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剣士様は女になりたい【完結済】  作者: ZIKIRU
第3章 神聖国編
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神聖国編 第19話 『即席の戦友』


〜一方、その頃ジーク〜


ーーダンッ!、タタタ、ズシャッ!

地面を蹴り、走り回り、攻撃を避けては剣を振る。


「ハア、ハア、ハア、ちっ、次から次へと…!」


もう30人くらいは殺しただろうか。だが、向かってくる敵の数は変わらない。

いくら斬っても、刺しても、不気味な戦士達がジークに向かって迫ってくる。

しかも厄介なのが剣を持って襲ってくる奴もいれば、遠距離から魔法を放ってくる奴もいる。剣を交わしたと思えば、魔法が飛んでくる。

(こりゃ、やべえかもな…)

ジークは普段、隠密行動が主流だ。元々、大人数相手の戦闘には向いていない。

ジークは走り続ける。だが突然、足の力が抜ける。限界が来たのだ。


「しまっ……!」


ジークは地面に膝をつく。敵はそんなジークに容赦なく襲いかかる。

数十人の戦士が剣を突き立て、魔法が頭上から降り注ぐ。

(ダメだ。これは…避けられないっ!)



ー「アイスソーンズ!」ー

ー「アイスウォール!」ー


氷の壁が頭上から降り注ぐ魔法を弾き、地面から氷の棘が高速で生成される。

氷の棘は戦士達を貫き、赤く濁った水滴が滴り落ちる。


「帝国人に手を貸すのは少々不服ですが…まあ、いいでしょう」


冷気を纏い、水色に輝く魔石がはめられた杖を持った女がジークの隣に立つ。

少し不快そうな顔をしつつも、魔法を展開し続けるその女こそメーリアであった。


「あんた、なんで…?」

「勘違いはしないでくださいよ。これはあくまでリアナ様のためですから」

「ふっ、そこはせめて俺のためと言って欲しかったんだが…」

「冗談が言えるなら早く立ってください。死にたいんですか?」

「それもそうだな。よしっ!」


ジークは立ち上がり、再び短剣を構える。

呼吸を整え、状況を確認する。残りはざっと60人と言ったところだ。


「ジーク様、私が上級魔法で敵を一掃します。詠唱の間、私を護衛できますか?」

「ハッ、それが死にかけの男に頼むことか?まあ、いいだろう。乗ってやるよ!」

「ええ、任せました」


ジークは再び走り出す。メーリアに敵を近づけさせないために。


「氷よ、その冷気は全てを飲み込み、青き結晶と化す……」


斬って、斬って、避けては斬って。

魔法がくれば何とか剣で相殺する。普段なら避けるはずの攻撃を全て受ける。

彼女の、メーリアの魔法を信じて。


「……全てを凍てつかせ、我が敵を穿て!ーージークさん!戻ってください!」

「待ってました!」


ジークはメーリアの背中に立つ。

メーリアは杖を地面に突き立て、膨大な量の魔力を流しこむ。

やがてその光は凍てつく冷気に変わり、爆ぜる。


ー「アブソリュート・ゼロ」ー


凄まじい轟音と共にメーリアの周りの全てが氷に呑まれる。

その青く輝く大きな氷の結晶は恐ろしくも美しい。

ジークとメーリアの周りは一瞬で静寂に包まれた。


「す、すげえな…お前…」

「まあ、あなたもなかなかですけどね」

「お前に褒められるとは…なんかむず痒いな…」


メーリアはそんなジークを見て、少し微笑むのだった。

こうして、100人ほどいた神聖国の戦士達は一瞬にして氷漬けになったのだった。

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