5話
「………はい?」
「まあ、正直に言うと。今の問題は解決することができるんだよね。割と簡単に」
実は先ほどまで挙げた問題、すべて解決することができる。神器作成者でもない限り、無理ではあるのだが。実力に物を言わせ、ゴリ押そうとしているだけである。
エネルギー消費が激しい?『賢者の石』の無限エネルギーで動かせばいいだけである。
被弾率が高くなる?防御力を上げればいい。
防御力が劣る?特殊な金属を使い、魔道具化をすればどうにでもなる。
機動力?エネルギーに物を言わせて、バーニアか何かをつければいい。
整備が難しい?神器を大量に作っておいて今さらな話だ。そもそも、難しい方が燃えるというものだろう。
習熟が難しい?サポート用のAIでもつければいいのだ。操作もできる限り容易にすればいい。
つまりは、やろうと思えばどうにでもなる。だから、作りたい方を作ればいい。そう結論付けられてしまうのだ。生産系の物事においては自分でも思っていなかった程に、チートと化していたようだ。法則を捻じ曲げているのだし。
「……ッ、しかし!問題が解決できるということは、後者のことでも実行できるということでしょう!?ならば、メリットの多い後者の案であるべきです!」
「そうかもね。けど、最終的にはそんなに性能差は変わらなくなると思ってるよ。それに、一番大きな理由がある」
いくら僕だって、自分の好きなことだけやっていけるわけではない、ということぐらいわかってる。というか、地球ではそれが普通。お金を貰うには依頼された作品を作り上げなくちゃいけない。どんなに嫌なものだったとしても。
こちらに来てからも、同じことだと言える。下手をすれば、死人の数は増える一方だ。可能な限り、慎重に事を進めなくちゃいけない。
「理由、ですか。それはどのような?」
不機嫌なルクレースさんに代わってくれたのはロメリアさんだ。冷静に物事を見ていることもあり、まともに話すことができそうである。
「理由としては二つ。一つ、そもそも人材が少ないこと。二つ、今必要なのは単純な戦闘力じゃなくて、汎用性であること、かな」
僕が人型兵器を推しているのは、主にその二つが理由である。じっくり考えてもみたのだが、やはりどちらかを選べと言われれば、人型兵器と結論が出る。何故なら、現状は通常の状態、加えて前提条件も異なるからであった。
「通常の状態と、前提条件……ですか?」
「そ、そこが重要なポイントさ」
そもそも、だ。汎用性が欲しいのなら、重機(つまりはショベルカーやダンプカー)でも引っ張って来いというのが通説である。巨大ロボットと重機では、重機に軍配が上がるからである。
しかし、だ。重機はあくまで作業をするための乗り物である。戦うようには作られていない。また、戦闘機や戦車にしても同じ。こちらは戦うものであり、作業をするためには設計されていない。
さて、ここで思い出してほしい。今この世界はどんな状態に陥っている?魔物に支配され、あっちこっちに魔物が闊歩している、そんな状態だ。そんなところで重機のみを放ったら?あるいは、戦闘機や戦車のみを放ったら?どうなるであろうか?
答えは前者だと人材が無駄に減る、後者だと復興が進まない、である。
戦うことのできない重機では魔物に蹂躙されるだけであり、人族の命が散っていく。そして、一度戦闘になれば、作業していた場所はまた破壊される可能性がある。というか、破壊される可能性の方が高い。破壊されれば、重機に乗っていた人の命は無駄になってしまう。ただでさえ少ない命がいたずらに散っていくのだ。
一方で、戦闘機や戦車のみを送り出せば、戦闘そのものはどうにかなるだろう。地球で研究されてきた現代兵器だ、そうそう劣るとも考えにくい。が、その後の作業は進まない。そりゃそうだ、武器や弾薬を積みに積んでるんだから、作業用の道具を搭載するスペースなんてあるわけがない。それに、仮に載せられたところで、実際に作業するには機体を降りなければならないだろう。降りている最中に、魔物に襲われないとも限らない。
それなら両方同時に運用しろよ!という話なのだが……これもまた考えてもみてほしい。今はどういう状況なのかを。
そう、人族の数は決して多くない。重機部隊、戦闘部隊に分けるにしたって、数が足りない。いや、足りないというわけでもないが、悠長にやっていると僕の寿命が尽きる。神たちの要求は世界を救うことだ。人族のみを救うことではない。
となると、作業・戦闘どちらもこなせるものを作るのが好ましい。そのため、戦闘機・戦車よりも人型兵器を造る方がいいという結論に至ったのだ。
「そういうことでしたか………」
「うん、これでも何も考えてないわけじゃないからね」
理由を聞いて、納得できた人は増えた。まあ、納得できない人がいるのもわかる。実物を見て、体験したわけでもないのに、大丈夫と言われて安心できるはずもないだろう。彼ら、彼女らは僕と違って、本当に命を懸けているのだから。本当に信用してもらうには、完成したものを見せるしかないだろう。
「そういうわけで、もし追加してほしい装備や思い付いたアイデアがあれば、どんどん言ってほしいかな?」
最後にそう締めくくって、僕からの話を終えるのだった。
ちなみに、意見は出たよ?そりゃもう、じゃんじゃんと。




