第16話 裏クラブ
メモを片手に、桜子と和人は学校を出た。
そして真っすぐにバス停まで行き、家とは反対の方向へ行くバスに乗り込んだ。
5番目のバス停で降り、メモに書かれた住所を探す。
少し裏道になったところで、古びたビルを見つけた。
メモにある住所は、まさにそのビルの中にある一つの部屋だった。
その部屋はビルの3階にあった。
エレベーターが無かったので、桜子と和人は階段を上がって行った。
そして部屋の前に来た。
部屋番号は303号室。
桜子はごくりと唾をのみ込んで、インターフォンを押した。
すると中から、いかにもオタクと言った様な高校生くらいの男の子が出てきた。
「オタクらなんか用?」と尋ねるその男の子に、
「大木桜子と言います。異世界への扉を探してたら、ここへ来るように言われました。」と告げた。
その男の子はへーへーへーと笑って、「入りなよ。」と桜子と和人を通してくれた。
部屋の中は8畳くらいの一部屋に、10人くらい座れる長テーブルとチェアー、それと本棚が一つ置いてあった。
壁にはファンタジーやSFなタペストリーが飾ってあり、部屋の雰囲気はミステリーっぽかった。
中に入って行くと、8人くらいの高校生が集まって何やら話をしていた。
「こんにちは!大木桜子と言います!これは津田和人君。城南学園の1年生です。異世界への扉を探していたら、ここにたどり着きました。」と言って、一礼した。
中に居た一人の女の子が、「こんにちは。私は大場由美。東高校の3年生よ。ここはこの辺りの高校生の合同ミステリークラブの集まりなの。学校が終わった後で、集まれる人で集まって、主にミステリーに対して主張をする場としてるのよ。」と教えてくれた。
「今まで魔法とかに付いて何か分かっている事とか、あるんですか?」と桜子が尋ねた。
「そうね、義人君、あなた最近魔法に関する本をサークルで販売してたわよね?」と由美が尋ねる。
義人は、「あ~あれだね、ちょっと待ってて、ここにも幾つか置いてあるから、持ってくるよ。」そう言って席を立ち、本棚の中から一冊取り出してきた。
「これ、ある人からヒントを得て書いてみたんだけど、そのメモ無くしちゃって。」と言って見せてくれた。
「あー!この本!」と桜子はその本を知っているようだ。
「何?知ってるの?」そう尋ねる義人に、「つい最近、古本屋で買ったの!」と答えた。
「ハハ…そっか古本…」とがっかりしてそうな義人に、桜子は、「古本屋はバカにできないのよ。真の探求者は、多く古本屋へやってくるのよ!古本屋には宝物がいっぱいなのよ!」と力説する。
「ハハハ、そうだね。で、僕の本、どう思った?」と聞いてきた。
「そうね、私の探していたものとは違ったけど、面白かったわ。」そう桜子が答えた。
「君に特別に良いものを見せてあげるよ。」そう言って義人は壁に掛けてあったタペストリーを外した。
壁掛けの後ろには魔法陣のようなものが書かれてあった。
「これは…」桜子が目を見開く。
「これは僕の傑作品さ。」
「これ、使えるの?」
「いや、使えないよ。単なるイラストのようなものさ。でも良く出来てるだろ。」
桜子が近ずくと、「あ、触らないでくれよな。」と言われ、「携帯で写真撮っても良い?」と聞いた。
「ああ、写真だったら幾らでも構わないけど、くれぐれも触らないように。」と言われ、桜子はパシャパシャと数枚、写真を撮った。
近ずいてマジマジとみると、本当に良く書かれた魔法陣だった。
細かい模様と言い、何語なのか分からないが、魔法使い達が使うような文字のような物などが、魔法陣の中に書き込まれていた。
そして桜子が、「でもこれ、どこかで見たことあるような…」と呟いた。
「今日はどうもありがとう。」そう桜子が言うと、「なにか新しい情報や本など見つけたら連絡するよ。」そう言われて、連絡先を交換した。
和人も、「お世話になりました」と一礼した。
「あ、ちょっと聞いてもいいか?」と義人が呼び止めた。
「何?」そう桜子が答えると、
「君って大木誠と血縁関係か何か?」と聞かれた。
「兄ですけど。」と答えると、
「あ~やっぱり、何か雰囲気が似てると思ったんだ、それに苗字も同じだし。」
「兄がなにか?」
「俺が無くしたメモ、君の兄貴に聞いた事なんだ。君の兄貴、多分俺らより魔法に関しては知ってることは多いかも。」と言われ、桜子は
「やっぱり!」と呟いた。




