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精霊王からの試練 〜丸太の間〜


 目が覚めると、知らない天井。


「ここは·····?」


 辺りを見渡しても人影はなく、どうやらここにいるのは俺だけのようだ。


「もしかして俺だけ·····いや、そんなことはないな」


 俺の右手には微かな温もりが残っている。

 確かに先程までクナイが手を繋いでいた証拠だろう。


「·····ということは俺だけっていうシチュエーションは自然にではなく、故意的にというわけか」

『正解だよ。少年』

「──ッ!? 誰だっ!」


 部屋の中に突然と響き渡る声に反射的に辺りを見渡す。


『どれほど探しても我を見つけることは不可能だ。なぜならそこに居ないのだから』

「·····なぜ俺だけなんだ?」

『まぁ待て。順番に説明してやる』


 そして謎の声は語り出す。


『まず我の名はユグドラシル。精霊を束ねる長にして王。精霊王ユグドラシルである』

「精霊王、ね·····」

『ふむ。では次に少年だけがそこにいる理由。それは精霊の村に訪れる資格を持たないからである』

「資格だと·····?」

『そうだ。資格とは適性属性であり、少年にそれはない。ゆえに資格がない』


 なるほど。だから俺だけが残されたというわけか。


『まぁ()()()()はいるが今は良いだろう。さて、めんどいのでもう説明してしまおうか。これから少年には試練を受けてもらう』

「ふーん。つまり精霊王からの試練。クリアすれば精霊の村とやらに行けるわけか」

『少年の頭の回転の速さは好きだぞ。その通り、全部で四つ。その全てを通過し見事我の元まで来い。我の姿を見せてやる』


 一人例外ってのは気になるが、それは置いといて。


「もう始まるのか?」

『それは少年の判断に任せよう。そこは始まりの間。そこから前にある扉に入れば第一試験開始だ』

「なるほどね。制限時間は?」

『ない。試験の間は時間の経過を緩めておこう。何回もやり直しが効くようにな』

「ハッ。そんな心配は要らねぇ。もちろんノーコンテニューでクリアするに決まってんだろ」

『その心意気やよし。では待っているぞ()()()


 そしてユグドラシルの声は聞こえなくなった。


「よし。じゃあ始めるとするか」


 そして俺は扉を開いた。











「··········ここは·····?」


 目を開くと目の前にあるのは一本道。

 両サイドには丸太が配置されており、俺が一歩前に進むとカチッとカラクリが起動する。


「最初の試験は丸太を避けて一番先のゴールに向かうってことか」


 早速、試験の内容も分かったし進む·····でもいいが、俺が目指すはノーコンテニュー。


 つまりは一度の失敗も許されない。


「最初は丸太だけかと思ったが、最後らへんの両サイドの壁。怪しいな」


 まずは細かく観察する。


 気づいた壁をよく見るとほんの少しだけ他とは色が違った。


「一歩でも間違えたら奈落の底。アレは初見殺しか」


 ふむふむ。一度見つけてしまえば残りを見つけるのも簡単だな。


 同様の初見殺しが系五箇所。


 一本道の床にスイッチが二つ。恐らく踏んだら落ちる。もしくは丸太のスピードが変わる。

 どっちにしろ落ちる可能性が高まる。


「さてどうするか·····」


 ファーストで駆け抜けるか。いや、そんなゴリ押しじゃあ落ちてしまう。


 ファーストを解放しつつ、スイッチを避けてゴールを目指すのが得策だな。


「そのためにはこれしかないな」


 よしっ。じゃあやるかっ!


「レディ〜ゴォッ!」


 ファーストを解放して走る。


 開始一メートルで最初のスイッチがある。

 だから、そのスイッチを避けるために──


「よっ、と」


 横から襲ってくる丸太の上に乗った。


 そしてすれ違う次の丸太に乗り、スイッチを回避したのを確認して一本道に戻る。


「こうすれば落ちる可能性は少ねぇだろ」


 ジャンプして避けても良かったが、横から丸太が襲ってくるし、それを避けようと止まっても別の丸太が来る。


 ──とまぁ最もらしい理由を述べているが、結局のところ一番カッコイイ避け方が丸太を乗り継ぐことだったからというのが一番大きい理由である。


「ゴールまであと少し·····ッ!」


 さてここで初見殺し。


 ──何が来るか·····ッ!!


「マジかよッ!?」


 壁に見えるのは魔法陣。そこから発動し、俺の頬を掠めたのは雷属性の魔法──『雷撃の矢』。


「そういえば精霊だから、人間の使えない属性が扱えるってのも納得だなっ!!」


 しかも俺の弱点をついてきやがる。


 俺は魔力を奪うことができるが、目に見える速度であることが必要だ。


 加えて両サイドにそれがあるってことは片方だけに集中するともう片方で終わるってこと。

 しかも五箇所が密集してるときた。


 考えろ。今の俺に出来ること·····


「この距離だったらいけるかっ!」


 全身の力を抜いて、駆け抜ける。


「移動術──<瞬歩>」


 見事に扉に辿り着いたのだが。


 ·····やっぱり少し無茶だったな。


「何発か掠めたか」


 頬に二発。腕や足に二、三発。


「そして左腕が痺れているっていう状況ね」


 一発だけ、左腕にまともに食らった。


「麻痺して動けそうにないが、魔力で補えば少しは使い物になる。まだまだいけるな」


 あれほどカッコつけてノーコンテニューと宣言したのにここでリタイアしたらダサいことこの上ない。


「ま、まぁクリアしたんだからいいよな!?」


 これからの試験に少し不安を抱きつつも、俺は次の試練の扉を開いた。

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