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エピローグ

 「あー、もうどうしてこうなるかな………」


 フロア2の食事処にて、僕はぐったりとしていた。徹夜明けに面倒事が舞い込んだら、どっと疲れが襲って来ても仕方ないよ。もうちょっと自重してくれないものかね?トップはちゃんとしてるのに。

 やれやれと肩を竦め、いざこざを収めたついでに買ってきた朝ご飯を口にする。今日からはしばらくデスクワークだし、手よりも頭を使うことになるだろう。それに、インスピレーションが大事なキーになってくるし。初めての試みだし、試行錯誤を重ねるかもしれないことを考えて、あまり時間は掛けたくないけれど………


 「何やってんだ?」

 「んー……人族を働かせるための魔道具作り?みたいな?」

 「なんだそれ」


 興味無さそうにカレーパン(山ほど机に積んでいる)を食べているのはフェルトだ。トレーニングをして一息つくために、間食を食べているのだとか。……朝からカレーを大量に食べておいて、あれだけ食べられているのは異常だと思う。というか、そもそもの話。フェルトはカレーばっかり食べているのに、飽きないのだろうか?そこが一番気になる。

 白紙に線を引いたり、数や字を書き込んだり、時には消したり。せわしなく頭を働かせる。なにせ、これが完成すれば人族が戦力になるのだから、真面目にやらないわけにもいかないのだ。


 「そういや、俺たちにも働けってことだっけ?俺はここでだらけてる方が好きなんだけどねー」

 「趣味に走ることをだらける、っていうなら全面的に賛成だけどね。そういうわけにもいかないでしょ」


 今のままじゃいけないことはわかってるし、このまま放っておいて状況が好転するとも思えない。それなら、動くしかないのだ。今の僕たちができることを、全力で。

 ちなみに、今話に加わったのがローランさん。ティオの事件が起きたときに初めて会った、あのやる気のなさそうな人である。まあ、実際ないのだけども。


 「で、具体的にどうするんだ?」

 「うーんとね、一人一人にカードを渡そうと思ってるんだ」


 二人は?を頭に浮かべた。そりゃそうだ、まだ話の途中だし。


 「カード内にその人の働きに応じたポイントをチャージできるようにするんだ。いずれは物を買うのにポイントを使って買い物をするようになると思う」

 「はあ!?」


 大声を上げたのはフェルトだ。驚きの声でカレーパンのパン粉がポロポロ零れたけど。こらこら。


 「それじゃ、オレがカレーを食えなくなるじゃねえか!」

 「いや、それは大丈夫。食料品みたいな生きてくのに必須なものは値段を抑えるし。それに、戦う人は戦いの内容と戦果でポイント配給するから」

 「なんだ、早く言えよ」


 これからもカレーを食べられるとわかっただけで、すぐに興味を失った。フェルトは今日も順調にフェルトしてるなあ。ある意味、感心しちゃうよ。


 「んー?でも、それならポイント制じゃなくてもいいんじゃない?これまで通りなら楽でいいじゃん?」

 「そういうわけにもいかないでしょ。それをしてたら、いざ地上に戻ったときシステム忘れて、文明が崩壊する可能性あるし」


 そうなったら、後は悲惨だ。強者が弱者を喰らう、今と同じような世界に戻ってしまう。そんなことは避けたいのだ。


 「ま、そういうことだから諦めて働いてくれ、ということで」


 そう締めくくり、仕事に没頭するのだった。


※               ※               ※

 「ふう……思っていたよりずっと難しいものだな………」


 アニメの中ではポンポン造っているので、意外といけるかと思っていた。でも、そんなのは最初だけ。これがまあ、難しいの何の。ゲームセンターで有名なあの音楽ゲームで、練習も何もなしにいきなり難易度鬼を選ぶようなもんだね。

 それでも、これはやるべきことだとわかってるし……何より、なんだかんだ言って楽しんでる。途中で放り出すという気もなければ、弱音を吐く気もなかった。弱音の方に関しては元々言うつもりはないのだけども。


 「……急にどうしたの?」

 「いや、何というか……なんとなく?」


 背中に温かみを感じたので、振り返ることなく言葉を投げかけた。相手はわかってる。ここのところはいつも同じようなことをされてるので、慣れてきたのだ。


 「……前にも言ったんだけどねえ。僕はろくでなしだよ、って」

 「それに関しちゃ、あたしも言ってるだろ。ろくでなしじゃねえって」

 「君も意外と頑固だねえ……後、意外と甘えん坊さんだ」


 苦笑しながら振り返ると、そこには頬を膨らませているティオがいる。彼女との距離は触れそうなほど……否、完全に触れている。傍から見たら、恋人たちがイチャイチャしてるようにも見えるかもだ。

 改めて見ると、ティオは美人である。贔屓目とか、性格もちゃんと考えてとかを抜いたとしても。


 褐色の肌に、天然物の白い髪。白い髪は長めに伸ばし、後頭部で一つにまとめて垂らしている。いわゆるポニテだ。なんでこうしているのかを聞くと、動きやすいからだそう。似合っているし、いいんじゃないかな。前にそんなことを言ったら、かなり喜んでいた。それを見て、彼女の気持ちに気付いた。というか、そうじゃないかなと思っていたことが確信に変わった。

 スレンダーな体型で、足が長く、無駄な肉を一切合切削ぎ落とした感じ、と言えばいいだろうか。モデルさんと言われれば、信じてしまいそうなまでの綺麗な体型だった。ただ、本人が気にしているようなので言わないが……胸が小さい。ぺったんこ、ではないが、密着されたら微かな膨らみに気付けるよ、ぐらい。

 あとはいたずらっ子のような笑みをよく浮かべてる、というのも特徴だろうか。なんとなく、猫を思い浮かべるような子である。それに、肌の露出は多めかな。太ももの半分から下、おへそ、腕は剥き出しである。ちょっとエロいな、と感じたのはここだけの話。


 さて、話を戻そう。ティオのことをティオと呼ぶようになってからは、スキンシップが激しくなった。抱き着いてくるのは当たり前、時折部屋に引き摺り込もうとしてくる。何をしようとしているのかは、婿探しと言っているところからお察しである。

 とはいえ、たまに料理の差し入れをしてくれたり、部屋の掃除に来てくれたりと、なんだかんだ面倒見がいい子なので、こうして付き合う分には問題ないとは思ってる。


 「で、何やってんだ?」

 「ちょっとね。これから人族にも戦ってもらわなきゃだし、秘密兵器を設計してるとこ」

 「秘密兵器?」


 紙に広げられたそこに描かれた図面は、男であれば恐らく一度は憧れたであろう存在。けれども、実際に造ることはかなり難易度が高いもの。それは………


 「巨大ロボット造ろうと思っててね」

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