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17話

 補足説明。最近になってわかってきたことと、できるようになったことがある。

 まずは最近になってわかってきたこと。どうやら、ここは北欧神話圏内にある場所みたい。神界と言えど、一つではないらしい。ギリシャ神話に始まり、北欧神話、インド神話にクトゥルフ神話まで。色々な神話に登場する神々が住まう場所。それこそが神界なのだとか。


 僕がここに来た理由は簡単。単純に、ここが一番ドンパチやるところだから。それに、知名度も高い。ドンパチ度合いではインド神話の方もよくやってるらしいけど、あっちは人外が多いとか。詳しくは知らないけど、ラーマとかアルジュナとかカルナとかいう人がいて、それはそれは恐ろしい大戦を繰り広げてるらしい。……地形が変わる一撃、って何なんだろうね。頭おかしいんじゃないのと言いたい。

 こっちはいくら強いと言っても、元は人間。しかも勇敢な人を集めているから、実力が拮抗するような人だって探せばいるだろう。ということらしい。勿論、さっき言ってた英雄クラスの人もいるにはいるけど、それにしたって少数だ。それだけしかいないということはない。それに、英雄クラスの人たちは人材育成や怪物との戦闘で忙しいらしいし。僕が会う機会なんてなかった。


 次に、僕を召喚した神様のこと。あの神様はヘイムダルという神様らしい。どこかの門番をしてるらしい。僕が会ったのも思念体のようなもので、本人……というか、実際には門の傍にいるのだとか。どこの門なのかまでは言ってなかったし、神様を直視したら脳が焼き切れるらしい。あまりの情報過多に。怖いね。

 僕の才能を教えてくれたのは、ミーミルという神様。賢者の神と言われてるらしく、その人が何に長けているのかも見ただけでわかるそう。僕に戦闘の才能がないのがわかったのも、そのためだって言ってた。こちらも僕に会うときはフィルター越しに会っているそう。


 今度はゲイムロルさん。ゲイムロルさんは戦乙女――――ヴァルキリーと呼んでも、ワルキューレと呼んでもいいらしい――――という種族らしい。簡単に表現すれば、天使のようなものだろうか。とにかく、神様とは違うらしい。戦乙女の役割は戦士の発掘、育成、後はもてなしなんだって。死んだ者たちの中から、勇敢で優秀な魂を連れて、ヴァルハラに連れて来る。で、ラグナロクに備えて、鍛え上げていく。夜になったら、お酒をお酌したりする。それが役割だそうだ。

 また、戦乙女は何人もいる。前に、別の人を見たときは驚いた。髪形や服装は若干違うものの、ゲイムロルさんにそっくりだったし。しかも、彼氏がいるらしかったし。彼氏は戦士なのだとか。神様に恋することはやっぱり恐れ多くてできないらしい。なので、普通は戦士と恋仲になることが多いのだとか。それがどうして僕を意識するのかは不思議……な、わけでもないか。溺愛の気持ちが混じっちゃってるわけだし。


 最後に。ヴァルハラは魂のみの状態でしか入れないのだとか。それはそうだよね。ここ、死人が来るところだもん。僕は入れないはずだったのだ。けど、そこは危機に瀕してるらしい神様。僕の肉体と魂を切り離して、魂だけここに送ってくれたらしい。肉体の方はミーミルさんが管理中。冷凍保存してあるから、腐ることはないだろうし、歳も取らないはずなんだって。


 話は変わって、今できること。

 戦闘に関しては、動けるようにはなったかな。耐えるだけなら、戦士訓練生に遅れは取らない。ヴォルフとの戦いでも、今は1時間ぐらいなら保たせられる。ゲイムロルさんとはまだ戦いにすらなってないけど。

 一方、魔道具の方は順調と言えるほどに順調。魔法陣式の魔道具はマスターした上、魔石を使って作る組み込み式、難易度が高いと言われている術式式。それらすべてを手掛けられるようにはなった。今はアクセサリーだけじゃなく、武器も作れるようになった。そのせいもあってか、何人かの戦士訓練生(女子多めではあるが)からは刃引きした武器を作ってほしいとも言われている。ヴォルフも依頼してるけど、こっちはアクセサリー。なんでも、武器持つと動きにくくて仕方ない、だそうだ。確かに、ヴォルフはあのままでいいと思う。……いや、変態的な格好は正すべきだけども。


 「まあ、成長はしてるんだけどねえ………」


 確実に成長はしている。5年前と比べれば、死ぬほど努力した甲斐もあって(これは文字通り死んだこともある)、強くなっている。それに、できることも増えた。知識も増やすことができた。

 でも、足りない。圧倒的なまでに、時間が足りていない。何か大幅に変わることができるきっかけがあれば、話は違うのかもしれないが………


 「あ、新しいのできた」


 途中から考えることを放棄するために、魔道具作成に没頭していた。気が付いていたら、何かよくわからないものが手元にある。


 「なんだろ、これ?」


 作った本人にさえ、どんな能力なのかわからない魔道具。手の平大の大きさで、何の変哲もないような石ころ。どうやったらこんなものができるんだろう?思わず首を傾げてしまう。

 ただ、綺麗な石だ。絶えず色が変化し続け、時折虹色にもなっている。宝石の原石を見る機会があれば、こういった感じになるのだろうか。それほどに特徴的なものだった。魔力も感じられるし、単なる石ではなさそうだ。


 「ま、いっか。ゲイムロルさん辺りにでも聞いてみよ」


 僕は出来上がった石を手に持って、何か助言をしてくれそうなあの戦乙女の元へと向かうのだった。

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