第3話 森の中に小さな家を
ありがとうございます!
今回は、レオンが初めて自分のスキルを使い、最初の仲間を召喚します。
そして、仲間たちと一緒に森の中で新しい生活を始めることに。
最後まで読んでいただけると嬉しいです!
「よし、一回試してみるか」
僕はオラクル・キューブを握りしめ、さっそく自分のスキルを使ってみることにした。
とはいえ、どうすればいいのかは分からない。
「えっと……どうやって召喚するんだ?」
僕がオラクル・キューブに尋ねると、キューブの表面に文字が浮かび上がった。
《召喚を行うには、召喚対象を指定してスキル名を唱えてください》
「スキル名を唱えるのか……」
僕は表示された文字を見つめた。
《ユニークスキル:万物生命召喚》
「万物生命召喚……」
名前だけ聞くと、なんだかすごい能力に思える。
生命を召喚するということは、動物や魔物、それに人間のような存在も呼び出せるのだろうか。
「とりあえず、最初は何が召喚できるのか試してみよう」
《現在召喚可能な対象:ウッドゴーレム》
「ウッドゴーレム?」
どうやら、今の僕が召喚できるのはウッドゴーレムという存在らしい。
木でできたゴーレム……ということだろうか。
「よし! やってみよう!」
僕は少し緊張しながら、オラクル・キューブに表示された召喚対象を確認した。
そして、ゆっくりと声に出す。
「ユニークスキル、サモンウッドゴーレム!」
その瞬間、僕の足元に魔法陣が浮かび上がった。
淡い光が周囲を照らし、魔法陣の中央から小さな影が現れる。
光が収まると、そこには木でできた小さな人形のような存在が立っていた。
大きさは僕の膝くらいまでしかない。
丸みを帯びた木の身体に、枝のような手足。顔には小さな目が2つ付いている。
「おお……!」
思わず声が出た。
これがウッドゴーレムか。
僕がじっと見つめていると、ウッドゴーレムもこちらを見上げてきた。
「……主」
「えっ!?」
今、喋った!?
「君、喋れるの?」
「はい!」
小さなウッドゴーレムが、こくりとうなずいた。
「すごい……本当に意思があるんだ」
僕はオラクル・キューブの説明を思い出した。
召喚された存在は、それぞれ独立した意思と感情を持つ。
つまり、この子はただ命令を聞くだけの人形ではないということだ。
「えっと、君に名前をつけてもいい?」
「名前……?」
「うん。これから一緒に過ごすんだから、名前があった方がいいと思って」
僕は少し考えた。
木でできたゴーレムだから、木に関係する名前がいいだろうか。
「よし、ウッディっていうのはどうかな?」
「ウッディ!」
どうやら気に入ってくれたようだ。
「うん! 今日から君はウッディだ!」
「主! ウッディ!」
「ははっ、よろしくね。ウッディ!」
こうして僕は、この世界で初めての仲間を手に入れた。
前の人生では、病院の外を自由に歩くことさえできなかった。
それなのに今は、こうして自分の力で仲間を召喚できている。
本当に夢みたいだ。
「そうだ、ウッディ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい!」
「この森の中で、僕たちが暮らせそうな場所ってあるかな?」
僕は周囲を見渡した。
ここは森の中だ。木々が生い茂り、少し離れたところには川も流れている。
水には困らなさそうだけど、毎日外で寝るわけにもいかない。
できれば、雨風をしのげる家が欲しい。
「家……?」
「うん。ここで暮らすなら、家があった方がいいと思うんだ」
ウッディはしばらく僕を見つめたあと、周囲の木々を見回した。
「作る! 家!」
「えっ、本当に?」
「はい!」
「そっか……ウッディたちなら作れるのかな?」
僕は少し考えた。
ウッドゴーレムは木でできている。
もしかすると、木を加工したり運んだりするのが得意なのかもしれない。
「でも、ウッディ1人じゃ大変だよね」
「仲間!」
「仲間?」
ウッディがこくりとうなずいた。
そういえば、オラクル・キューブの説明には、スキルレベル1で最大15体まで召喚できると書いてあった。
今召喚しているのはウッディ1体だけ。
まだ14体も召喚できる。
「そうか! ほかのウッドゴーレムも呼べるんだ!」
僕はさっそくオラクル・キューブを確認した。
《現在召喚数:1体》
《最大召喚可能数:15体》
《追加召喚可能数:14体》
「よし! それなら、みんなにも手伝ってもらおう!」
僕は再び魔法陣を展開した。
「ユニークスキル、サモンウッドゴーレム!」
魔法陣が次々と輝き、小さなウッドゴーレムたちが姿を現した。
1体、2体、3体……。
最終的に、ウッディを含めて6体のウッドゴーレムが集まった。
「おお! いっぱい来た!」
みんな同じような木の身体をしているけれど、よく見ると少しずつ形が違う。
僕は集まったウッドゴーレムたちに声をかけた。
「みんな、来てくれてありがとう! 僕はレオン。これからよろしくね!」
「主!」
「よろしく!」
「はい!」
それぞれが短い言葉で返事をしてくれた。
どうやら、みんなウッディと同じように言葉を話せるらしい。
ただ、話せる言葉は少ないようだ。
「それじゃあ、さっそく家を作ろう!」
