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私が傍観者な妹になった理由~番外編  作者: 夏澄
IF/本編の設定無視作品
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8/16

那智&恭平1

お気に入り件数7000件突破記念その2。

ネタ提供:月宮 恋さん。

設定:

①もし那智が本気で兄大好きな妹だったら


[大好きなお兄ちゃんに狙いを付けて?]


 兄:高校一年生。那智:中学二年生。


 お兄ちゃんが高等部に進んだ。中学の頃とは違う大人びた制服に私はもうメロメロだ。

 対して私はまだ中学生。

 ついこの間、小学生から一歩大人に近づいたと思ったのに、急に中学の制服を子供っぽく感じてしまう。

 中学生と高校生。お兄ちゃんとの距離がすごくもどかしい。

 そのため、家に帰ったらいつもすぐに制服を脱ぎ捨てて私服に着替えている今日この頃。

 そんな微妙な心境の頃だった――、お兄ちゃんに彼女ができた。


「ムカつく」


 休日はいつも一緒に出かけたりしていたのに、彼女ができてから付き合いが悪くなった

 相手は同じクラスの女子らしい。

 向こうから告白してきて(お兄ちゃんからするはずなどない)すぐにオッケーを出してしまったそうだ。もっと慎重に決めたらいいのに。来るもの拒まずなんだから。


 お兄ちゃんは今日は彼女とデートだ。

 彼女の名前? 知らない。知る必要もない。どうせすぐに別れる彼女なんだから。

 お兄ちゃんが本気じゃないことくらい、見ていれば分かる。

 でも最初だけはマメなんだよねぇ。そこがまたムカつくんだけど。

 もっと私の相手をしてくれたらいいのに……。


 映画デートなんですってよ。けっ。

 しかも題材は甘々の恋愛もの。なんでそんなつまらないの選ぶかなぁ。アクションもののほうがずっと楽しいのに。あぁ、そうですか。カップルだからですか。ちっ。

 そろそろ映画が終わった頃だろうか。

 楽しく手を繋いで映画館を出てくるお兄ちゃんと彼女の姿を思い描いて、また苛立ちがつのっていく。

 家にいてもムカムカが止まらないので、「家出します」とお兄ちゃんにメールで送って家を出た。

 

 そのまま公園に行って、土管トンネルの中に立てこもることにする。

「お兄ちゃんの……バカ」

 お兄ちゃんは私を探す当てが分からなくて、困りに困ってしまえばいいのだ。ふははは。見つけにくるまで家に帰ってやるもんか。

 でも……もし探しにも来てくれなかったら? もし彼女に本気になって私のことなんか忘れてしまったら?

「うぅっ。でも帰らないんだから」

 寂しさに、決意を言葉に出して動こうとする体を止める。

 土管の中を吹き抜ける涼しげな風を感じながら、私は目を閉じてお兄ちゃんが来てくれることを祈った。




「――智。那智」

 呼ばれて顔をあげる。

 土管の外から心配そうな顔をしてお兄ちゃんが中を覗き込んでいた。

 外はまだ明るかった。

「来てくれたの?」

 映画の後、彼女とデートを堪能してから探しに来るかと思っていたのに。

「だってあんなメールが来たら来ないわけにはいかないだろ」

 すぐに来てくれたんだ。その思いに胸が満たされていく。

「彼女は? 怒ってた?」

「まあね。でも那智を大事にすることもできない彼女ならいいや」

 それって、もう別れるってことだよね。付き合ってまだ四日目なのに。

「そんなこといいから。出ておいで」

 そんなことって言ってしまえる彼女だったら、告白をオッケーなんてしなければいいのに。私も彼女ができるたびにこうして寂しい思いをしないですむのに……。


 私の手を取るお兄ちゃんは、家出したことを怒っている様子は微塵も感じられなかった。

 むしろ表情は晴れ晴れとしている。

 簡単に付き合うくせに清々したって顔をするんだから。

 今回はあまり気が合わない彼女だったのかもしれない。また私ダシに使われたか? そんなことも思ったけれど、こうして迎えに来てくれたのでチャラにすることにする。

 私はお兄ちゃんが元気ならそれでいい。

重度のブラコンだ。自分でもそう思う。


 手を繋いで家までの道のりをゆっくりと歩く。

「ねえ、お兄ちゃん。どうせなら那智と付き合わない? そしたら妹を大事にも出来るし、同時に彼女も大事にすることができるでしょ?」

 良い考えじゃないかと思った。どちらも一番にできないなら、どちらも一番にできる方法を提案したつもりだった。

「何を言い出すかと思ったら……」

 でもため息混じりにそう応えられた。目がバカな子って言っている。それってつまり私は対象外ってことだよね。分かっていたけど、すごくへこむ。

「そのうちにね。那智がその気になったらかんがえるよ」

「えー、那智はいつでもその気だよ。本気だよ」

「はいはい。本気の意味が分かったら、また出直しておいで。それまで待っていてあげるから」

 本気と書いてマジと読むのは知っているよ! そう言ったら、頭を撫でられて「帰って国語の勉強をしようか」と笑われた。


 バカにすんな、うきぃぃっ。


「那智は本気の本気なんだからねっ。待っているって言質は取ったからね! 後悔しても知らないんだから」

「那智こそ。僕を選んだこと後悔しても知らないからね」

 そう言ったお兄ちゃんの目は本気と書いてマジだった。ちょっとだけ言ったことを土下座で謝りたい気分になった。ちょっと……だけ?





逆に狙いを付けられた。

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