落胆
教室に入ったのはいいものの、やはり目が慣れない。通学中ずっと気になってはいたのだが、あまりにも目がチカチカする。赤、青、緑、それも原色に近い人からパステルカラーまで沢山だ。視界に入れたくないほどにその鬱陶しさが続くので、私は教室の端の方へ移動した。壁の掲示を眺めていても、教室ほどではないが派手な髪色があった。
やっぱり目が疲れる、と私は目をそらした。偶然にもその先には座席表が貼られてある。私はそれを見て確信できた。
「やっぱり、ここは昔なだけで剣と魔法の世界でも何でもないじゃないか。」
その時、私は親しい声に呼ばれた。
「想、ちょっとこっちに来てくれ、いや来い。」
その声の主に私はグっと引っ張られていった。私はそれに抵抗なんてしなかった、する理由がなかったからだ。教室の外に出て少し歩き、彼は隣の教室にはいかない程度の空間で止まって話した。
「想。確実にあいつに、あの空間で言ったよな。"剣と魔法の世界"って。」
私は黙って頷いた。そして彼はそれを見て声を荒らげて言った。
「だよな!そうだよな!!なにやってんだよあの神名乗ってる奴は!あの嘘吐き、次会ったら許さねぇ。」
この言葉以降も彼は文句、欲望、その他諸々を吐き出した。一方の私はそれに対して、ただ相槌を打つことしかできなかった。何故彼は、私が言いたいことを全て言ってくれている。そのお陰で本当に私が言うべきこともない。私も嘘吐きに怒っているし、こんな状況を理解したくもない。魔法だって使いたい、ビーム打ちたい、空飛びたい、etc。
そんなこんなで共感がうだうだと続いて、とうとうチャイムが鳴った。
私達は急いで教室に駆け込んだ。すぐにホームルームが始まった。ホームルームでの話はあの時と同じで全く聞いていなかった。退屈なその時間は教師による号令で区切られ、間髪入れずに始業式のための移動が強制された。その際私は、先ほどと同様に健と話しながら体育館へ向かった。
始業式では、校長が喋り、生徒教師は礼をする。それだけの面白みのない時間が続いた。そんな退屈な時間に突然私の心が動かされた。
「これから、皆さんが授業の一環で学んでいく魔法をお見せしましょう。」
私はその言葉と禿げた頭に釘付けになった。その頭は体育館に入る太陽光に照らされて、いつにもなく眩しく輝いていた。校長はどこからか杖を取り出して、振った。直後、私が見ていたその頭は先ほどよりも激しく輝き始めた。その光に思わず目を閉じ、そして開いたときにはその輝きは消えていて、白いマッシュルームと呼ぶべき毛髪があった。思わず「は!?」と声が出てしまい、周囲3mからは意図せず注目の的となった。気まずい私にとってのナイスなタイミングで校長は再度話し始めた。
「見ましたか?皆さん。これが魔法の最高到達点、校長だからこそ為せる御業。最上位魔法ですよ。」
その言葉で私の心は一気にその場から消え去った。
「さらに!」
私の心が少し惹かれた。その心に呼応するかのように校長は杖を振った。すると、杖の先が水色に光始めた。その情景に、まさか氷系か、と期待して私の心は完全に戻ってきた。次の瞬間、校長の白いマッシュルームはアニメのクール系のような水色のショートヘアーに…。
でしょうね、とため息交じりの言葉を小声で吐いた。さっきまで期待させられていたからに、超絶がっかりである。校長は少し満足そうに話した。
「これが、皆さんの親御さん方も良く使われているであろう、中魔法と、美容師の方が使う大魔法の組み合わせですよ。自分自身に魔法を使うにはそれなりの技術が必要ですが、他人に使う程度ならば授業で出来るようになりますので、ぜひ頑張ってください。」
その言葉で、始業式が閉じられた。
読んでいただきありがとうございます!!!
何度もになってしまいますが、次にまた書くのがいつになるかはわかりません。
ごゆるりとお待ちください




