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私が傍観者な妹になった理由~番外編  作者: 夏澄
IF/本編の設定無視作品
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7/16

那智&晃太

お気に入り登録7000件突破記念その1。

ネタ提供:藤色さん

設定:

①本編での晃太の告白を那智が受けた

②付き合って数日


[お付き合い当初]


 晃太先輩とお付き合いすることになった。彼氏彼女の。

 先日以来、告白ラッシュでとうとう根負けして「まぁ、いいか」と言ったことを了解の意に取られてしまったのだ。

 でもそんなに悪い気がしないので、まぁ、いいかとその関係を受け入れている。


「はい、ナッチー。あーん」

 自分も口いっぱいに放り込みながら、晃太先輩が私の口にラムネを放り込んでくる。

 ちょうど二人でお弁当を食べ終えたところで、食後のデザートにと晃太先輩が取り出してきたのだ。

 駄菓子屋で売っているような水色のプラスチック製のラムネボトルから白いラムネがコロコロ飛び出してくる。幼い顔立ちの晃太先輩には、とても似合いのアイテムに見えた。


 なんだろう……以前と関係が変わっていない気がする。


 こうして自分のお菓子を分け与えてくれる。以前のまま。

朝、教室に向かえば扉を開けたとたんに飛びついてくる。以前のまま。

 隙を見れば「ナッチー、好き好きー」と言ってくる。以前のまま。


 これで……これでいいの!?


 むうっとした顔をしていたら、晃太先輩が顔を近づけてきてチュウっと軽い触れ方で唇に触れてきた。

「甘いでしょ」

 にこぉっと満面の笑みで聞いてくる。

「……はい。とても」

 この状況がな!

晃太先輩は不意打ちが上手だ。時折、こうしてふいに触れてくる。不意打ちすぎて対処する間もなくしてやられてしまうのだ。ちょっと悔しい。

「もっとする?」

 芝生に座っていた私を腕で閉じ込めて先輩が尋ねてきた。絶妙な角度で首をかしげてくるので、「今はいいです」と言って顔を押しのけた。


 ちぇっと唇を尖らせる姿を好きだと思った。




[付き合ってしばらく後:那智]


 いつもいつも晃太先輩に好きだと言ってもらっているので、今度は私から好きだという意思表示をしてみることにした。

「うーん、どうしよう」

 何が効果的面なのか分からず一晩考え抜いた末、私はとてもいいことを思いついた。


「はい、晃太先輩。眼帯ウサ吉のフィギュアです」

 晃太先輩に手渡したのは、コンビニなどで売っているジュースにおまけで付いている眼帯ウサ吉のフィギュアだ。

 ペットボトルのフタにちょこんと座っている形の眼帯ウサ吉はどことなく哀愁が漂っていて可愛らしい。

 晃太先輩は眼帯ウサ吉が好きなようなので、プレゼントしたら喜んでくれると思ったのだ。

以前、一緒にゲームセンターに行ったとき、私が吹雪ちゃんに眼帯ウサ吉のヌイグルミをあげていたら羨ましそうにしていたし、これは当たりだと思ったのに――、


「あ、ありがとう……」


 反応はとても微妙だった。

 こんな小さなものでは満足してもらえなかったらしい。

「これ、好きじゃなかったですか?」

 せっかく登校してくる前に買ってきたのに。

 しゅんと項垂れると、「そんなことないよ。すごく嬉しい。ありがとねナッチー」と笑って受け取ってくれた。

 慰めてくれているのは丸見えだったので、こちらも笑顔で対応しておいた。

 そうだよね。もっといい物が良かったよね。

 よし、明日はコンビニで売っている期間限定の眼帯ウサ吉マグカップinゼリーをプレゼントしてみよう。きっと笑顔で喜んでくれるはずだ。

 私は晃太先輩のきらきらした笑顔が見たいのだ。



(ナッチーが笑顔で「晃太先輩好きです」とか言ったら一発ノックアウトなのに……)

by星太




[またその後:晃太]


「最近ナッチーがやたらと眼帯ウサ吉のグッズをボクにくれるんだけど……」

「そんなにキャラクターものって好きじゃなかったよね、晃太」

 そうなんだ。ボクたちって見た目から可愛いものが好きって思われがちだけど、普通の男子高校生だからそんなに好きってわけじゃない。

 クレーンゲームで色んなヌイグルミを取ったりもするけど、大抵は他の子にあげている。あれは取るまでが楽しいのだ。


 部屋にはナッチーからもらった眼帯ウサ吉のグッズが少しずつ増えていっている。

「いらないなら捨てたら?」

 対処に困って星太に相談したのに、星太ったらボクの気も知らないでこんなことを言うのだ。

「星太のバカァ。ナッチーからもらったものなんて何一つ捨てられるわけないだろ」

「じゃあ本当は好きじゃないってこと白状しちゃいなよ」

「うっ、そんなこと言えるわけないじゃん。ナッチーがボクにプレゼントしてくるときって、すっごくきらきらした目で見てくるんだよ」

喜んでくれるかなぁっていうその顔はすごく可愛い。

期待して見つめてくるナッチーに何度押し倒しそうに……じゃなかった飛びつきそうになったことか。

星太は知らないんだ。ナッチーがどれだけ可愛いか。でも知らなくていい。星太にも誰にも教えてあげないんだから。


「晃太……かなり重症だね。声がだだもれ。気をつけたほうがいいよ。押し倒したいなんて思ってるのバレたら、あっという間に逃げられちゃうよ」

 もう知らなぁい、と星太が部屋から逃げていく。

「あ、ちょっと待ってよ。話を聞いてよ。もっと話したいのにっ」

「ノロケなら聞かないよ。他所でやってよ。ボクおなかいっぱいだよぅ」

出て行く星太が耳を塞いで「もうやだぁ!」と叫ぶので、ちぇっと部屋に引き下がった。


連日続くプレゼント。

そんなことしなくても、ナッチーのことは大好きなのに。

明日はそれを伝えてみようか。

ナッチーはどんな顔をするのかな。きっと耳まで赤くして「分かりました」と言ってくるかもしれない。その反応だけで、どれだけナッチーがボクのことを好きだか分かるというもの。

 あぁ、楽しみだなぁ。

「うへへへっ」

 想像して思わず笑い声が出てしまう。


「晃太……気持ち悪い」


 漏れでた声に、扉の外から星太の本気の呟きが聞こえてきた。





那智と晃太となら可愛いカップルと言われそうだな……。

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