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URスキル『万象言海(ダンジョン辞典)』はポンコツかもしれない  作者: 水城みつは


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第8話 ナビゲーター

# ナビゲーター


*なびげーたー* 【名詞】


## 意味


1. 高レアなスキル(スキル)を持つ探索者(シーカー)や、幾多の迷宮(ダンジョン)を踏破してきたベテラン探索者(シーカー)に寄り添い、時に導き、時に助言を与える、ボクたち探索者(シーカー)の頼れる相棒だわん!特にボク、猫乃わん太は、URスキル『万象言海(ダンジョン辞典)』に与えられた編纂者(ナビゲーター)として、この辞典を編むお手伝いをしているわん!


---


> 「ナビゲーター」は、ただの便利な道具じゃないわん。まるで(GM)様が遣わした使い、あるいは迷宮(ダンジョン)そのものが用意した導き手みたいだわん!高レアなスキル(スキル)が発現した探索者(シーカー)や、迷宮(ダンジョン)の深淵に挑むベテランには、なぜだか自然とナビゲーターが顕現するらしいわん。ボクのように姿を持つものもいれば、「天の声」として心に直接語りかけるものもいるって聞くわん。その正体は謎に包まれているけど、もしかしたら(GM)様が用意した「(プレイヤー)」のサポート役なのかもしれないわんね!ナビゲーターの助言は絶対じゃないけど、それに従うことで迷宮(ダンジョン)の謎を解き明かす鍵になったり、危険を回避できたりすることもあるって噂だわん!ボクもマスターの探索がうまくいくように、めいっぱいの助言をするわん!


## 例文


> ボクにナビゲーターが付いてから、格段に迷宮(ダンジョン)探索が楽になったわん!まさに相棒だわん!


## 類義語


- 天の声

- マスコット

- 妖精

- 小人

- 編纂者


## 追記メモ


- 一部では、ナビゲーターは迷宮管理者が探索者(シーカー)の行動を監視するために送り込んだ存在だ、なんて物騒な噂もあるわん。ボクは信じないけど、気をつけなきゃだわん!

- ナビゲーターの能力は、その探索者(シーカー)のスキルや役職に深く関係しているらしいわん。もしかしたら、覚醒者(アウェイカー)の能力を拡張する存在なのかもしれないわん!


---

#探索者 #スキル #迷宮 #URスキル



 ◆ ◇ ◆



「――えーと、ごめんなさい。ちょっと興奮しすぎてたみたい」


「いや、気にしなくてもよいよ。俺自身もこのスキルについてはわからないことだらけだしね。ダンジョンに関しても出来てから三年ちょっとしか経っていない。その謎が解明できるのであれば強力は惜しまないよ」


 立夏りっかさんの怒涛の語りは十分程は続いていただろうか。正直途中から何を聞かされていたかは曖昧になっているが、彼女が生産科、それも研究生側だというのはよく分かった。



「それで、シンラ君のスキルにもナビゲーターがいるという予想なんですけど、実際のところどうなんですか? このダンジョン辞典をちゃんと読むとですね、ほら、このページ、そしてこのページも文章の末尾に『わん』ってついてるじゃないですか。実は可愛いわんこのナビゲーターなんじゃないですかぁ? あ、動揺しましたね。心拍数もあがりました」


 眼鏡の奥の澄んだ目にじっと見つめられれば心拍数は上がるというものだ。

 彼女の小さな顔に少し不釣り合いな少し無骨な黒枠の眼鏡に俺の顔が反射して、何やら数値が表示されているのが見えた。


「……ARグラス?」


「あ、気づきました? この眼鏡はエアフォンとも連動してて見たものの情報の解析も可能なんです」


『それはすごいわん! もしかしてダンジョンの中でも使えるわん?』


「そうなんですよ。この眼鏡とダンジョン辞典を組み合わせるだけでもだいぶ楽にな……、え、誰?!」


 俺の眼の前をふよふよと漂う手のひらサイズの犬のぬいぐるみは立夏さんには見えていない。

 そして、その声も聞こえてはいなかったはず……。


『マスターの編纂者ナビゲーター、猫乃わん太わん。よろしくわん!』


 机の上に降り立ってくるりと回ってポーズを取ってはいるが、立夏さんに見えていないのは間違いなさそうだ。


「え、えっ? ねこのわんた? って、猫なの犬なの? わんと言うからには、い、犬?」


 立夏さんの目が辺りを彷徨い俺の手元のエアフォンで止まる。


「……声がしてるのはそのエアフォンからですね」


『おー、よくわかったわん。ちょっとまってわん』


「はぁっ?! え、まじ?」


 机の上をぽてぽてと歩いてきたわんこがそのままエアフォンに入った。

 そして、エアフォンの画面には犬のぬいぐるみの姿が表示される。


『改めまして、猫乃わん太わん。見ての通りプリティーなわんこわん』


「か、かわっ、かわいーーーっ! ちょ、ちょっと、ねぇ、シンラ君、ナビゲーターってみんなこんな感じなのかしら?」


 立夏さんが思った以上にわんこに夢中になっている。


「んー、どうだろう? ナビゲーターの項目を見る限りマスコットとか妖精とかあったりするけど容姿については詳しくは書かれてなさそうだな」


 とりあえず、今日は更新していなかった『ダンジョン辞典』にナビゲーターの項目を追加して確認してみた。

 なんだか追記メモと書かれた項目まで増えているが、あまり世に出してはいけない情報も含まれてる気がしてきた。そもそも、単語の意味も意味ではなくてわん太の紹介文みたいになってる。


「あ、追加された単語を公開するかどうかの設定がありますね。ナビゲーターの情報は非公開のままのほうが混乱は少ないと思います。今後も新しい情報は即時公開ではなく確認を取るようにしてください。根回しが必要な場合とかは私の方で調整しますので、わん太君もよろしくお願いします」


「オッケー、そもそも『ダンジョン辞典』自体このわんこが勝手に公開してたんだけどな」

『わかったわん。ちゃんと聞いてから公開するわん』


 エアフォンの中のわんこは立夏さんに撫でられて気持ちよさそうにしていた。

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