表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/155

王女がヲタクじゃないと誰が決めた?


 ·····どうしよう。


「さぁ、言い訳はございますか? 無ければ、即腹切でございますよ?」


 あれは遡ること数分前──


「きゃぁぁぁあッ!!」

「·····終わった」


 女性は自身への視線に敏感だという。

 まさにその通りだった。


 ちょうど、目が合ったのだ。


「·····私を誰かと分かってての行動ですか?」

「·····王女様ですよね」

「分かってるなら話は早いです。即刻、腹切を所望しますっ!」


 タオル一枚でそのルックスが隠れる訳もなく、先程からチラチラと·····見える。


 そりゃあ、俺は正座している訳だし、下からのアングルなら100パーセント見えるだろ!?


「·····見えるんすけど、それはいいんすかね?」

「ぅうぅ」


 声にならない奇声を上げる。

 落ち着くまでに数分を要した。


 そして今に至る。


「言い訳もなにもないですよね? 純潔の乙女の裸体を覗いた罪は重いですよ?」

「俺は別に覗こうと思ったわけじゃない」


 このままでは即刻打首だ。

 それは阻止するっ!


「では、なんだというんです?」


 美少女の顔が近くまで接近する。


 こ、コイツ·····見えそうで見えないラインを攻めてきやがるっ!


 だが、このままタオル一枚だと、こっちが身が持たないので『黒狼のマント』を羽織らせた。


「──なっ!?」

「とりあえず、着といてくれ。じゃないと集中出来ん」

「私の体が醜いと!?」

「逆だ、逆っ! 綺麗だから体が持たないのッ!」


 すると、怒りで赤くなっていた顔が更に赤くなる。


「そ、そんな恥ずかしい言葉を簡単にっ!?」

「思ったことは口にしろってことは師匠の教えだ」


 変に気遣うと、空気が悪くなると教わった。


 本当のパーティというのは思ったことを言い合える仲だと言う。


「貴方の師匠の顔が見て見たいですっ!」

「師匠の場所は知らんよ。あの人、どっか行っちゃったと思うし。今頃、隠居生活でも送ってんじゃね?」


 多分もう、『死の谷』には居ないだろう。


 冒険者も引退したし、残りの余生を存分に生きている頃だろう。


「·····失礼ですが、師匠の名前は?」


 急に静かになって、コイツなんだ?


 別に隠すようなことでもないから、いいか。


「エリド。『黒き亡霊(ブラックファントム)』の──」

「やっぱり、エリド様でしたかっ!」


 ·····ん? 様?


「なんだ? 師匠と話したことあるのか?」

「もちろんですっ! エリド様の全てが秘密となっている中、少ない情報源から探し求め、彼の名前、歳、血液型、使う魔法、出生は全て判明させることが出来ましたっ!」

「お、おぉう」


 あまりに勢いが強い。


「エリド様が属性適性をお持ちじゃない時は驚きましたよ」

「──ッ! なんで知ってんだ!?」

「え? 普通に調べたんですよ。私、魔法やその類が好きでして、エリド様は不思議な魔法を使っておられたので、調べてたんですよっ!」


 急にこの子、文字数が多くなったんですけど·····


「魔法というのは面白いものですが、やはり、私が一番好きなのは〝アニメ〟でしょうか!」

「なんで、その事を知ってんだ!?」

「エリド様からお聞きしたのですよ。〝地球〟っていう星が存在し、そしてそこにはアニメや漫画という物が存在すると」


 やっべ、王女様、もしかして──


「やはり王道な『NA○UTO』や『ワン○ース』、『ドラ○ンボール』も面白いのですが、ライトノベルが原作のアニメも中々捨てがたいっ!」


 ──ヲタクじゃねぇかっ!


 俺、王女様って気品さが溢れる上品な女の子だと思ってたが、どうやら偏見だったようだ。


 この子、すごぉい。


「『遊○王』からカードゲームにハマり、そこからRPGもやり始め、『ドラゴン○エスト』や『○ァイナル○ァンタジー』も──」

「分かった、分かったからっ!」


 師匠が口頭で説明してくれたゲームも全部知ってやがった。


 それに、その口ぶりだと──


「王女様って、その辺プレイしたことあんのか?」

「サラテでいいですよ。·····そうですね、話で聞いて、面白いと思ったので、闇魔法でエリド様の記憶を読み取り、木魔法でそれを創造して、作ってやってました」

「は?」

「あっ、私、『二属性適性者(デュアル)』なんですよ」

「·····マジか」


 ·····サラテだったっけ?


 この子、規格外だわ。

 自分の興味を示したものをとことん詰め、そして実現させる行動力。


 ──拍手喝采ッ!


「··········サラテ」

「あっ、また私、こんなに·····」

「いや、卑屈になるなっ!」

「え?」

「お前のその飽くなき探究心、そして夢を掴む行動力。君の才能は素晴らしいっ!」


 いやぁ、この子本当に凄いわ。

 話してて楽しい。


「··········そんな事言われたの初めて·····」

「なんか言ったか?」

「いえっ!」


 全国の女の子諸君っ!


 君たちはお姫様に憧れるかもしれない。

 そんな諸君は、サラテを見て落胆するだろうか? これが現実のお姫様なのだと。


 だが、そんな諸君らに問いたい。


 ──王女様がヲタクじゃないと誰が決めた?


「あの、お名前は?」

「あぁ、俺はルーロっていう」

「では、ルーロ様っ! この後、お喋りに付き合ってくれませんか?」

「え?」

「私、時間を持て余しているのですよ。ですので、その、お付き合いを」

「·····まぁ、いいか。ちょっと待っててくれ」


 湖で顔の返り血を落とす。


 ··········つか、俺、よくこんな顔で王女様と話していたな?


 自分が怖いし、何より、そんな俺の顔を見て注意しないサラテが怖い。


 まぁ、いいか。


「俺、パーティとこの森を来てるんだが、サラテはいいのか?」

「何がでしょう?」

「護衛とかいないのか? ってこと」


 それらしき気配は周りにない。


 一国のお姫様がここに護衛なしで居ては、ダメだろう。


「··········護衛は遠くから見守っているよう言いましたのでっ!」

「·····なら、いいが」


 俺の索敵範囲より遠くにいるって、どんだけだよ。


 ·····なんか、隠してるのか?


 いや、ここは素直に受け取っておこう。


「じゃあ、俺のパーティが待ってるから、ついてくるか?」

「はいっ!」


 

 ✻ ✻ ✻



「彼女は?」

「現在、正体不明の男と移動中」


 サラテの言う通り、遠目より伺っている黒ずくめの男が二人。


 しかし、その様子は護衛とはかけ離れている。


「彼女は大事な〝生贄〟だ。その日、その瞬間まで替えのきかない〝道具〟だからな」

「·····分かってる。絶対殺させやしないし、自由行動が終わったら──」

「そこまで考えているなら、大丈夫か。なら、暫く一人で任せる」

「了解」

「俺は、これからその事に関しての許可を貰ってくるよ」


 男はニタァと気味の悪い笑みを浮かべた。


「我らが雇い主、()()()にね」

ヲタクという定義があやふやなので、もしかしたら変えるかもしれません。


下の✩✩✩✩✩から評価を。

ブクマ登録をして下さると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