第21話 彼津野第三迷宮の隠し部屋
# 彼津野第三迷宮の隠し部屋
*カヅノダイサンメイキュウノカクシベヤ* 【名詞】
## 意味
1. 彼津野第三迷宮|の内部に、特定の条件を満たしたときにだけ姿を現す、通常の迷宮マップには記載されていない未踏の空間のことだわん!迷宮再構築によって、その存在はより確かなものとなり、今では複数の階層で発見されているわん。
## 解説
彼津野第三迷宮の隠し部屋は、探索者たちの好奇心を刺激する、謎めいた存在だわんね。これらの部屋は、罠探知スキルをもってしても見つけにくい、巧妙な場所に隠されていることが多いわん。壁が幻影のように消え去ったり、地面に新たな階段が出現したりと、その出現方法は多岐にわたるわん。
迷宮再構築後、ボクたちの調査で一層から三層に存在する隠し部屋の具体的な情報が新たに判明したわん!
一層の隠し部屋:
迷宮内の「古びた壁画」を特定の角度から見るか、照明魔法を当てることで、隠された扉が浮かび上がるわん!中からは数個の傷薬と、過去の探索者)の手記が見つかることがあるわん。手記には他の隠し部屋のヒントが記されている場合もあるから、しっかり確認するんだわん!
二層の隠し部屋:
「魔石の欠片」が埋め込まれた床の一部に特定の魔力を注ぎ込むと、新たな階段が出現するわん。あるいは、ツノウサギの巣の奥に隠されている場合もあるわんね。この部屋では中級回復薬と、稀に鑑定で真価がわかる未鑑定品の魔導具が一つ見つかることがあるわんよ!
三層の隠し部屋:
「ゴブリンの宝物庫」と呼ばれる部屋の特定の「宝箱」を開けた後、部屋の隅にある「偽装された祭壇」に触れると、奥の壁が消え去って隠し部屋が現れるわん!比較的品質の良い武器や防具、そして「スキルオーブ(低級)」が発見されることがあるわんね。
隠し部屋への突入条件は様々で、特定の魔物を撃破したり、特定の魔導具を使用したり、あるいは特定の役職のスキルを発動させたりすることで開かれるわん。稀に隠し部屋の奥には、下の階層へと続く秘密の通路が隠されていることもあるわん!これは正規ルートをショートカットしたり、強力な魔物のいるフロアを迂回したりできる、まさに探索者にとっての福音だわんね。
## 類義語
- 秘密の通路
- 異界の扉
- 裏道の隠し部屋
## 追記メモ
- 「偽装された祭壇」という表現は、単なるギミック以上の意味がありそうだ。もしかしたら迷宮再構築と深く関係しているのかもしれないわん。
- 隠し部屋の出現条件は、迷宮管理者の個性や、その階層のテーマと結びついている可能性も考えられるわん。より深い分析が必要だわん。
◆ ◇ ◆
「マジかよ……、いや、マジだな。ホントにポーションがあったな」
此処は彼津野第三迷宮の地下五階……、とかではなくまだ地下一階である。
そこは、赤と白のペンキをぶちまけたような、壁画と呼ぶべきか悩むような壁だった。
かろうじて真ん中に『ᚳᛟᚲᛖ』というような変な模様があったため、念の為試してみたら当たりだったのだ。
「隠し部屋というべきかは悩みますが、エアフォンのライトでも反応してくれて良かったです」
薄暗いダンジョン内で模様を確認しようとエアフォンのライトで照らしたところ足元にほど近い部分の壁が開いてポーションが転がり出てきた時は罠かと思って皆焦ってしまった。
「けど、これで『ダンジョン辞典』に書かれた『彼津野第三迷宮の隠し部屋』のページの信憑性が高くなったにゃ。うんうん、わん太はやればできる子にゃ。ダンジョンから戻ったら追加報酬の栗どら焼きもあげるにゃ」
ポーションを眺めてニマニマしながら不忍先輩がわん太をおだてている。
ちなみにポーションは下級と言っても簡単な切り傷ぐらいまではすぐに治すほど強力な効果があり、普通に購入しようとすると十万円からとかなり高価なのだ。
「ところで、隠し部屋って一回見つけたら終わりですかね? それとも宝箱みたいに時々復活するんですか?」
もし復活するのであれば隠し部屋の情報が漏れない限りはお宝も独占できることになる。
なお、当然ながら『彼津野第三迷宮の隠し部屋』のページはまだ公開していない。
「復活するとは思うけど、おそらく隠し部屋のパターンも何種類かあると思うわよ。ほら、この二階の隠し部屋の記述、二種類の方法が書かれてるわ。つまり、今書かれている内容もいくつかある隠し部屋のパターンの一つでしかない可能性が高いの」
「なるほど、この『古びた壁画』の隠し部屋はたまたま当たりだったってことか。で、実際のところどれだけ信憑性があるんだ?」
先輩にわしゃわしゃといじられているわん太の方を見る。
『ふぇっ? 信憑性わん? 信じる者は救われるっていうようにスキル使用者しだいわん。URスキルは大体そんな感じのスキルなんだわん。えーと、なんだっけ、がいねんスキルって言ってたわん』
「『がいねん』? ああ、『概念』ですか。確かにURスキルは既成概念に囚われない非常識なスキルばかりですね」
「『ダンジョン辞典』はURスキルにしてはおとなしいと思ったけど、こんな風に隠し部屋情報とかがわかるとなればやっぱり非常識なスキルにゃ。とりま残りの隠し部屋を探しにレッツゴーにゃ! って、ふぎゃっ」
「姉さん、駄目ですよ。私達の任務は一層から三層のマップの再確認です。予定的にも今日は一階層の確認で手一杯ですからね」
勇んで地下二階の階段を目指そうとした先輩が立夏さんに尻尾を掴まれて変な声を上げた。
その後は特に大きな問題もなくダンジョン調査の一日目は終了した。
今回の迷宮再構築は大きな改変というよりはダンジョンが成長した感じのようだ。
なお、第六階層の調査はシャドウウルフが群れで現れる事もあり、あまり進んでいないとの事だ。
また、ダークエルフとはまだ出会えていないと悔しげに語る男性パーティが印象的だったことを記しておく。




