↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/155

魔物達の蹂躙祭 〜命を賭けたゲーム〜


 眼前に広がるのは有象無象の魔物共。

 ネルが頑張ってここまでつないでくれた。後ろを見るとリットも見える。久しぶりな感じもするが、彼女も頑張ってくれたのだろう。魔力の減りが尋常じゃない。


「てめぇらよくも俺の妹を村を襲ってくれたなァッ!」


 大地を踏みしめる。瞬間、亀裂が走る。

 縮地で素早くシャドウウルフの背後を周り、蹴り飛ばす。


「キャアゥンッ!」


 悲痛な叫びが聞こえてくるが、そんなものは知らん。

 一瞬で終わらすと言った以上、ここからは俺が蹂躙祭の主役だ。


「<魔力・絶>」


 後ろで魔法を放とうとしていたゴブリンロードの魔力を奪い取る。


「<銀滅の拳>」


 銀色に光り輝く右拳が、ゴブリンロードの腹を貫きオーガにまで届いた。

 瞬間、とてつもない衝撃波が起こるが、ネルたちに被害が及ばないように障壁を展開している。


 さて、と。相手は雑魚だが、数が多いな。シャドウウルフもここまで集団だと、村を襲われかねないな。


「<魔力・絶>」


 右手で空を切ると、シャドウウルフが次々と倒れていく。

 魔力欠乏症による死亡だ。これで、今まで消費していた魔力が回復した。

 ゴブリンロードはゴブリンを集める習性がある。よく見るとジェネラルもいるな。ゴブリン一家が勢揃いじゃねぇか。


「なら、全員まとめて吹き飛ばすに限る」


 コイツらならファーストで充分だろう。フルバーストをして、両手に魔力を集約させる。


「ぶっ飛べ──<銀滅の魔砲>」


 砲撃にも似た集約された魔力が銀色の光を放ってゴブリンロード率いるゴブリン一家に当たる。


 よく見ると、ゴブリンロードが頑張って粘っているようだが、俺の魔力の圧にジリジリと押されている。


 俺の予想通りに、均衡が保たれることもなくゴブリンロードたちは為す術もなく魔力の塊に呑まれた。


「す、すごい·····」


 後ろからそんな声が聞こえてきた。

 なんかちょっと気分が良くなってきたな。力を誇示して優越に浸る気は無いが、それでも嬉しいものは嬉しい。


 おっと、そんな事をしていたら残っていたオーガたちが大剣を振りかざして襲いかかってきた。


「だが、俺には届かない」


 寸前で避けると、そのままオーガの顔に蹴りを入れる。

 倒れ込むオーガにすかさず連続のパンチ。


「<連撃>」


 空中で為す術なくパンチを喰らい続けるオーガに蹴りで止めを刺す。


「ほら、終わったぞ」

「お兄ってば、こんなに強かったっけ·····?」

「兄をあまり舐めるなよ。俺が成長せずして、どうやって兄としてお前の前に立てると思うんだ」

「·····カッコイイこと言ってるけど、お兄が言ってるから台無しだね」

「どういう意味だコラ」

「そういう所だよ」


 そう言って笑うネルにこっちも思わず笑みがこぼれる。

 ネルの頭の上にポンっと手を置くと、村に戻ろうと踵を返す。


「ほら、父さんたちの所に帰るぞ」

「うん」


 そんな俺たちの前にリットが立つ。


「ルーロ·····くん」

「久しぶりだな。村に帰ってたのか」


 俺の質問にこくりと頷く。


「あの、その·····」


 おどおどしながらも何かを言おうとするリットに、おそらく過去の罪に対しての謝罪だと察した俺は答えを示そうとして──


 ドゴォォォォオンンッ!!!!


 とてつもない振動が俺たちを襲う。


「ハッ、ベヒモスをけしかけて急いで飛んでみてみればもう終わってしまったのか」


 土煙の中現れたのはアルカと名乗った青年だった。


「随分と遅いな。てっきり俺のすぐ後に到着してくると思ってたんだが」

「まぁ、少し準備が必要だったのさ。そのためにベヒモスとか色んな時間稼ぎを用意したんだが、しっかりそれは果たしてくれたよ」

「ハッ、そうかよ。で、俺の本気を潰したいんだっけか? いいぜ、来いよ」

「まぁそんなに焦るなよ。早い男ってモテないよ。まぁ遅すぎてもモテないけどね」

「なんの話をしてんじゃボケッ!」

「それはさておき、懐かしいね。もうこの村を見るのは久しぶりだ」


 アルカのセリフに疑問符を浮かべる。

 久しぶり·····? アルカにはどことなく既視感があるが、それと関係があるのか?


「まぁまだ分からなくても仕方ないよ。じゃあそれは戦いの中で気づいてくれ。その時はもう遅いけどねッ!」


 アルカが急接近してくる。

 速い。流石のスピードだ。が、アルカは俺を通り抜けて後ろに向かっていく。


「まさか──ッ!」

「ふふっ、君を本気にさせるには君の身近な人を捕らえるのがいい方法だろ?」


 すると、アルカは右手を掲げて不気味な感じを高める。


「魔王因子術式──《悠久の牢獄》」


 黒い塊がリットやネル、そして村人たちを包み込むと牢屋となって空中に顕現する。


「殺すと怒りに任せたつまらない感じになる。やっぱり、本気を出させるにはこうやるのが一番だよね」

「汚い真似をするな、てめぇ」

「これはゲームだよ、ルーロ。君は大切なものを守るために、僕は自分の心の成すままに互いの命をかけたゲームだ」


 そう言うとアルカは両手を掲げて魔王因子術式を展開させる。


「《魔界顕現》」


 かつて、ナラミとアクツがその身を犠牲にして生み出したナニカが顕現した魔界。


 つまりは<破滅されし世界>に似た世界。

 だが、かつてと違うのが一つ。


「アァァァァァァァアアッ!!!!」


 体が熱い。体の中心から何かが引き出されるような感覚が襲う。


「何だ、何なんだコレはッ!!!!」





 ✻ ✻ ✻





 王国の遥か上空。ただスタンピードを静観していたライナはニヤリと笑う。


「前回はナラミくんとアクツくんが命を賭して器を作ってくれたが、完璧ではなかった。が、今回は僕がやったんだ。完璧な器にアルカくんの魂が反応している」


 かつて倒された同胞。彼が復活するかもしれないという期待に自然と涙が流れる。


「さぁ、ギルくん。ルーロくんを殺して更に完璧に、アルカくんになるんだ。そうすれば僕たちの悲願が、魔王様が復活する」


 すると、状況が動き出したようだ。


「ギルくんとルーロくんが衝突したね。さぁ、君たちはせいぜい頑張りたまえよ。全ては僕の手のひらで踊っているのだから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。