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十分か十五分くらい待っただろうか。ようやくそのバス停にバスがやって来た。六人の小学生がそのバスへ乗った。
励が先頭になり、整理券を取って後ろ側の空いている席へと座った。他の五人も順番に券を取り、奥へと詰めて座る。
バスはまばらではあるが、乗客が乗っていた。
それからすぐに、バスは発進する。励はなんだか学校行事で遠足に来たような気分になった。バスの中は、冷房が効いていて涼しかった。
励はふと、正面のモニターを見た。そこには時刻が映し出されていた。13:00である。
「もう一時か」
モニターの時計を見て、励が呟く。
「え? もうそんな時間?」と、隣に座る翔喜が訊いた。
「うん。ほら、そこ」と、励はモニターの時計を指す。
「あ、本当だ! やっぱり時計があるのとないのとじゃ違うな」と、翔喜が真顔で言う。
うん、と励は頷く。
それから十分程して、バスはあっという間に高尾駅に到着した。
乗客たちが次々と降りる。励たちは最後に降りることにした。
励は立ち上がり、運転席の方へ歩く。励は運転手に声を掛けた。
「すみません、小学生六人なんですけど、全部でいくらですか?」
励がそう訊くと、一瞬、運転手は不思議な顔をしたが、それからすぐに「子ども六人だと、900円だね」と言った。
励は千円札を両替して、硬貨投入口に九百円入れた。
「はい、どうも」と、運転手は笑顔で言った。
「ありがとうございました」
励は運転手にお礼を言って、バスを降りる。それから、他の五人もお礼してバスを降りた。
その後、六人は高尾駅まで歩いた。誰もICカードや定期券を持っていなかった。励たちは切符売り場で切符を買うことにした。切符売り場の前で、励たちは路線図の電光掲示板を見る。ここから八王子駅までは子供料金で百五十円だった。
励は六人分の切符を買い、それぞれに切符を手渡した。
次の電車は13:20。今が13:15なので五分後である。励たちは改札をくぐり、ホームで電車を待った。ややあって電車がやって来たので、励たちはその電車に乗った。
〈次は、八王子〉
電車のアナウンスが流れ、駅に到着した。
電車を降りて、六人はその駅の改札を出る。
「やっと帰って来た」
翔喜が嬉しそうに言う。
そこは励もよく知っている風景であった。
「良かった」と、励は安堵する。
「本当に帰れるとは思ってもみなかった」
羽鳥さんがホッとしたように言う。
「うんうん」と、萌ちゃんも頷く。
「僕も嬉しいです。帰って来られて」と、健斗も笑顔で言う。
穂乃果も笑顔で頷いた。
「皆、よく頑張ったよ」と、励は五人を見て言う。
「うん、本当にそうだね」と、翔喜は真顔で言った。
「良かった良かった」と、羽鳥さんが頷いて言う。
「それじゃあ、家に帰ろう」
翔喜が大声で言った。
励は頷く。
「せっかくこうして会ったのに、もうお別れって寂しいですね……」
ふいに健斗が残念そうに言った。
「仕方ないでしょ!」と、萌ちゃんが言う。
「まあ、そうだけど……」と言って、健斗は頭を掻く。
「はい、お喋りはここまで。じゃあ、みんな帰りに気を付けて」
励がそう言うと、「小木曽くん、先生みたい」と羽鳥さんが言って笑う。
「そうかな?」
励が言うと、他の皆が笑い出す。
「じゃあ、またね」
励は手を挙げて歩いて行く。他の皆も手を振るなどして、それぞれが帰路へ着いた。




