神聖国編 第13話 『神力』
ザッ… ザッ… ザッ… ザッ…
温かい光が差し込む森がずっと先まで続いている。
伸びた蔦を退け、倒木を跨ぎ、森の奥へと足を進める。
進めば足元の草が踏まれ、道を作って行く。
ミカエルを先頭にリアナたちは森の奥地へと向かっていた。
「すまないね。あそこへ行くのは久しいからまさか道が無くなっていたとは思わなかったよ」
エルフであるミカエルが”久しい”と言うのだ。余程の年月が経っているのだろう。
そんなことを考えながら足を進めていると視界の奥に遺跡のようなものが見えた。
崖を掘って作られた洞窟のようなその遺跡はとても古く歴史を感じる。
「さあ、着いたよ」
ミカエルはそう言うと遺跡に入って行った。
リアナたちは後に続くように遺跡に入って行く。
遺跡には灯りなどは無く、入り口の太陽光がうっすらと遺跡内を照らす。
進み続けると開けた空間に出た。だが、ここまで来ると流石に暗い。
「お嬢さん、今から行うことをよく見ておくんだよ」
ミカエルはそう言うと両手を広げ、目を閉じた。
ー「神力解放」ー
そう唱えた瞬間、ミカエルからポツポツと光が生まれる。
ー「太陽の恵み」ー
暗かった空間が光を帯びていく。光魔法の『ライトニング』とはまた違う光だ。まるで太陽のように優しく、温かい。
「こいつは驚いた。美しいな」
ジークはその光景に見入っている。
普通の魔法とは違う何か、それは初めて見るはずなのにリアナには覚えがあった。
用途は違えど似たものを感じる。あの時自分を突き動かした何かを。
「ミカエルさん、これは一体?」
リアナが問うとミカエルは微笑みながら答えた。
「これは神聖魔法。神が限られた者のみに与えたーー奇跡さ」
その光はリアナたちを優しく包み込むのだった。
「さて、本題に入ろうか」
光に気を取られているとミカエルが話し始めた。
「まず、何故お嬢さんがここに来たのか。それは君の役割を君が選択するためだ」
「私の…役割…?」
リアナは何を言っているのか分からなかった。ミカエルは話を続ける。
「直接的に言うと君は『神臓』、神の創造物の一つだ」
(神臓、確かミカエルさんがここに来る前も私のことをそう呼んでたっけ…)
「と言うことは私もーー」
「ーーいや、お嬢さんに神聖魔法は使えんよ」
「ええぇぇ!?」
衝撃の事実にリアナは打ちのめされた。
「いわばお嬢さんは動力源だ。複雑な神聖魔法は使えないんだよ」
「我らエルフ以外で神聖魔法の行使が可能なのは『神器』のみだ」
「神器?」
「お嬢さんと同じもう一人の神の創造物だよ」
「私以外にも…いるんだ…」
「神器の神聖魔法は私たちエルフより高等だ。そしてそれと同時に危険すぎる」
リアナは一気に流れ込む情報量の多さに困惑している。
ジークがは自分に関係ないからか上の空だ。
「まあ、ゆっくり話していこうか。君の役割と君の神力について」
話は続く。温かい光で皆を包みながら。
ミカエルの話はまだ、始まったばかりだった。




