第4話 夜の襲撃と新たな仲間
今回は第4話「夜の襲撃と新たな仲間」です。
夜の森で起こる突然の襲撃。そして、レオンを守るために戦うウッディたち。召喚した仲間たちの活躍を、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです!
それでは、第4話をお楽しみください!
「来る!」
ホーンラビットが地面を蹴り、僕たちに向かって突っ込んできた。
額に生えた鋭い角が月明かりを反射している。小さな身体からは想像できないほどの速さだ。
あの角に当たったら、ただでは済まないだろう。
「みんな、気をつけて!」
僕の声に反応して、ウッディたちが一斉に前へ出た。
「主! 守る!」
「ありがとう、ウッディ! でも無理はしないでね!」
ホーンラビットは勢いを落とさず、先頭にいたウッドゴーレムへ突進する。
ドンッ!
鈍い音が森に響いた。
「うわっ!」
小さな身体が後ろへ押し戻される。
けれど、ウッドゴーレムは倒れなかった。
「大丈夫!?」
「平気!」
返事を聞いて、僕は少しだけ安心した。
しかし、ホーンラビットはすぐに向きを変え、再びこちらを狙っている。
速い。
一度突進を止められても、すぐに次の動きへ移ってしまう。
「このままじゃ、みんなが危ない……!」
僕はオラクル・キューブを握りしめた。
今、召喚しているウッドゴーレムは6体。
スキルレベル1で召喚できる最大数は15体だったはずだ。
つまり、まだ9体を召喚できる。
「そうだ! 追加で召喚すれば……!」
僕はすぐに魔法陣を展開した。
「ユニークスキル、サモンウッドゴーレム!」
足元に光り輝く魔法陣が現れる。
その光の中から、小さなウッドゴーレムたちが次々と姿を現した。
1体、2体、3体……。
あっという間に9体が加わり、僕の周囲には合計15体のウッドゴーレムが集まった。
「おお……! これだけいると頼もしいね!」
「主!」
「守る!」
「任せて!」
ウッディたちが僕の前に並ぶ。
その小さな背中を見ていると、不思議と勇気が湧いてきた。
「よし……みんなであのホーンラビットを止めよう!」
「はい!」
ウッディたちは一斉に動き出した。
ホーンラビットが再び突進してくる。
今度は正面から受け止めるのではなく、複数のウッドゴーレムが左右に分かれて動いた。
ホーンラビットの進路をふさぐように、仲間たちが位置を変えていく。
「今だ!」
僕の声に合わせて、前方のウッドゴーレムたちが左右から近づいた。
ホーンラビットは急に方向を変えようとする。
しかし、その先にも別のウッドゴーレムが待ち構えていた。
「止めて!」
「はい!」
小さな身体が一斉に動き、ホーンラビットの進路をふさぐ。
それでもホーンラビットは諦めず、角を向けて突っ込もうとした。
「危ない!」
僕は思わず声を上げた。
ウッディが仲間たちに合図を送る。
「みんな! 今!」
その合図で、周囲のウッドゴーレムたちが一斉に動いた。
ホーンラビットの勢いが弱まる。
その隙を逃さず、別のウッドゴーレムたちが左右から押さえ込んだ。
「よし! そのまま!」
「押す!」
「負けない!」
ホーンラビットは何とか抜け出そうとしたが、15体のウッドゴーレムたちに囲まれている。
1体では難しくても、みんなで協力すれば対抗できる。
それが今の僕たちの強みだった。
「みんな、頑張って!」
僕も声を張り上げて応援する。
そのとき、ホーンラビットが急に身体をひねった。
「えっ!?」
押さえ込んでいたウッドゴーレムたちの隙間を見つけたのだ。
ホーンラビットはその場所へ向かって、勢いよく飛び出した。
そして、その進路の先には僕がいた。
「うそ……!」
逃げなきゃ。
そう思ったのに、突然のことで身体が動かなかった。
鋭い角がこちらへ迫ってくる。
その瞬間だった。
「主! 危険!」
ウッディが僕の前に飛び出した。
ドンッ!
