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午後三時半。
桂と竹之内は警察署の会議室にいた。そこに六人の小学生もいた。
親御さんの同伴の元、六人の小学生にここへやって来てもらった。彼らの親たちは別の会議室にいてもらうことにした。
「君たちは、昨日までこのペンションにいましたね?」
早速、桂が王子壮のカラーコピーの写真を見せて六人に訊いた。
「「はい」」と、何人かの子どもたちが返事をした。
「分かりました。そしたら、左から順番に自己紹介をお願いします」
桂がそう言うと、一番左の男の子から自己紹介し始めた。
「小木曽励です」と、その少年は言った。
「君が小木曽くんね」と、竹之内が確認するように言う。
「はい、次の方」と、桂が促す。
「我妻翔喜です」と、隣の少年が言った。
「我妻くん……。はい、次の方」
残りの四人の子どもたちも自己紹介をした。
もう一人の少年は猿渡健斗くん。それから、少女が三人。順番に綿貫萌さん、羽鳥玖美さん、そして、仲穂乃果さんというらしかった。
「因みに、我々も自己紹介をすると、私は桂と言います。こちらが竹之内です」と、桂が自分と竹之内を紹介するように言った。
「竹之内です。宜しく」と、竹之内も言った。
「よろしくお願いします」と、猿渡少年が挨拶する。
「自己紹介はこの辺にして、早速だけど、君たちに訊きたいことがあって今日こちらにお呼びしました」
桂が話を始める。
「君たちが誘拐、いや、監禁されていた時、見たもの、聞いたこと、何でもいいです。正直にお話ししてくれませんか?」
桂がそう言うと、子どもたちが「はい」と大きな声で返事をした。
「では、お聞きしたいのですが……、君たちは誘拐犯が殺害されているのを目撃しましたか?」
桂の質問に六人が「はい」と返事をする。
「それは、いつですか?」
桂がそう質問すると、全員は黙る。その後すぐに我妻少年が口を開いた。
「昨日の朝です」
「昨日の朝か……」と、竹之内が呟く。
「はい」
「最初、発見したのは?」と、桂が全員を見て訊く。
「わたしです」
綿貫という少女が手を上げて言う。
「綿貫さんね」と桂は言って、手帳にメモをする。
「ビックリして、悲鳴を上げました」と、彼女は言った。
「「なるほど」」と、二人の刑事が頷く。
「その悲鳴で僕やみんなが起きて、下の階へ降りました」と、我妻少年が話す。
「そこで、全員が男の死体を発見したと……」と、竹之内が言う。
「はい」と、我妻少年が頷く。
「ということは、その男は君たち全員が起きる前に、何者かに殺害されていたということになるね……」と、竹之内が言う。
「ところで……君たちの中でその男を殺した犯人を目撃したという子はいるかな?」
桂がそう訊いた。六人全員は黙っていた。
「どうかな?」と、竹之内が子どもたちを見て訊く。
「いや、見てません」と、猿渡少年が答えた。
「私もです」と、羽鳥少女が言った。
「俺も見てないです」と、我妻少年。「わたしもです」と、綿貫少女も言う。仲少女は首を横に振った。
「僕……見ました」
少しして、小木曽少年がそう言った。
「え!?」
彼の言葉に一同が驚いた。
「マジで?」と、我妻少年がビックリして言う。
「小木曽くん、本当なの?」と、羽鳥少女も彼を見て訊いた。
小木曽少年は首を縦に振る。
「どんな人物だったんだい?」
竹之内が小木曽少年に訊いた。
「女の人です。前日の夜、僕がトイレに行った時。……夜だったので、顔ははっきりとは覚えていませんが、多分三十代くらいの人で、髪の長い人でした」
小木曽少年がそう話した。
桂は手帳のメモに、その少年が見たという人物の特徴を書き記す。
「なるほどね。うん、それだけでも犯人を掴む情報になる」
桂はそう言って微笑む。
「君たち、どうもありがとう。もう今日はおしまいだから、帰って平気だよ」
桂はそう言って席を立つ。子どもたち全員も席を立った。桂はその会議室の扉を開けて外へ出、親御さんのいる別の会議室へ子どもたちを案内した。六人の親子は合流すると、そのまま出口まで歩いて行った。
「三十代くらいの、長髪の、女性か……」
子どもたちとの事情聴取を終えて、デスクの椅子に凭れかかりながら桂は呟くように言った。
「そんな女性、たくさんいるよ……」と、竹之内がツッコむ。
「言われてみれば、そうなんですよね……」と、桂はため息を吐く。
「でも、死んだ男の身辺を調べれば、案外、そんなような女、すぐ見つかるかもな」と、竹之内は言う。確かにと、桂は思い直した。




