神聖国編 第20話 『神殺し』
ルイとリアナはお互いに軍刀を強く握りしめる。
目の前に立ちはだかるのは神聖国教皇にして『神器』のオニキス・ヘルメシアだ。
ルイが斬り落とした右腕は白い衣装が少し赤く染まった程度で既に再生している。
「あはは!初めてですよ!自分の血の色を見たのは!」
「腕まで生やしやがって、神というよりかはバケモノだな!」
「ひどいですね〜。でも、あなたが増えたところで状況は変わりませんよ?」
「どういうことだ!」
オニキスはまだ、衣装に染みた自分の血を眺めている。
そしてニヤリと顔を歪め、こちらを見る。
その顔は神を崇拝する者からは決して出ないような邪悪な顔だ。
「だって、あなたは魔法を使えないでしょう?」
「…ーー!何でそれを!」
「あなたが私の腕を斬った時、不思議と魔力を一切感じなかったんですよ。なのにあの速さ。明らかに普通ではない。なら残る可能性は一つしかない…」
「…….」
「あなたは、魔力循環体質者ですね?」
「…ちっ、だから何だってんだ」
「さっきも見たでしょう?私の『女神の涙』を。私に物理攻撃はほとんど意味をなさない。それに神臓の方は私の『守護の壁』を砕くのが精一杯。勝てる見込みがあるとでも?」
「……クッ」
確かに、言葉だけを聞けば絶望的な状況だ。だが、ルイには打開策があった。
ルイはリアナに手招きをする。そして、リアナに何かを耳打ちした。
「ーーーーーーーー」
「ーー。ーーー」
何と言ったのかはオニキスには聞こえなかった。二人は頷き、構える。
二人の左手の薬指には赤く輝く魔石が煌めいていた。
ー「身体強化」ー
ルイとリアナはオニキスに向かって走り出す。
ー「神力解放ー守護の壁」ー
しかし、やはり全ての攻撃は金色の壁によって阻まれる。
オニキスは余裕の表情だ。
「リアナ!」
ー「神力解放ー限界突破」ー
リアナの体が、目が、軍刀が、金色に輝き、オーラを纏う。
リアナは全身の力を軍刀に込める。
金色の壁に徐々にヒビが入っていく。やがてバキバキと音を立て始めた。
そして…
《バキーン!》
金色の壁が砕かれる。そしてその隙にルイがオニキスの懐に入り込んだ。
「見事!ですがあなたの攻撃は…」
「効かない、だろ?確かに、俺だけの力ならな!」
「何を言って…」
ルイはオニキスの胸に左手を当てる。
そしてルイはオニキスの顔を見上げ、勝利の笑みを表した。
薬指に嵌められた赤い魔石が突如として光出す。
「この距離で、魔法をくらったことはあるか?!」
「まさか!貴様っ!」
「リアナ!」
「ええ!」
そう、この指輪はあの鍛冶屋で作られた物。つまり、魔道具でもある。
そして、この魔道具の機能は…
ー魔力の共有ー
リアナの魔力が指輪を通してルイに流れ込む。
「じゃあな!バケモノ!」
ー「「ハイライトニングジャベリン!」」ー
二人が叫ぶと同時に圧縮された光の閃光がオニキスを貫く。
身体中に行き渡った光は肉を焼き、再生の暇を与えない。
「ぎやあぁぁぁぁ!」
こうして、神を夢見た男は散ったのだった。




