神聖国編 第21話【最終話】 『剣士様は女になりたい』[挿絵あり]
こんな石造りの城でも、外からの風は心地よい。
ルイは帝国の王城のバルコニーに立ち、王都を眺めていた。
オニキスとの争いは終わり、神聖国の人たちは正気を取り戻したそうだ。
今は帝国の援助を受けながら復興の準備をしているらしい。
そして、オニキスを討ったルイとリアナには称号が与えられた。
その名は『剣聖』。何とも大層な称号である。
「あら、もう起きたの…?」
後ろから声がした。振り返るとそこにはリアナがいた。
左手の薬指には指輪が嵌められおり、赤く輝いている。
その姿を見てルイは微笑むのだった。
◇◇◇
〜数日前、帝国の教会〜
大きなステンドグラスに太陽の光が差し込み、教会内を色とりどりに照らす。
祭壇には二人の新郎新婦が立っていた。
トラニカル帝国第三人王子、ルイ・トラニカル。
アルベール家長女、リアナ・アルベール。
共に歩き、共に戦い、共に愛を誓った二人が見つめあっていた。
神父が話し始める。
「新郎ルイ・トラニカル、あなたはリアナ・アルベールを妻とし健やかなる時も 病める時も喜びの時も 悲しみの時も富める時も 貧しい時もこれを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合いその命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「ーー誓います」
「新婦リアナ・アルベール、あなたはルイ・トラニカルを夫とし健やかなる時も 病める時も喜びの時も 悲しみの時も富める時も 貧しい時もこれを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合いその命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい。誓います」
こうして、ルイとリアナは正式に結婚したのだった。
そして、皇帝であり、父であるダグラスから花束を受け取る時が来た。
ルイは姉を失って依頼、花は嫌いになっていた。あの日の光景を思い出すからだ。
だから正直、花束を受け取ることはルイにとって苦痛だったのだ。
だが、流石に結婚式でそんなことを言ってはいけないと思い、決行した。
ダグラスが花束を差し出す。ルイはそれを受け取った。その時だった…
「ーーーーー。ーーーー」
ルイは思わず、声の聞こえた方向を振り返った。
だが、そこにあったのはリアナの幸せそうな顔だった。
なぜだろう、今誰かに“おめでとう”と言われた気がした。
ルイはその花束を握りしめ心の中で呟くのだった。
「ありがとう」
◇◇◇
そして今、この風景を眺めている。愛する妻と共に。
するとリアナが遠くを見つめながら話し出した。
「ねえ、私、剣の道を止めようと思うの」
「え?別に否定はしないが何でだ?せっかく“剣聖”にもなったのに」
「これからの人生をまた自分で決めようと思うの」
「ほう、それはいいな!」
「ええ、今の“剣姫”としての生き方はルイが与えてくれたものだから」
「そうだったな。確かリアナが騎士を辞めて初めて自分で決めた生き方は“剣士”だったけ?」
「そうね。懐かしいわ」
「いいじゃん!で、リアナはこれからの人生、どんな生き方をしたいんだ?」
「うふふ。そうね、私は…」
リアナが望むもの、それは愛する人をずっと隣で支えていくこと。
確かに、今の生き方でも叶っていることだ。
だが今度は、剣としてではなく、一人の女として彼を支えたいと思ったのだ。
ー「剣士様は女になりたい!」ー
これにて、小説『剣士様は女になりたい』は完結です。
初めての執筆で思ったよりも早く終わってしまいましたが、
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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