素敵な笑顔を浮かべてくる。



「それではその時を楽しみにしています。 私のとっておきの場所へお連れいたしましょう」


「うん、楽しみにしてる」


 3人目ともなれば逢引の誘いもだいぶ慣れたもので……なんて事はなくて、内心はドッキドキでした。




「誕生日おめでとうなんだな、ララノアたん」


 一瞬誰かわからなかった。 その特徴的な喋り方と呼び方でキュモヲタだと気がつく。



「えっと、キュモヲタ……だよね?」


 でっぷりとしていたお腹はへっ込んでスマートになっていて、髪の毛もオールバックにしっかり固めてた。



「ララノアたんにもっと好かれるよう、戴冠式以降にダイエットをはじめて、身だしなみも気をつけるようにしたんだな。 だから、す、少しは見違えたと思うんだな」


 確かに太っていた人が痩せた為、見た目は大きく変わってる。 でもその特徴的な喋り方は変わってなかった。



「喋り方は変えなかったの?」


「これは僕らしさなんだな」


 うーん、喋らなければちょっと見違えたんだけどね。



「でもエッチィのは変わらないんでしょ」


「これが変わったんだな。 今は脇目も振らずララノアたん一筋と決めたんだな」


 裏を返すと私にだけは変わらないって事じゃ……で、でもまぁそれだけ私の事を思ってくれているって事よね。



「そ、そう、えっとね……今度ヴォルフに行くから、その時に私と1日過ごしてもらおうと思うんだけど……」


「……お」


「お?」


「おおおおおっ! やっぱりララノアたんマジ女神。 この絶好のチャンスに絶対に好きになって貰うんだな!」


 うわぁ……やっぱりやめておくべきだったかなぁ。



「最高のシチュエーションを用意しておくから、楽しみにしてて欲しいんだな」


「う、うん。 楽しみにしてるね」





 この2人も逢引をする事にしたのは実はルロスのアイデア。


 フィン、アルバロ、ジークフリート、キュモヲタの4人は4人ともタイプが違うから、また違った雰囲気が得られるかもしれないんだって。



「キュモヲタに襲われたりなんかしないよね?」


「ララノア様の思っている以上に彼は紳士、だと思いますよ」


 待って、待って待って待って。 私聞き逃してないよ。 今最後が「だと思う」だったよ!




 そんなわけで、集まった人たちと誕生日と成人のお祝いのパーティーが行われるんだけど、いつまで経ってもサハラの姿は見えなかった。


 そんな中、ムードのある音楽が流れ始めると、たくさんの人たちからダンスに誘われて踊っていく。 2人きりに近いその中で、恋をささやく人や告白までしてきちゃう人、様々いてパーティーも終わった。


 とは言っても、今晩はお祝いに駆けつけてくれた人たちはほぼ全員宿泊だけど。




 部屋に戻って1人きりになる。



「サハラ……結局来てくれなかったな……」


「パーティーにはね」


「サハラ!」


 今もそのまま変えないままのサハラの部屋から姿を見せた。

 駆け寄って飛びつくと受け止めてくれる。



「来てくれたのね」


「約束したからな。 誕生日おめでとうララ」


 久しぶりに会えたサハラに甘えながら会話を楽しんでいると、サハラが鞄から何かを取り出して渡してくる。



「誕生日プレゼントだ。 悪いとは思ったけど、俺、センス無いから嫁たちに相談して決めて貰ったやつだ」


 わざとらしく既婚者アピールしながら、しかも相談してなんて言わなくても良いと思うのになぁ。


 手渡されたのは綺麗な袋で、中に何かが入ってる。



「わぁ! ありがとう。 開けて良い?」


「もちろんだ。 きっと気に入ってもらえると思うよ」


 中にはポシェットが。 まさかと思って中を覗き込むとポシェットの底が見えない。



「もしかしてこれって!」


「ああ、ホールディングバッグだよ」


 欲しかった物が大好きなサハラからのプレゼントで貰えて喜んだんだけど、次の一言で私の顔は曇ってしまう。



「ウェラがあって困るものじゃ無いってね、そうしたらアリエルがそれなら可愛いポシェットタイプが良いだろうって言い出したんだ。 それならって赤帝竜(ルースミア)が財宝の中からそれを君にってくれたものだ」


 そこで私が黙り込んで、涙目になりながら小さく呟く。



「それじゃあサハラからのプレゼントじゃなくて、サハラの奥さんたちからのプレゼントじゃない……」


「そう言っただろ? 俺のはこっちだけど、センスの無さに驚くなよ」


 え? って涙目になりながらサハラを見ると、小さな袋を手に乗せてホラって照れながら手を差し出してくる。

 それを受け取って開けてみる。



「な、何コレ?」


 中に入っていた物は、赤いリボン…………

 なんとなく神秘的な赤色はしてはいるけど、サハラがくれたからそう思えただけかもしれない。



「き、気に入ってもらえたかな? よく王宮出るときは髪の毛を結んでいただろ?」


「う、うん、ありがとう、と、とても嬉しいわ」



 本当の本当にサハラはセンスなかった……


 13歳の誕生日に貰ったスリングショットの方が嬉しかったよ。



「でもなんでリボンにしたの?」


 リボンを身につけながら聞いてみる。



「俺はどうも大切な人には身につけてもらえるものをプレゼントする癖があるんだ。

なんていうんだろうな、肌身離さず身につけていて貰えたら嬉しいものだろ?」


 はい! 今の言葉が1番嬉しいプレゼントです。 これからはこのリボンで毎日髪の毛を結ぶ事にするよ。



「私のこと大切な人なんだ?」


「生意気な頃から長い事一緒にいたからなぁ。 気持ち的には俺の娘みたいな立ち位置だな」


「ちぇ〜、娘かぁ」


「あのなぁ、ララは後先考えていないだろうが、俺と恋人または妻になると、もれなくあの3人の嫁さんがついてくるんだからな?」


 あ……すっかり忘れてた。 赤帝竜(ルースミア)は気にしないって言っていたけど、アリエルは結構サハラとベタベタして見せつけてくる方だし、【魔法の神エラウェラリエル】は凄く嫉妬深いよね。


 私が思い出して身震いさせた様子を見せるとサハラが笑いながら言葉を続ける。



「だから、俺の娘みたいな立ち位置の方が、ララにとっても安心して甘えてこれるんだぞ?」


「じゃあ早速甘えちゃう。 それと相談に乗って欲しい事があるから、今日は一緒に寝てくれる? パパ?」


 サハラをパパって呼んでみたら、渋々ながらも苦笑いで仕方がないなって初めて一緒にベッドに横になった。

 くっつこうとしたりしたら出ていくぞって怒られて、仕方がなく一定の距離を保ちながらサハラに結婚話の相談に乗ってもらった。



「最終的に決めるのはララだ。 こればかりは他人に言われて決めるものじゃないさ」


「うん、わかった。 ……1つだけお願いしても良い?」


「なんだ?」


「サハラの腕枕で今日だけ寝させて」


「仕方がないな、今日だけだぞ」


「えへへ」


 初めて男の人の、大好きなサハラの腕枕で、その日、私は眠りについた。

 




とうとう100話になりました。

物語の展開としては、まだまだ先は長いけれど、これ以降サハラの出番は少なくなっていきます。

中盤辺りなのかな? といった感じです。


今後もよろしくお願いします。


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