僕がそう言うと、ウッディたちは元気よくうなずいた。
「家! 作る!」
「おお!」
こうして、僕たちの家づくりが始まった。
まずは、森の中から少し開けた場所を探す。
川から遠すぎず、周囲の木々も利用できる場所がいい。
しばらく歩いていると、ちょうどよさそうな場所を見つけた。
「ここならいいんじゃないかな?」
周囲には大きな木が何本も生えているが、地面は比較的平らだ。
近くには川も流れている。
生活するには十分そうだった。
「ここに家を建てよう!」
「はい!」
ウッディたちはさっそく動き始めた。
まず、家を建てる場所の周囲を片付ける。
小さな木の枝や石を運び、地面を整えていく。
その間に、別のウッドゴーレムたちは木材を集め始めた。
小さな身体なのに、意外と力があるらしい。
木材を運ぶ姿を見ていると、僕の方が驚かされてしまう。
「みんな、すごいね!」
「得意!」
ウッディが胸を張った。
僕もできることを探して、木の枝を集めたり、必要な場所を指示したりする。
こうして少しずつ、家の形ができていった。
壁ができ、屋根ができ、最後に入口を取り付ける。
もちろん立派な家ではない。
大きさも小さく、家具もない。
それでも、雨風をしのげるだけの小さな家が完成した。
「できた……!」
僕は完成した家を見上げた。
森の中に建つ、小さな木の家。
前の人生では、自分の家から自由に外へ出ることすら難しかった。
それが今は、自分の力で家を建てることができた。
「みんな、本当にありがとう!」
「完成!」
「家!」
ウッディたちも嬉しそうに声を上げる。
「うん! これからここが僕たちの家だ!」
僕は家の中に入ってみた。
中は広くないけれど、僕が暮らすには十分な広さがある。
床には木材が敷かれ、壁も隙間が少ないように作られている。
まだ必要なものはたくさんあるけれど、少しずつ整えていけばいい。
「よし。これからここを拠点にして、いろんな場所を冒険するんだ!」
そう考えると、胸がわくわくしてきた。
この世界には、まだ知らないことがたくさんある。
森の外にはどんな場所があるのだろう。
どんな人たちが暮らしているのだろう。
そして、どんな仲間と出会えるのだろう。
考えるだけで楽しみだった。
「……あっ、そうだ」
僕はオラクル・キューブを取り出した。
「今の僕の状態って、どうなってるんだろう?」
すると、キューブに文字が浮かび上がった。
《所有者:レオン》
《ユニークスキル:万物生命召喚》
《スキルレベル:1》
《最大召喚可能数:15体》
《現在の召喚数:6体》
《追加召喚可能数:9体》
《召喚可能対象:ウッドゴーレム》
「なるほど。まだ9体も呼べるんだ」
今すぐ必要というわけではないけれど、覚えておこう。
「それにしても、今日は色々あったなあ」
僕は家の外に出て、空を見上げた。
木々の隙間から、夕焼けの光が差し込んでいる。
この世界に来てから、初めての召喚。
初めての仲間。
そして、自分たちの家。
たった1日で、こんなにも多くのことを経験できるなんて思わなかった。
「明日からは、もっと色んなことをしてみたいな」
僕はそうつぶやいた。
やがて、空は少しずつ暗くなっていった。
夜が訪れる。
森の中は静かで、遠くから聞こえる虫の声が心地よい。
僕は家の外に出て、夜空を眺めていた。
「きれいだな……」
前の人生では、病室の窓から空を見ることはあった。
けれど、こうして外に出て、風を感じながら星空を眺めるのは初めてだ。
夜風が頬をなでる。
少し肌寒いけれど、それさえも嬉しかった。
「これから、どんな冒険が待ってるんだろう」
そんなことを考えていると、隣にウッディがやってきた。
「主?」
「ん? どうしたの?」
「星!」
「うん。星がきれいだね」
ウッディも空を見上げている。
小さな木の身体で、僕の隣に立つ姿がなんだかかわいらしい。
「明日も頑張ろうね」
「はい!」
僕はウッディに笑いかけた。
そのときだった。
森の奥から、ガサッ……と草木が揺れる音が聞こえた。
「……ん?」
僕は音のした方向へ視線を向けた。
何かがいる。
暗い森の中で、こちらを見ているような気配がした。
「ウッディ?」
すると、ウッディが僕の前に出た。
「主! 危険!」
「えっ?」
森の奥から、1匹の魔物が姿を現した。
額には鋭い角が生えている。
ホーンラビットだ。
その魔獣は僕たちを見つけると、こちらへ向かって身構えた。
「ま、魔物……!?」
僕は思わず後ずさった。
この森には魔獣がいる。
それは分かっていたつもりだったけれど、実際に目の前に現れると緊張する。
ウッディたちも僕の周囲に集まってきた。
「敵! 敵!」
「みんな、気をつけて!」
僕はオラクル・キューブを握りしめた。
せっかく手に入れた仲間たちを、ここで危険にさらすわけにはいかない。
ホーンラビットが地面を蹴った。
「来る!」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回は、レオンが初めてウッドゴーレムを召喚し、ウッディたちと一緒に小さな家を建てました。
これから森でどんな生活が始まるのか、楽しみにしていただけると嬉しいです!
次回もよろしくお願いします!




