王国編 第8話
朝、ルイが目を覚ます。いつもならすぐに身支度を整えて家を出るのだが今日は違う。
そう、今日はリアナと一緒に王都へ買い物に行く日だ。
「リアナー。準備できたか?」
「ええ、バッチリよ」
リアナは服の上からローブを羽織った。
「いいか、街に入るときはフードをかぶるんだぞ。そしたら認識阻害の魔法が発動するからな」
「分かってるわ」
ルイは剣を腰に差して家を出た。リアナの剣はベットの脇に置いてある。
いつか抜かれるかもしれないその日を待って。
「じゃあ、行こうか」
二人はまだ少し濃い霧の中を歩き出した。互いを見失わないように。離れないように。
しばらく歩くと王都の関門が見えてきた。するとリアナがルイに近づき、服をぎゅっと掴んできた。
「やっぱり入るのは怖いか?嫌ならいいんだぞ?」
リアナは呼吸を落ち着かせてフードを被った。
「ちょっとね。でも、私は行くわ」
「その意気だ」
二人は関門に差し掛かる。ルイは門番に近づいて行った。
「やあ、ジェームズ。お疲れ様」
「ルイ!今日はいつもより遅いね」
ジェームズはここの関門を担当している門番で毎日ここを通るルイとはすっかり仲良しだ。
これでも王国騎士の一人である。
「まあね、今日はこの前話してた同居人と来たんだ」
ルイはそう言いながらフードを被ったリアナを指差した。リアナは一礼する。
「いい子じゃないか。お前もいい女を手に入れたな」
「勘違いするな。この前もゲイルに同じことを言われたんだぞ」
そんなたわいもない会話が続いた後、ルイは本題を持ち上げた。
「それで彼女のことなんだが身分証明書が無いんだ。戦争孤児らしくてな。」
もちろん嘘である。だがこうするしかない。ジェームズは王国騎士だもちろんリアナの顔は知っている。
「うーん。そうだなー。顔は見せられないのか?」
「酷い怪我でな。他人には見せたくないらしい」
ルイは唾を飲む。いざとなったらリアナと逃げる算段だ。
ジェームズは少し考えた後、やれやれといった顔で答えた。
「まあいいよ。ルイのことだ。俺は信用してるぜ。通りな」
「ありがとう!すまないなジェームズ」
「いいってことよ」
二人は関門を通った。石の壁の中は暗くて少しひんやりしてる。
向こう側に出口が見えた。二人の顔に眩しい太陽の光が当たる。
「さあ、ついたぞ!」
ー「王都、カザリアだ」ー




