発覚
私の前にあるのは部屋だった。そのため、スタート地点は家、あるいはどこか宿泊施設なのだろう、と想像した。私は部屋の中の扉を開き、道なりに階段を下る。突然、聞いたことのある声が私の耳に響いた。
「想ー!早く起きなさーい!初日から遅刻とかしたらみっともないよー!」
そして私はその言葉に反射的に答えてしまった。
「もう降りてきてるからー!」
不意にこのやり取りを懐かしく思った私は、それを少し疑問に思いながらもその声がした方へ向かった。
たどり着いたそこには母親以外の何とも言い表せないほどの圧倒的母、My motherと呼べる存在があった。正直、目を疑った。剣と魔法の世界に転生してまでこの顔を見ることになるとは微塵も思っていなかったからである。偽物か、とも思ってみたが、それは疑いようのない程に私の母親だった。思い返してみれば部屋の中の配置、家の構造。あれらは、まぎれもなく私が大学生になるまで過ごしてきた家だ。悔しく思った。じゃああいつはなんだったのだ、そう心底疑った。私は考えた末、母に聞いた。
「俺は今何歳だったっけ。」
母は「何を言っているのよ、この子は」と言いたげな眼差しでこちらを注視した後に「16でしょう?」と返した。
私はその会話の後、黙って朝食を終えて高校への支度をした。そして、ドアを開ける。少しは期待していたのだが、案の定外の風景が欧風な町並みになっている、なんてことは無かった。
私は高校までの道を歩いた。幸い、高校は近かった。地図上では徒歩6分と表示されるほどには近かった。その道中、子供だろうが大人だろうが関係なく、白髪染めを想起させるほどにイカれたヘアカラーの人間と遭遇することが多かったように感じた。当時でも多くて2人ほどだった髪色の持ち主は、今や黒か茶の色の者の方が珍しいほどに増加していた。
(これが異世界か~)
そんな陳腐な言葉を思いながらたらたらとした速度で動いた。そして、その異常性に気が付いたのは校門前に立ってからだった。自他共に厳しく当たる、そんな生真面目先生があろうことかあまりにも派手な髪色に染めているではありませんか。何色と表現すべきだろう、紅?カーマイン?赤い事には違いはないが、とにかく派手な赤であった。私は、その行為について問いただそうという謎の正義心を引っ提げて彼に話しかけた。
「坂下先生、その髪色は、その…良いのですか?」
彼は私の言葉に対して、思いの外気さくに返してくれた。
「あぁそうか。去年の冬までは青色だったな。でも急に今年は赤にしようと思いたってな、自分で染めてみたんだ。それにしても自分で染めおかげで良し悪しがわからなくて困っていたんだ。お前が声をかけてきたということは少し派手すぎたのか。ありがとう、想君。そうだ、お前も自分で染めてみたらどうだ?授業でやるはずだから、すぐにできるようになるぞ。」
あまりにもよくわからない言葉につい「は?」と言ってしまいたくなったが堪えて
「あ、ありがとうございます。参考にしますね。」
と言い放ち、その場を後にした。
読んでいただきありがとうございます!!
次の更新はいつになるんでしょうか、続きがぼんやりとしかありませんm_m




