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7話

この作品で初めてのブックマーク登録をいただきました。ブックマーク登録をしてくれた方、ありがとうございます。

 「本当に、申し訳ありませんでした………」

 「わかったのならいいのです。さて、訓練に行きますよ」


 頭を殴られてから、1時間ほど。なんやかんやあって、土下座までしてようやく許してもらえた。ゲイムロルさんはちゃんとわかったのが嬉しいらしく、そのまま訓練場へと連れて行かれそうになった。


 「え、それは少し待ってもらっても………」

 「何か?」


 鋭い眼光。有無を言わさないようかの態度。あまりにも冷た過ぎる視線に、僕は頷かざるを得なかった。じゃないと、命の危機を感じるし。


 「イエ、ナンデモアリマセン………」

 「そうでしょう。早く行きますよ」


 ずるずると引き摺られて、訓練場へと行くことに……いや、正直連行という言葉が合う気がする。だって、今僕ぼろ雑巾みたいにズタボロにされたからね。生きてるのが不思議なレベルだね。


 「……今日、死なないといいな………」


 軽くため息をつきながら、小さく呟くのだった。自業自得だから仕方なくはあるんだけどさ。せめて、傷を治してからにしてほしいと思う。痛くてとてもじゃないけど、いつものような動きはできないよね。となると、またボコボコにされるわけで。わお、悪循環が止まらない。泣きたくなってくるね。泣かないけどさ。


 「……そういえばなんですけど」

 「なんですか?」

 「いや、特訓やってくれているのはありがたいです。感謝もしてるんです、けど……正直、時間掛けてていいのかな、って。たぶんですけど、危機的状況になってるんですよね?」

 「ああ、そのことですか。心配する必要はありませんよ」


 ゲイムロルさんの言葉に首を傾げる。何か秘策のようなものがあるんだろうか?もしかして、神様らしく過去に送るとか?それなら確かに間に合うかもだね。


 「そのような心配をしていて、訓練に身が入らないことは困ります。説明しておきましょうか。その前に、あなたはこれを使うように」


 ゲイムロルさんはとある部屋に入って、ひょいと何かを投げ渡してきた。キャッチしたそれをまじまじと見てみると、スプレー型の何かだ。何が入ってるんだろ?


 「噴射型の回復薬です。それで怪我を治しなさい。いずれは怪我をした状態でも戦う必要はあるでしょうが、今はそこまでの必要性を感じません。まずは私の攻撃に対して、対応できるようになることからです」

 「そうなんですか。ありがとうございます。じゃあ、遠慮なく」


 助かった。本当にこのまま行くものだと思ってたから、本気で死ぬかもと考えてたんだよね。いくらなんでも、そこまで非常識ではなかったみたいだよ。僕は安心して、回復薬を塗り付けていった。塗った所は段々と痛みが薄れていってることから、便利だなとは感じたかな。今作ってるやつが完成したら、回復薬にも手をつけてみるといいかもね。生命線になるだろうし。


 「……と、ミーミル様が言っていましたね。私は早くからやらせるべきかと思っていたのですが」

 「………………」


 前言撤回。ゲイムロルさんに常識はなかったみたいだ。誰かは知らないけど、そのミーミルって神様。本当にありがとう。心の中で感謝の念を送りながら、薬を塗り終えた。これでまともに動けるようにはなったかな。


 「ふむ、終わったようですね。向かいましょうか」

 「あ、はい」


 ゲイムロルさんの後を追って、廊下を歩いていく。隣でちらりと見ると、本当に綺麗な人だなとは思う。人かどうかはわからないけど。付け加えるなら、やや残念な人という冠はつくけども。


 「さて、大丈夫といった理由でしたね。理由は簡単です。ここは下界とは時の流れ方が違うからです」

 「時の流れ方、ですか?」

 「ええ」


 ゲイムロルさんが頷く。そんな便利空間があったんだ。それなら確かになんとかなるよね。こっちでいくらか経っていても、むこうじゃ少ししか流れていないなら、間に合うはずだし。


 「ここはヴァルハラという場所です。聞いたことはありますか?」

 「えっと……少しぐらいは。確か、死んでしまった戦士たちが向かう場所、でしたよね?そこで昼間は戦う、みたいな」

 「少し異なりますね。ヴァルハラは優秀な戦士を見つけ、連れて来る場所。そして、来たるべき神々の戦争――――ラグナロクでの戦力を育成するための場所とも言えます」

 「へええ」


 あんまりそういったことに詳しくなかったために、耳にする情報は初めてのことだった。ちゃんと覚えられるように、しっかりと耳を傾けておく。その態度に満足したのか、ゲイムロルさんは得意になって説明し始めた。


 「ええ。ここでは仮に死んでしまったとしても、夕刻には生き返れます。そのため、多少厳しめの鍛錬を行っても大丈夫なのですよ」

 「そ、そうなんですか………」

 「そうですよ。更にここは下界と比べて、10倍の速度で時間が流れています。何故だかわかりますか?」


 隣を歩く美女は上機嫌の様子だ。ここで間違えて、機嫌を悪くしたくはないよねえ。ちゃんと答えないと。それに、この人はこのヴァルハラという場所を誇りにしているんだと思う。それなら、きちんと考えて答えないと。

 手掛かりとしては、そのラグナロクってことだよね。神々の戦争とのことだったから、きっと物騒なことだってのはわかるけど……詳しい内容まではわからない。とりあえず、ここは人材を発見した後に、管理と育成をする場所だって考えればいいのかな。


 「あ、もしかして」

 「わかりましたか?」

 「ラグナロク自体がいつ起こるかわからない、からですか?もしもの際に、戦士の育成が間に合ってないじゃ困りますし」


 理由として、真っ先に考えられるのはそれだった。時は金なりとも言うし、それが戦争のための戦力アップのためなら、時間はあり過ぎて困るということはないはず。そのためじゃないかな、とは思った。


 「そうですね。他にもいくつか理由はありますが、一番大きな理由としては育成猶予を多くとるため、というのが挙げられます。よく答えられました」


 よかった。笑顔を向けてもらっているのを見れば、機嫌はいいままみたい。これでさっきの分はチャラにしてくれると嬉しいなあ。八つ当たりみたいな訓練は勘弁してもらいたいとこだし。それに、なんだかんだ言っても、ゲイムロルさんだって女の人だし。笑っている方がいいと思う。


 「では、訓練を始めましょう!」

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