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『ミチル。そういえばお前、最初から名前持ってたんだな? ウイルスバットは全員そうなのか?』
『そんな事はないでござる。拙者の名は前世からのもの故』
『そうだったのか。前世の記憶持ちって俺以外にも案外いるもんなんだな』
『確かに。探してみたら案外いるのかもしれないでござる』
『だな。……にしても、ミチルって、少し変わった名前だな』
『そうでござろう。拙者、何を隠そう前世は異世界人故。ちなみに本名は春夢美智留と言い……おっと、落ちている木の枝をちと拝借してスラスラスラ。字はこう書くでござる』
『マジヤバ!! ほぼ暗号じゃん!!』
『私、この字を見ているだけで目が回る』
『ミラ嬢とワッフル嬢ナイスでござる。その反応が欲しくて態々名前を書いたでござるよ』
『うーん……この字、似たのを何処かで見た事ある気がするんだよなぁ』
『な、なんと!? グレイル氏、それは誠でござるか?』
『多分だけどな。でも何処で見たか思い出せないんだよなぁ……。何だか前世の記憶って全部が鮮明じゃないんだよなぁ』
『わかるでござるよ。拙者も前世の友人や家族の顔とか思い出せないでござる。……ま、あんなゴミ共、思い出す価値もないでござるが』
『親や友達をゴミって呼ぶのはちょっと……私、少し悲しいな』
『ワッフル嬢、気を悪くしたなら申し訳ないでござる。拙者前世では両親から虐待され、友人からは酷い嫌がらせを受けていた故……つい毒を吐いてしまったでござる。ウイルスバットだけに毒を吐く。お後がよろしいようで』
『ミチルのメンタル鋼でマジウケる』
『ミラ嬢は優しいでござるな』
『私は親とか友達の顔はしっかり覚えてるよ! 全員死んじゃったけどね……』
『そうでござったか。拙者配慮が足りなかったでござる。面目ない』
『あ、いや、別にそんなつもりじゃないから気にしないで! 私、今はグレイルや皆といられて楽しいから』
『ミチルもワッフルも色々あったんだねぇ。あーしはさぁ、親とか知らないんだよね。生まれた瞬間から周りに兄弟?(笑)がめっちゃ周りでうようよしててさぁ、近くに大人はいないし、その辺の鳥に片っ端から食われていって、何とか生き残った兄弟達と群れで逃げたり、でもちょっと馬鹿な奴らは共食い始めたりして……』
『お前ら全員話が重ぇよ!!』
『ゲッヘッヘ。雑魚モンスター共が態々こんなところまでやって来て、一体何の用だ?』
『お、お前は……』
『ねぇねぇグレイル! あのモンスターめっちゃこっち見ながらブツブツ独り言言っててマジウケる!!』
『こらっ、下手なこと言って刺激するな。あれは……えっ……と、うーん名前が出て来ない。ほにゃららタイガーだったのは覚えているんだが、そのほにゃららが……。まぁいいか。あれはなんちゃらタイガーって言う危険なモンスターなんだ』
『なんちゃらタイガーじゃねぇ!! 俺様は誇り高き森の魔獣、タイラントタイガー様だ!!』
『だってよ? てかあの黄色と黒の縞々模様めっちゃ派手で良くない!? あーし結構好きかも』
『ぐぬぬぅ、虎模様に反応するとは……やはりミラ嬢はギャル属性でござったか。ん? ギャルは豹柄で虎柄は大阪のおばちゃんでござったか? 拙者陽キャ事情に疎い故……』
『んで、その誇り高いタイラントタイガー様が俺たちに何の用だ?』
『何で俺様が用を聞き返されてんの!!? 俺様が最初にお前達に何の用か聞いたよね!!?』
『いやぁ、だって別にお前に関係ないじゃん。プライバシーってやつだよ』
『そ、そりゃそうだけどよ、帰らずの森の最深部にお前たちみたいな序盤の森のモンスター達が来たらこっちだってなんか気になるじゃん。プライバシーは守るから教えろよ』
『ウケる! ねぇ、グレイル。別に減るもんじゃないし、タイタイにあーし達の目的教えてあげてもいいんじゃない?』
『ちょっと待て!! 今俺様のことタイタイって言わなかったか!? 変な略し方するな!!』
『うーん、そうだなぁ。確かにタイタイは人相は悪いが悪い奴では無さそうだしなぁ』
『お前ら無視か? 何サラッとタイタイで話進めてんだよ!? 噛み殺すよ!? マジで!!』
『てかさぁ……なんかあのモンスター、私の事凄くいやらしい目で見てない!? 背中ゾワゾワするんだけど』
『いやいやワッフル、それ多分お前の本能だよ。捕食される側の拒否反応だから』
『マジか!! 怖っ!!』
『お前らさっきから俺様の扱い雑過ぎねぇか!?』
『んな事言ったってよぉ、いきなり上級モンスターに声掛けられたらどうしていいか困るじゃん? ほら、俺達一応序盤の森の雑魚モンスターな訳だしさぁ。お前だって突然グリフォンに声掛けられたら困惑するだろ?』
『ま、まぁ、確かに……』
『それで、知りたいのは俺達の目的だったよな? まぁいいか。なんか色々面倒になったし。ミチル。教えてやれ』
『相分かった。実は込み入った話がある故、今グレイル氏達を拙者の屋敷に案内している途中なのでござる』
『お、おぅ……そうか……』
『思った以上につまらない理由でタイタイ困惑しててマジウケる』
『私は背筋がゾクゾクしたままなので、納得したならタイタイには何処かへ消え失せて欲しい』
『言い方!! もういいよ!! わかったよ!! 俺帰る!! もう二度と興味本位で声掛けねぇ!! じゃぁな!!』
『あ、拗ねた』
『グレイル。タイタイマジで帰るっぽくない? ほら、声掛けないと。背中がどんどん遠くなっていくんですけど』
『ミラ、お前の言いたい事はわかった。タイタイを仲間にしたいんだな?』
『正解!!』
『嘘でしょ!? 私は反対だよ!?』
『何で!? あの縞々模様めっちゃ良いじゃん!!』
『『そこかよ!!』』
『だがあいつは恐らく強い。そして少し面白い。何よりオスだ。パーティに入れて損はないはず』
『おーい!! タイタイ!! ちょっと待ってくれ!!』
『何だよ!! もう用はねぇだろ!!』
『俺達とパーティを組まないかー!!』
『『『タイターイ!!』』』
『いや、組まねぇよ!!?』




