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5話

 「こんな感じ、かな?」


 我ながら上手く書けたと思う。あくまで真似事でしかなかったけど、そっくりの魔法陣を書くことができた。それに、イメージもバッチリ。次はこれを道具に書いてみることかな。


 「とと、そういえばっと」


 まだまだ調べることはある。発動させる方法と、これは必ずしも書かなければいけないのか、ということ。また、書くにしても専用のペンが必要なのか、ということ。それも知らないままに魔道具を使うわけにはいかない。知らないままに物を使うのは危険だし。


 「んーっと、これは……あ、あったあった。ここかな?」


 ノートを開いて、本に書かれたことを写していく。先ほどの疑問に答えると、こういうことらしい。


 ・発動させる方法は?⇒魔法陣に魔力を流し込むこと。このとき魔法陣に触れている必要はない。あくまで、魔法陣のある位置を意識して流し込むということが重要。


 ・魔法陣は『書かなければ』いけない?⇒そのようなことはない。絵柄の一つとして『描く』でも、彫刻の一つとして『彫る』でも、魔法陣として認識される。魔法陣はあくまで『正確に』刻まれていることが大事なのであり、どう刻むのかは自由。


 ・魔法陣を書くには専用のペンが必要?⇒必要ない。専用のペンなどはあるが、それは書きやすいだけだったり、元々それが魔道具であるために補正が効いたりするということだけ。通常のペンで十分に効果を発揮する。


 「なるほどねえ………」


 となると、魔道具を作ること自体はハードルが低いのだと思う。万人ができないのは知識がなかったり、上手くイメージし辛かったりするだけなんだろうと。ペンを置いて、魔法陣の書かれた紙を手に取る。これをどこかに貼り付ければ、魔道具になるのかな、と思う。


 「物は試し、だよね」


 魔力の制御の仕方ぐらいは、嫌というほどに叩き込まれている。勿論、ゲイムロルさんに。魔法陣の書かれた紙を持って、適当な道具を見繕う。あくまで実験なわけだし、そこまで完璧なものは必要ないからね。

 水が出るものなわけだから、水道みたいな感じで作ってみればいいか。手元に近かったパイプの中に紙を丸めて差し込む。使い捨ての紙だし、ぐちゃぐちゃになっても構わないかな。また使いたければ、アルミホイルやプラスチックの変形できそうな代物に魔法陣を描けばいいし。そうしてできた簡易版の水道の魔法陣に魔力を送り込む。


 「うげ、やり過ぎた………」


 水道から水が流れ出すみたいに、魔法陣から水を垂れ流せるように描いたんだけど。水の出てくる勢いが強過ぎた。その魔道具(ここでは便宜上、水道(仮)とするけれど)は手を離れてしまう。手から離れたパイプはそのまましばらく地面を暴れ回った後に、紙が中から抜け落ちる。


 「あちゃー、また失敗かあ………」


 魔道具としては使えるけど、水の勢いの微調整が必要みたい。魔法陣を描くときにはその人のイメージがそのまま威力、効果に直結するらしいからねえ。そこまで強かった気はしないけど、この魔道具として使うには水の勢いがあり過ぎなのは間違いない。とにかく、また作り直さなきゃと紙を拾って気付いた。


 「水がまだ出てる………」


 紙から水が流れていた。すぐに水で魔法陣が歪んでしまい、水が止まってしまったけども。僕にはそれが衝撃的だった。そうだ、よくよく考えてみればそうじゃないか。


 「紙に書いただけでも魔道具としては機能する……お札みたいな感じにすれば携帯性も上がるし、何より量産するのが簡単だ!」


 思い立ったら即行動。紙切れを集めて、適当な大きさに切っていく。そこから先は本とにらめっこ状態だ。魔法陣を描きながら、どこまでの威力、効果量を出すのかもはっきりとイメージしていく。書き終えたものを積み上げていくと、1時間もしないうちにそこそこの量ができていた。

 今度は水を出すものではなく、身体強化系のものが主体。他にも、炎や雷を出すものや一時的に物の動きを止めるものまで、たくさん書いた。その代わり………


 「うああ、手がー……手がー………」


 某空中に浮かぶ城に住んでた一族の末裔さんみたいに、手を押さえてゴロンゴロンと転げ回る羽目に。一度集中し出すと、自分の状態すらわからなくなるからなあ。腱鞘炎にならなけりゃいいけど。


 「き、気を取り直して、検証スタート………」


 まだ手は痛むけど、書いていない方の手は動かせる。時間は貴重なんだから、有効に利用しないとね。紙の一枚を取って、魔力を流した。

 無事に発動したのを確認する。どうやら、これで十分魔道具としての役目は果たせそう。それと同時に、今までにないほどの力を感じた。身体強化の魔法陣は上手くいったみたい。


 「名付けるなら、身体強化の護符かな?」


 ピョンピョンと飛び跳ねたり、軽く走り回ったりする。うん、いつもよりずっと体が軽い。今ならゲイムロルさんの攻撃に対応することもできるかも?


 「よーし、他のも確認しますか!」


 次の護符を手に取って、効果を発動していくのだった。


※               ※               ※

 「……馬鹿だった………」


 調子に乗り過ぎた。それを次の日に実感させられた。動こうとすれば、鈍い痛みが襲う。それが全身そうなのだ。なんでよく考えずにやらかしたのかと、僕は昨日の僕に物申したくなった。後悔先に立たずとはまさにこのことだよ………

 初めての魔道具ができたことで、僕は調子に乗っていた。高くなった身体能力の確認……という名目で、普段できないようなことをしていたんだ。バク中だったり、100m走を6秒台で走り切ったり、片手で逆立ちをしてみたり。それはもう、好き放題やっていた。他の護符の効果もきちんと確認できてたし、よくできたと思ったのだ。


 「でも、それが失敗だったなあ………」


 が、問題はその後。満足いって、寝落ちしてしまった僕は筋肉痛に悩まされることとなった。当たり前だ。急にあんな運動をして、整理運動もなしにそのまま寝れば、筋肉痛になるのは当然の流れだろう。現在、呻きながら苦しんでいるわけである。


 「最初の魔道具はあれでいいとして……これからどんなものを作っていくかだよねえ………」


 それでも、物を作るための思考は止めない。失敗したなら次に活かせばいい。重い身体を引き摺りながら、ノートにアイデアを書き込んでいくのだった。

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