16話
評価点つけていただきました。ありがとうございます。
……この点数が上がるように、頑張りたいなあ………
「やれやれ、問題は山積みだねえ………」
女の子たちのことといい、ゲイムロルさんのことといい、神様たちのことといい、男たちのことといい、自分のこれからについてといい。やることは多いのに、時間はただただ通り過ぎていく。それを恨めしく思ってしまうのは罰当たりだろうか。魔道具を作るための部屋を見渡しながら、そんな風に考える。
時間がいくらあっても足りない。自分でもベストを尽くしてるつもりだ。修行にも、魔道具作成にも手は抜いちゃいない。こっちでは寝なくても平気なので、不眠不休で作業している。その甲斐もあって、ここに来たばかりよりはずっと動けるようになった。今ではゲイムロルさんの槍も、5発に1発は確実に躱せるようになった。魔道具込なら、ヴォルフにだって食い下がれる。いまだ女の子相手は苦手だけど、耐えるだけならかなり保たせることができる。実力自体はついてるのだ。
「でもなあ………」
設計図を新たに書き始めながら、問題の数々について思いを巡らせる。作業は手慣れたもので、もう考えることをしないでも勝手に手が動く。新しいものを作っていける。それほどには数を作ってきたつもりだった。
神様は何かを悩んでいる様子だった。このところ、ゲイムロルさんと話しているのもよく見る。僕を見かけると、曖昧に誤魔化している。ただの雑談じゃよ、程度に。
「はあ………」
嘘だ。雑談をするなら、他の神様でもいい。そもそも、ゲイムロルさんとて忙しくないはずがない。彼女もまた努力家だ。僕を鍛え上げるために、練習メニューを必死に考えているのを知っている。そんな彼女を好き好んで邪魔しようとは思わないだろう。あの神様はそういう性格だ。
なら、どうして来てるのか。そんなこと、簡単だ。僕がこれから行く世界に、よろしくないことが起きたのだろう。それも、相当深刻なものが。いつ僕が使い物になるのかと、あの人に聞きに行っているのだと思う。早く、むこうに送りたいから。
「………まったく、鈍感じゃないのも考え物だよ…………」
鈍感であれば、気付かなくてただだらだらと過ごすこともできた。焦る必要なんてなくて、自分のペースで進めばいいと思えた。他の問題も時間が解決するだろう、なんて。
できた魔道具は保管室に保管するもの、机に放置しておくもの、袋の中に詰めておくものに分けていく。分類としてはそれぞれ上出来なもの、まあまあ上手くいったもの、あんまり上手くいかなかったものとなっている。恐らく使うのは保管室にあるものだろうね。
「これは……机かなあ?」
できたものは決して悪いものじゃない。来たばかりの頃で言えば、大成功レベルの一品だ。けど、今の僕からしたらこの程度はできて当然レベルなのである。出来はそこそこレベルなので、机の上に置いておくことにした。ひょっとすると、誰かが使いたいと言うかもしれないし。
ふう、とため息をつく。思うのはやはり、先ほどのことだ。いろんなことが僕を悩ませている、と。それは場所が場所だけに仕方なくはある。でも、それにしたって情けないと感じてしまう。気付けていない人たちに。それ以上に、何もできない自分に。
まず、女の子たちの問題。これは女子たちの男への耐性の低さから来ている。別に、男と話すこと自体は大丈夫なのだ。拳を交わす相手だ、目を合わすことすらできないわけじゃない。話をすることもできないわけじゃない。単に、褒め言葉に弱いのだ。
僕以外の男たちは戦いのことで頭がいっぱいなのである。戦い方や強さを褒めはしても、女の子らしさやおしゃれなどを褒めたりはしない。戦士に不要だからね。だから私服姿を見ても、いいんじゃないか、ぐらいしか言わないのだ。
けれど、いくら戦い第一の女子たちとはいえ、女子は女子。女の部分も褒めてほしいと願っているんだよね。そこに、どこが可愛い。これが似合ってるなどと言ってくれる男を、一人放り込んだらどうなるか。答えがこの状況だ。きっかけとしては十分。付き合いたいと願う女の子が増える。
男たちの問題もそれに関係してる。僕がモテているから、嫉妬している。ただそれだけ。でも、嫌がらせをするのは戦士として恥ずかしい。そのため、模擬戦で絡んで来てはボコボコにしようとしているらしい。
問題解決に向けては、男連中に女の子の扱い方を教える必要がある。が、これがなかなか上手くいかない。日本人は太陽を赤、ないしはオレンジで書くことが多い。対して、外国では黄色で書くことがあるらしい。日本人はそれをどう思うだろうか?普通は変だと思うだろう。つまりはそういうことだ。
一度凝り固まってしまった常識を変えるのは難しい。それを実感したこの頃だった。
自分のこれからと、神様たちのことは先ほど言った通り。状況が悪化していて、これからの先の雲行きが怪しい。更には、神様たちも非常に困っているらしい。
こちらの解決法としては、僕が早く実力をつけること。……それも上手くいってはいない。急激に強くなれることはなく、状況を変えられる何かがあるわけでもない。これに関してはただただ地道にやっていくしかない。力が急につくことはないのだから。
最後に、ゲイムロルさんのこと。ヴォルフにはわからなかったらしいが、ゲイムロルさんもまた恋をしている。それも、どうやら僕に。
理由としては、努力家であること。辛いことがあっても、逃げ出さないこと。なんだかんだ言って、自分について来てくれていること。そして、身近に手頃な異性がいないことが挙げられるのだろう。神様は恐れ多くてそんな気持ちにはならない、でも戦士たちは自分から逃げ出していく。消去法で残るのは僕のみなのだろう。
これの解決法は現段階では何とも言えない。付き合ってしまうという選択肢はなく(いつ別れの時が来るかわからないからね)、それ以前にそもそも完全な恋というわけでもなさそうだし。初めての弟子に対する溺愛半分、恋になりかけの気持ち半分といった感じかな。今は様子見をする、という結論になってしまう。これはゲイムロルさんが答えを出さなければならないし。
「……ほーんと、時間がないなあ………」
床に寝転がって、そうぼやくのだった。




