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突き進め頂点へ! 日本競馬のゆめへ!  作者: シャルシャレード
2章 3歳
22/37

渡辺さんのエール

天皇賞・春、これは清弘にとって大きな鬼門であった。


一昨年、昨年と連続して3番人気以内の馬を飛ばしてしまっている。


そして、清弘は5番人気の馬に乗る。


名前はスターパルス。

6歳馬で、去年から距離を延長し、ステイヤーズS、日経賞を4.3着としている。 

本来は清弘の乗りでは無かったのだが、落馬負傷となった主戦の渡辺から乗り替わった。

スタート後の斜行のあおりを受け落馬。

左腕の骨折で馬に乗れる状態ではなかった。


『渡辺さん、おはようございます。』

清弘は、高橋厩舎に所属している、渡辺に話しかける。

『おう、元気か!』

『はい、渡辺さんは大丈夫ですか?』

『ああ、怪我はな。ただ、馬に乗るにはちと厳しいからな。ダービーも多分間に合わん。』

渡辺は今年こそはG1と意気込み、大阪杯では3着、桜花賞でも3着と勢いがある状態。

そんな中での落馬。仕方がないとはいえかなりショックであった。

『今日ここにいるのはな、可愛い後輩にプレッシャーをかけるためだ。俺の乗り替わりで勝ったら悔しいだろ?』

渡辺さんは笑いながら言う。

『お前なら勝てるさ。そろそろ勝ちたいだろう?』

『はい、良い加減勝たないと、任せてくれた関係者と渡辺さんに面目立ちませんから。』



今日は、スターパルスの最終追い切り。

併せるのは、同じく天皇賞春に出走するエルスザル。

エルザルスは5歳馬で最後の勝ちから2年以上遠ざかっているとは言え、好走も多数見受けられる力のある馬だ。

強目に追い、エルザルス1秒近く先着した。


『これはまずいかな。』

高橋調教師が呟く。スターパルスはかなり暴走気味のラップで行ってしまった。

時計は早かったが、本番のレースで掛かってしまう可能性だってある。

スターパルスは、かなり気性が荒く、乗り替わりでは力が発揮しづらいタイプであった。


ベテランジョッキーに任せたいところだが…。



---そして、当日、天皇賞。


パドックから返し馬まで、チャカついていた、スターパルス。


特にゲート前ではゴネにゴネていた。


頼むから入ってくれ。

グイグイ押す、清弘。

それでも入らない。


大外枠のため、もうすでに全馬入って待ちわびている。


ようやくゲートに入り体制が整う。


ゲートが開く、スターパルスは思ったよりも出遅れなかった。

手綱を抑えたわけではないが中団よりもやや後ろを追走。


そのまま、かかることなく走る、スターパルス。


そのまま1週目のホームストレッジの前を通過。

恐ろしいほどまでに静かだ。


レース中はこんな乗り味なのか。

バックストレッジに入り、京都の名所である坂に入る。


ここで清弘は手綱を緩め前に行くのを促す。


しかし、全く動かない。

清弘は、手綱を追い始める。

鞭を入れようが直線に入っても全く動かない。


そして、そのままゴール。

14着。シンガリ負けだった。


『すいません。』

清弘はレース後、高橋調教師と馬主にすぐに謝りに行った。

『やっぱり、渡辺騎手でないと厳しいですか。』

『いや、今日は彼のせいではなく、私たちの方が責任が大きいですよ。本当にもうしわけないです。』

高橋調教師は言葉には出さないが、清弘は自分の失敗であるとひしひしと感じた。



---厩舎に戻ると渡辺さんがいた。

『すごいジャジャ馬だったろ?』

『はい、自分では力不足でした。』

『いや、あの馬には俺だって最初に苦労したさ。』

スターパルスは3歳でデビューを果たすも、デビューから6連敗。

OPに勝ち上がれたのは5歳の10月だ。

『人間誰しもいつもうまく行くわけじゃない。それでも高村は一歩一歩登ってダービーが届く位置まで来ている。今日はダメダメだったがな!』

『来年の天皇賞では渡辺さんに負けないように頑張ります!』

『ああ、今日のことは忘れず、ダービー頑張れよ。

高村に1番期待しているからな。』



渡辺さんのエールをもらった清弘。

G1をダービーを勝つ理由が一つ増えた。




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