ホーンラビットの突進を受け、ウッディの小さな身体が地面を転がった。
「ウッディ!!」
僕はすぐに駆け寄った。
ウッディは起き上がろうとしていたが、身体の一部にひびが入り、片腕も少し傷ついている。
「そんな……! ウッディ、大丈夫!?」
「主……無事?」
「僕のことはいいよ! ウッディは大丈夫なの!?」
「主……守る」
その言葉を聞いて、胸がぎゅっと締めつけられた。
自分が危険な目に遭ったのに、ウッディは僕の心配をしている。
僕を守るために、あの突進を受け止めてくれたんだ。
「ありがとう。でも、もう無理しないで……!」
僕はウッディの身体をそっと支えた。
すると、ホーンラビットが再びこちらを向いた。
まだ戦いは終わっていない。
「くっ……!」
僕は立ち上がり、仲間たちを見た。
残りのウッドゴーレムたちも、すぐに僕たちの周囲へ集まってくる。
「みんな! ウッディを守りながら、ホーンラビットを止めよう!」
「はい!」
ウッディも僕の腕の中から顔を上げた。
「主……戦う」
「ウッディは休んでいて!」
「でも……」
「大丈夫。今度は僕たちに任せて!」
ウッディは少し迷ったようだったが、やがて小さくうなずいた。
僕はウッディを安全な場所に座らせた。
そして、残りの仲間たちと向き直る。
「みんな、今度こそ決めよう!」
「おお!」
ホーンラビットが再び突進してきた。
今度は僕たちも慌てない。
左右からウッドゴーレムたちが動き、ホーンラビットの進路を少しずつ狭めていく。
ホーンラビットは何度も方向を変えようとするが、そのたびに別の仲間が立ちはだかった。
「右から来るよ!」
「右!」
「今度は左!」
「左!」
僕も声を出しながら、みんなの動きを見ていた。
ウッドゴーレムたちは小さい。
けれど、数が多く、それぞれが自分の意思で考えて動いてくれている。
ただ命令を待っているだけじゃない。
仲間同士で協力し、ホーンラビットを追い込んでいるのだ。
「すごい……みんな、ちゃんと考えて動いているんだ」
僕は思わず感心した。
そして、ついにホーンラビットの動きが止まった。
進む先をふさがれ、左右からも囲まれている。
「今だ! みんなで押さえて!」
「はい!」
ウッドゴーレムたちが一斉に動いた。
ホーンラビットは最後まで抵抗したが、ついに体勢を崩して地面に倒れ込んだ。
その後、しばらくして動かなくなった。
森に静けさが戻る。
「……終わった?」
僕は恐る恐る近づいた。
ホーンラビットはもう動いていない。
どうやら、撃退できたようだ。
「や、やった……!」
思わず声が出た。
「勝利!」
「勝った!」
ウッドゴーレムたちも嬉しそうに声を上げている。
「みんな、本当にありがとう!」
僕は仲間たちを見回した。
誰も欠けることなく、全員がここにいる。
ただ、ウッディだけは傷ついたままだ。
「そうだ、ウッディ!」
僕は急いでウッディのところへ戻った。
「ウッディ、身体は大丈夫?」
「主……無事?」
「うん。僕は大丈夫だよ。でも、ウッディが……」
ウッディの身体には、まだひびが残っている。
片腕も少し動かしにくそうだった。
僕はどうにかしてあげたいと思った。
けれど、どうすればいいのか分からない。
「オラクル・キューブ、ウッディを治す方法はないの?」
僕はキューブを取り出して尋ねた。
しかし、すぐには答えが返ってこなかった。
「お願い……何か方法があるなら教えてよ」
僕はウッディの身体を見つめた。
ウッディは僕を守ってくれた。
だから、今度は僕が何とかしてあげたい。
そのときだった。
オラクル・キューブが突然、強い光を放った。
「えっ!?」
キューブの表面に文字が次々と浮かび上がる。
《ユニークスキル:万物生命召喚》
《スキルレベルが上昇しました》
《スキルレベル:1 → 3》
「えっ!?」
思わず声が出た。
スキルレベルが上がった?
