精霊王からの試練 〜謎の間〜
今回短いです。
「さて、ここは·····?」
扉の先に広がっていたのは代わり映えのない白い部屋。
中央にはテーブルが置かれており、メモ用紙に文字が描かれていた。
『次の謎を解け。
ふたつ文字 牛の角文字 直ぐな文字 歪み文字 我、人に抱きし思い。
制限時間は十分。なお、随時水が放出される。時間内に答えられないと溺死するので悪しからず』
·····うん。
「馬鹿じゃねぇのっ!?」
ユグドラシルは死なないって言ってたじゃん!?
これ考えたやつ出て来いやっ!
「·····クソっ一発殴ってやりたいが、先に答えを出さないと死ぬな」
だってもう床に水が出始めたもの。
「まずはふたつ文字を答えればいいのか」
ふたつ文字。ふたつある文字ってことか?
ふたつ·····画数·····?
「だとしたら『い』『う』『え』『こ』『て』『ひ』『め』『り』『る』『ろ』『ん』ぐらいかな? ·····候補多すぎだろっ!!」
こっから絞っていくか。
ふたつ文字·····パッと見でふたつって分かるやつに絞って·····『い』『う』『こ』『り』かな?
んで、我人間に抱きし思いってことは感情か。
「次の文字さえ分かれば、もっと絞れるな。先に牛の角文字ってやつを解読するか」
牛の角·····『い』『り』とかだけど一番牛の角に見えるのは『い』だよな。
『いい』『うい』『こい』『りい』。
「·····こい。恋かっ!!」
やっと恋って分かった。
気づけば身長の半分まで水が溜まってきやがった。
「っていうか。恋だろ? 早く開けてくれよっ!」
しかし反応はない。
クソっ焦ってきたな。
「恋じゃねぇなら残りの二つも考えないとダメなのか」
直ぐな文字。真っ直ぐな文字ってことか。
「真っ直ぐっていえば·····ねぇな」
真っ直ぐに近しい文字なら『し』だけど。
「分かんねぇのは後回しだな。最後は歪み文字·····?」
歪んでいる文字。『ち』とか·····?
いや、『く』もあるな。
「こい·····く。こいしく。恋しくっ!」
高らかに叫ぶ。
すると水の侵食は収まり、やがて消えていった。
「あっぶねぇ。何とかクリア出来たな」
首元まで濡れているのを確認すると、安堵する。
それにしても恋しくか。
「精霊の望みに繋がるのかな」
ドラが言っていた精霊の望み。それについて分かっていることは少ないが、精霊が力を貸したのはいずれも名のある冒険者。
それが唯一分かっている共通点である。
「水が流れたのを見ると水の精霊ってところか。水の精霊──ウンディーネ。人に対して恋しい思いを抱いている」
人の目から離れた別世界に住んでいるからこそ、身近に感じられない人間を慕ってくれているのだろうか。
この見解が果たして的をいているのかは知らないが、少し精霊に関して分かった気がした。




