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翌日の午後三時。桂たちは警察署の会議室にいた。そこには、昨日同様、六人の子どもたちもいた。
彼らは桂や竹之内と対面するように座っている。
「連日、呼んでしまい大変申し訳ない……」
桂が子どもたちに謝りながら早速、話し始める。
「犯人が見つかったんですか?」と、猿渡少年が訊く。
「いや、それがだな……」
桂は頭を掻き、一度黙る。しばらくして、彼は口を開いた。
「小木曽くん、だったね?」
桂は小木曽少年の方を見て話す。
「はい」と、小木曽少年は返事する。
「君は、昨日、三十代くらいの長い髪の女性を見たと言ったね」
「ええ」
「我々は君の証言の下に、昨日、現場近くでそのような女性がいるかどうかを捜した。しかし……そのような人物は見つからなかった」
桂は静かな声でそう言った。
「…………」
小木曽少年は黙っている。
「君は、本当にそのような女性を見たのかい?」
桂は小木曽少年にそう訊いた。
「見ました」と、小木曽少年は即答する。
「本当に?」
「はい」
「それって、嘘なんじゃないかい?」
桂はそう言った。
「嘘!?」
何人かの少年少女が目を丸くした。
「そうなの?」と、羽鳥少女が小木曽少年を見て訊く。
「え? どういうこと?」と、我妻少年も困惑して言う。
ややあって、小木曽少年が口を開いた。
「嘘です……」
「やっぱりそうか……」
桂が呟くように言った。
「なるほど」と、竹之内が頷く。「ということは、犯人は他にいるということになる」
「我々の考えでは、芹沢――誘拐犯の男――を殺害した犯人は、外部犯ではなく内部犯にいるんじゃないかと」
桂が子どもたちを見て話す。
桂の話に六人の子どもたちは目をぱちくりさせる。
「フフフ……」
笑ったのは、猿渡少年だった。
「何が可笑しいんだ?」と、桂が真顔で訊く。
「だって、ミステリー小説みたいなんですもん」
猿渡少年はニコニコして言う。
「はあ」と、桂はため息を吐く。
「これはフィクションなんかじゃない! リアルの話なんだ!」
桂が猿渡少年を見てそう大声で言うと、「分かっていますよ」と、彼は頷く。
「芹沢を殺したのは、君たちの中の誰かだ!」
桂がそう言うと、
「私は違います」と、羽鳥少女が言った。
「俺も殺してなんかいない!」と、我妻少年も否定する。
「あたしも」と、綿貫少女が言う。
仲少女も首を横に振る。
「僕も」と、小木曽少年が言った。
「残念ながら、僕も違います」と、猿渡少年は笑顔で答える。
「そうですか。そうしたら……一人一人にお話を聴かせてもらいましょうか」
桂が六人を見てそう言った。
「まずは我妻くんから」
そう言って、桂は我妻少年を指名する。
「はい」
「別室でお話ししましょう」
桂は席を立ち、その会議室を出る。我妻少年も立ち上がり、桂の後を追う。
桂と我妻少年は隣の小さな会議室に入った。
部屋に入り、桂は扉を閉める。桂はその部屋の椅子を二脚、対面になるように置き、一つの椅子に座る。我妻少年ももう一つの椅子に座った。
「我妻くん、犯人を見つけた時のことを話してください」
桂はそう言って、少年の顔を見る。
はいと、我妻少年が口を開く。
「ええと、あの日の朝、俺は部屋でまだ寝てました。ふと、悲鳴が聞こえてきたんです。萌ちゃん――綿貫さん――の声で目が覚めました。どうしたんだろうと思い、俺は部屋を出て一階へ降りました。したら……」
「したら?」
「あいつが……倒れていたんです」と、我妻少年は言った。
「トイレの前に?」と、桂が訊く。
「そうです……」
「君は前夜に芹沢と接触したということは?」
桂が質問をする。
「いえ。前日の夜は、夜ご飯……といっても、お菓子とかアイスとかですけど……を皆でダイニングで食べて、お喋りをして少しゆっくりした後、部屋へ戻りました」と、我妻少年は話す。
「なるほど……。分かりました」と、桂は言う。「君は戻っていいよ。今度は綿貫さんを呼んできてください」
「はい」
そう言って、我妻少年は席を立つ。それから、その部屋を出て、先程の会議室へ戻った後、綿貫萌に声を掛けた。