しかも、1から3になっている。
「どういうこと!?」
僕が驚いていると、さらに文字が表示された。
《最大召喚可能数:30体》
《現在の召喚数:15体》
《追加召喚可能数:15体》
「30体!?」
さっきまでは15体が最大だったはずだ。
それが今では30体になっている。
つまり、あと15体も召喚できるということだ。
「すごい……! みんなをもっと呼べるようになったんだ!」
僕は驚きながらも、キューブに目を向けた。
すると、さらに不思議な変化が起きた。
オラクル・キューブから柔らかな光があふれ、僕の周囲に広がっていく。
その光は、僕の隣にいるウッディにも届いた。
「ウッディ……?」
光に包まれたウッディの身体が、淡く輝き始める。
身体に入っていたひびが少しずつ消えていく。
傷ついていた片腕も、元の形に戻っていった。
「えっ……!?」
僕は目を見開いた。
さっきまで傷ついていたウッディの身体が、みるみるうちに元通りになっていく。
やがて光が収まると、そこにはいつもと変わらないウッディが立っていた。
「ウッディ!」
僕は思わず声を上げた。
ウッディは自分の身体を見回し、腕を動かしてみる。
「……治った?」
「本当だ! 傷がなくなってる!」
「主! 治った!」
ウッディは嬉しそうに両腕を上げた。
「よかった……本当によかった……!」
僕は心の底から安心した。
ウッディが元気になってくれて、本当によかった。
「ありがとう、オラクル・キューブ!」
僕はキューブを両手で持ち、何度も確認した。
もしかすると、スキルレベルが上がったことで召喚した仲間たちを回復する力も働いたのだろうか。
「オラクル・キューブ、今の光は何だったの?」
すると、キューブに新しい文字が浮かび上がった。
《スキルレベルの上昇に伴い、召喚個体の状態が回復しました。
僕はウッディを見た。
「スキルが成長したから、ウッディの傷も治ったんだね!」
「主! 元気!」
ウッディは元気よく答えた。
「うん! もう大丈夫そうだね!」
僕はウッディの頭をそっとなでた。
木でできた小さな身体。
初めて召喚したときから、ずっと僕のそばにいてくれた仲間。
そんなウッディが元気になってくれたことが、何より嬉しかった。
「ウッディ、さっきは本当にありがとう。僕を守ってくれて」
「主……大切」
「え?」
「主! 大切!」
ウッディは短い言葉で、もう一度そう伝えてくれた。
僕は少し驚いたあと、笑顔になった。
「僕にとっても、ウッディは大切な仲間だよ」
その言葉を聞いたウッディは、嬉しそうに身体を揺らした。
周りにいたほかのウッドゴーレムたちも、僕たちのそばに集まってくる。
「みんなもありがとう!」
「主!」
「仲間!」
「守る!」
みんなが元気そうにしているのを見て、僕は改めてこの仲間たちと出会えてよかったと思った。
すると、オラクル・キューブが再び光った。
「ん? まだ何かあるの?」
キューブの表面に、新しい情報が表示される。
《新たな召喚対象が解放されました》
《召喚可能対象:魔獣ラビット》
「魔獣ラビット……?」
僕は表示された文字を読み上げた。
どうやら、新しい召喚対象が解放されたらしい。
「魔獣ラビットって、どんな生き物なんだろう?」
僕はオラクル・キューブに詳しい説明を求めた。
すると、追加の情報が表示された。
《魔獣ラビット》
《聴覚に優れた魔獣です》
《周囲の音を敏感に察知する能力を持ちます》
《警戒・探索などに適しています》
「へえ……耳がいいんだ!」
僕は思わず感心した。
さっきのホーンラビットとは別の種類なのだろうか。
ホーンラビットは額に角が生えた魔獣だった。
一方、魔獣ラビットは聴覚に優れているらしい。
「周囲の音を聞き取るのが得意なら、森の中で暮らす僕たちにとって、とても役立つ仲間になりそうだね」
森には僕たち以外にも、たくさんの生き物がいるはずだ。
近くに別の魔獣がいないか。
誰かが近づいてきていないか。
そういったことを早く知ることができれば、危険を避けられるかもしれない。
「新しい仲間か……!」
僕は期待に胸を膨らませた。
ただ、今は夜だ。
さっきの戦いもあったし、すぐに召喚するより、まずは落ち着いて休んだ方がいいだろう。
「魔獣ラビットの召喚は明日にしよう」
「明日?」
ウッディが首をかしげる。
「うん。今日はもう遅いからね。みんなもお疲れさま!」
「お疲れ!」
「休む!」
「はい!」
僕は仲間たちに笑いかけた。
それにしても、今日は本当に色々なことがあった。
初めての召喚。
小さな家の完成。
そして、初めての魔獣との戦い。
ウッディが僕を守ってくれて、傷ついてしまったときは本当に心配した。
でも、スキルが成長したことで元気になってくれた。
さらに、召喚できる仲間の数も増え、新しい魔獣まで呼べるようになった。
転生してから、まだそれほど時間は経っていない。
それなのに、毎日が新しい発見の連続だ。
「これからもっと強くなって、いろんな場所を冒険するんだ」
僕は夜空を見上げた。
星がきれいに輝いている。
前の人生では、自由に外を歩くことも、こんなふうに夜空を眺めることもできなかった。
今は違う。
自分の足で歩ける。
仲間もいる。
帰る場所だってできた。
「明日も楽しみだな」
僕はそう言って、小さな家の中へ戻った。
ウッディたちも僕の後に続く。
家の中は少し狭いけれど、みんなで過ごすには十分だった。
「みんな、今日はありがとう。ゆっくり休んでね」
「主! おやすみ!」
「おやすみ!」
読んでいただきありがとうございます!
第4話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回はホーンラビットとの戦いを通して、ウッディたちの頼もしさや、レオンとの絆を描きました。
そして、スキルレベルが3に上がり、新たに魔獣ラビットも召喚できるようになりました。
次回からは、さらに賑やかになっていく森での生活をお届けします!
これからも『ユニークスキル:万物生命召喚』をよろしくお願いします!




