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エピローグ

 そんなことがあって、今に至る。旧人族大陸すべてを取り戻せたわけじゃないけど、ようやくこの大陸に誰かが安心して住める場所ができた。それだけでも十分な戦果ではあるだろう。当分はここを拠点として、徐々に活動できる範囲を広げていくつもりだ。なにせ、魔族大陸や多種族大陸はここじゃ比べ物にならないほどに危険らしい。無理は禁物というわけだ。

 この大陸にもまだ生存者が残っているはず。残った生存者たちを集めれば十分な戦力にもなると思う。勿論彼らが同意してくれれば、という冠はついてしまうのだが。


 さてと、未来のことは取り敢えずまたゆっくりと考えていくとして。今は目の前のことをどうにかしていかないと。廃墟と化した街並みを見て苦笑いする。

 魔物たちが侵攻してきたせいで建物は大きく傷つき、修復の二文字を知らない魔物たちはボロボロの建物をそのままにしていた。そこにあの大規模作戦が起こった。そりゃあ廃墟にもなるってものだ。せいぜい王城が形を残しているのがせめてもの救い。その城にしたって血や体液(その人の名誉のために体液としておいてあげてほしい)で汚れているし。まあ、埃が積もってないのはリャナンシーが定期的に掃除していたのかも。すべての魔物が直すとか掃除するとか知らないわけでもないらしい。訂正しとこう。


 話が逸れた。とにかく、この街を復興させるのが今やるべきことというわけだ。王城に囚われていた人たちの中で、ある程度元気な人たちを集めて建造物の撤去・建設が始まった。……神器ありきで。

 言い訳させてもらうと、だって仕方ないじゃんと言いたい。僕がいなくなっても大丈夫とは言い難いし、むしろ状況が悪化する未来しか見えない。この事態の元を辿れば人族のせいなわけだからね。彼らにも言い分はあるとはいえ、他の種族からしたらたまったものじゃない。僕みたいな中立の立場の人がいないと更なる争いになって、今度こそ全種族が滅びかねない。うーん、責任重大。

 まあ、要するにだ。今はいつも通りに物を作って、みんなの信頼を得ましょうね。ってことだね。これだけのことなのに、なんでめんどくさいことになってるんだか。


 「とにかく、作業を続けまくれってことだよねえ………」


 ああ、懐かしき徹夜の日々。嬉しくも何ともないけど、この日々が戻ってきた。とはいっても、せいぜい2、3日程度には短い。リューさんいるからね。作業も捗る捗る。

 そうそう、リューさんで思い出した。今のみんなの様子。みんなそれぞれ頑張ってるみたい。直接知ってる子も何人かはいるけど。わざわざ報告に来てくれるからね。


 まずはティオから。今までのようにずっと傍にいるかと思ったら違ってた。彼女はこの街の奴隷を解放して、説得をしてくれている。クリストフェルに直談判して、承認まで貰ったというのだからなかなかだ。そして、何もかも力で押し通そうとしなくなった辺り、変わったのだなと強く思う。その代わり、時間が空くと僕のところに来て滅茶苦茶甘えてくる。ここは変わらないのかと笑ってしまった。


 次にリューさん。正式に仲間となった彼女は僕以上に忙しい。ここで何があったのかという聞き込みに始まり、手が足りてないところの手伝い、魔物の討伐に僕の補助までやっている。それで疲れをまったく見せないのだからとんでもない。

 というか、呼んだらそこにいるってすごくないだろうか。他の仕事に向かっていたことを知っていた上で、ついうっかりで呼んでしまったのはあれかもしれないのだが。その声に反応し、後ろに立っていたのを見たときにはホラーか何かと思うほど。頼りになるのはいいのだが、物理法則を無視するのはやめてほしい。いや、僕が言えたことでもないかもしれない。神器はあれだし。ともかく、彼女もまた忙しそうだ。


 クリストフェルは王族の生き残りとして、王城で仕事中。毎日書類と格闘しているらしい。そうでないときだって誰かに指示を与えているとき。気が休まるときがなかなかないとこの前ぼやいていた。とはいえ、他にまとめ上げられる人がいないのも事実。途中で放り出さないだけマシだ。そもそも、クリストフェル以外がかなり問題ある人ばっからしいし。愚痴を聞くぐらいなら安いものだろう。それでこの国が少しでも良くなっていくのなら、何度だって付き合うつもりである。


 ロメリアさんを含む騎士団は王都の治安を守っている。王都に近付く魔物を討伐する以外にも、魔物が転移してこないか巡回をしていたり、言い合いや喧嘩といったトラブルの対処をしたり。こちらもこちらで忙しそうだった。ただ、戦場ほどではないと気丈に笑う辺り、彼女の中でも何かが変わったのかもしれない。以前よりも団長らしくなった、と言うべきだろうか。いい方向に変わったのはいいことだと思う。


 他にもナトゥラさんやガドルさん、ラウルさんと色々な人がいる。でも、最初に出会ったころから少しずつ変わっているのはわかる。みんな、自分なりに前へと進んでいるんだ。

 だから、と手元を見る。また新しい魔道具が生まれ、日の光を浴びていた。


 「ここの人たちが前よりもいい関係になれるように手伝えればいいな」


 僕を呼ぶ声に振り返る。笑顔を浮かべて、そちらへと向かっていく。さて、今日も忙しくなりそうだ。

















 「そういや、あの小せえやつ、どうして眼帯なんて付けてんだ?」

 「なんでもおしゃれらしいぞ?」

 「ふーん?俺にゃ何かを封印してるように見えたけどな………」

 「何恥ずかしいこと言ってんだ?」

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