第6話 魔素
# 魔素
*エーテル* 【名詞】
## 意味
1. 現代に突如現れた迷宮から溢れ出し、世界中に満ちている根源的な力のことだわん。この力は、スキルの発現や魔物の存在、そして様々な魔導具、魔道具の駆動に不可欠な存在なんだわん。
## 解説
ボクたちの日常に溶け込んでいるこの魔素は、空気のようにどこにでも存在するけど、その濃度や質は場所によって大きく違うんだわん。特に迷宮の奥深くにいくほど、濃密な魔素が渦巻いているのが感じられるわん。人間がスキルを覚醒させるには、この魔素に対する「適合率」が大きく関わってくるんだわん。適合率が高い者ほど、より強力なスキルを扱えたり、複数のスキルを保持できたりすると言われているわん。また、魔物が落とす魔石は、この魔素が高密度に凝縮されたものなんだわん。この魔石はエネルギー源として、エアフォンのような特別なデバイスや、日常生活で使用される魔道具にも応用されているんだわん。まさに、この世界を動かす命の源、と言っても過言じゃないわん!
## 類義語
- エーテル
- 魔力
## 閲覧者コメント
* 魔素ねぇ…。昔はこんなもん無かったんだが、今じゃコイツが無いと生きていけねぇ世の中になっちまったな。特にスキルを使う以上は、魔素の枯渇だけは気をつけねぇとならん。最悪、命に関わるからな。 -- ベテラン探索者 鋼鉄のリュウ
* この間、座学で魔素について習いました!僕のエアフォンにも魔素演算ユニットっていうのが入ってるって聞いて、なんだか不思議な感じがします。僕も早くスキルを覚醒させて、もっと魔素を感じてみたいです! -- 国立彼津野探索者養成高等学校 生徒 ユウ
* 魔素の流動は日によって異なるので、迷宮に入る際は必ずエアフォンで今日の魔素濃度を確認してくださいね。特に迷宮氾濫の予兆がある日は、魔素が異常な数値を示すことが多いですから、ご注意を。 -- 探索者ギルド 職員 マリコ
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◆ ◇ ◆
『æPhoneS』は世界的にも人気の高い『ePhone』の探索者仕様だ。
ePhone自体が高級機種の分類されるため、俺の使っていたスマホは別の会社の機種だったのだが、探索者になるだけで最新版のエアフォンが手に入るなんてお得感がある。
そして、最新のスマホが手に入ったとなればウキウキで触り始めるわけだが……。
『おー、これがエアフォンかわん! あ、ゲームを入ってるわん。む、これが噂のAIアシスタントかわん……。マスターのナビゲーターの立場を脅かす悪いやつわん。こうなったらこっちにも考えがあるわん』
机の上では新しいおもちゃを手に入れた子供、いや、子犬のような手乗りぬいぐるみがエアフォンと格闘していた。
「おーい、そろそろエアフォンを返してくれないか?」
『わん? わかったわん。ところで、探索者名の登録はほんとに「深螺シンラ」でいいわん? あまりふざけた名前にはしないほうがいいって書かれてるわん』
「ふざけてはないぞ。元々、名字の深西の西は螺が正しい漢字なんだ。それに、名前の方は森羅をカタカナにしただけだからな」
『じゃあ、それで登録するわん。それで、スキルの方は登録するかわん? 現状「Unknown《未確認》」として処理されてるみたいわん』
エアフォンは使用者の魔力をスキャンしてステータスやスキルを表示する。
その仕組みはDNA検査みたいなものだと先生が言っていた。
「あー、気は進まないけど明日先生に相談してから登録することにはなるかなぁ」
探索者育成高校はダンジョンを探索する探索者を育てる学校ではあるが、突如世界に現れたダンジョン関連の学術的な研究を行う面も担っている。
『わかったわん。じゃあ、スキル登録は保留にしておいて、これでデータの移行とだいたいの設定は終わりわん。「ダンジョン辞典」の方もインストールしておいたわん』
「おっけー、古いスマホからの移行や設定は面倒だからやってもらえて助かったよ。『ダンジョン辞典』もインストールできたのならエアフォンからも見れ……、え、何だって?!」
確認すると確かにエアフォンに『ダンジョン辞典』と書かれたアイコンが表示されている。
これは俺のスキルだよな、とか、どうやってインストール、とかとか疑問だらけだがタップしてアプリを立ち上げた。
「おー、スキルと同じ画面だ。いや、なんだか管理者アイコンが増えてるが……、それより、この閲覧者コメントってなんだよ?! これって俺以外もこの『ダンジョン辞典』のアプリを使用できてるってこと? え、俺のスキルだよね、いや、これって俺のメリットとかスキルによる優位性ゼロじゃん! それに、そもそもどうやってインストールしたんだよ! スキル、スキルだよね?!」
『このエアフォンは魔道具、いや、ほとんど魔導具になってるわん。それで、内緒だけど上の方でぎょーむてーけーだかぎじゅつてーけーとかしてるらしくって一部のスキルはインストールと配布が出来るようになってるらしいわん。あ、この話は内緒わん。うかつにしゃべると天罰だって言ってたわん。まあ、ともかく、問題ないってことわん』
さも良いことをしたかのように腕組みをしながらわんこが頷いている。
「いや、何をさもよくやったでしょう的に得意げにしてるんだよ。でだ、この閲覧者コメントが表示されてるってことは他の人にも配信されてるってことだよな? 『ダンジョン辞典』は攻撃スキルとかじゃないわけだし、情報を他の人が知れるのであればスキルである意味がないんじゃないか?」
『そ、そんなことはないわん。このアプリはサブスク方式、つまりは月額制わん。そして、アプリを提供することで報酬も出てるわん』
「ほう、つまり?」
『不労所得でガッポガッポわん!』




