【第4話】人質か人身御供か(現実側)
20XX年8月6日7時15分
ー NTKニュース ー
「・・・・緊急ニュースが入ってきました。
広域ネットワーク回線上の一部の区域において通信障害が発生したと、先程ネットワーク庁から発表がなされました。
原因は現在のところ確認中とされ、復旧等の目途は未定とのことです。
お使いのネットワーク環境に不調が生じた際は、直ちにデバイスの接続を切り、接続パターンを切り替える様、注意喚起がなされております。
新たな情報を確認次第、続報をお届けいたします。
・・・・続いてのニュースです・・・・・」
ー 同時刻AGPLON社内 ー
先進的なオフィス、無数の種々デバイスがズラリと鎮座しているエリア。
デバイスに接続している者は疎らで、空間の広さに比べ、やや閑散としている雰囲気が漂っている。
そんな中、VR統括グループ1課課長のビル・マッケジナー・後藤は頭を抱えていた。
「E2Eとのコンタクトはまだ取れんのか?!」
室内にいるもの、遠隔のもの問わず課内の部下へ一斉に送信する。
「先程から繰り返し連絡を試みておりますが、通信が切断されている模様で一切のコンタクトが取れていない状態が続いています。」
部下からの報告は概ねそんな回答であった。
局所的な通信障害が発生してから早8時間が経過している。
ネットワーク庁から、全インフラ関係企業向けに調査依頼が発出されたのが5時間前。
社内の通信解析班を使い、通信障害を発生させている原因が我が社の次世代型VR「EVER」上で限定公開されているソフトウェア、「サンクチュアリ」であることが特定できたのが1時間前。
開発元のE2Eなる公開者へのコンタクトを試みるも、現状のような有様というわけである。
「・・・・強制的にE2Eへの権限停止は?」
「システム管理者権限を使用しても、アクセス拒否されます。」
「・・・・!オープンソース型のホールを突かれているか。解析状況は?」
「あまり芳しくないですね。クレイモア(他のプログラムへの悪影響を及ぼす悪性コード)が仕掛けられている形跡もあります。本格的に人員・AIを動員しても1日で解除、無効化できるかと言った所でしょうか。」
「計画的な犯行だな。・・・・上層部から連絡だ。1時間以内に解消出来なければEVER全体のシステム停止との命令が下された。実質死刑宣告ってとこだ。」
「あーあ、ウチの部署、解体かぁ。課長、もうダウンさせちゃいましょうよ。」
「・・・・やむを得ん、システム強制ダウンだ。」
ピーピーピー「新しいメッセージが届きました。」
「・・・・ん。ちょっと待て。E2Eから連絡が来た。」
メッセージの内容を読み進んでいく毎に青ざめるビル。
ー 100人の命を預かっている。EVERのシステムを安定稼働させ続けなければ、この者たちへの命の保障はしない。 ー
現実社会にE2Eの影響力が表出化した瞬間である。




