神聖国編 第5話 『神聖国』
早朝の太陽の美しい光が街を照らす。
白色で統一された建物たちに光が反射し、街全体に光が届く。
民たちがゾロゾロと家から出てくる。それは赤子から老人まで幅広い。
民たちは列を作り同じ方向を目指す。街の中心に聳え立つ純白の王宮へ。
王宮の大きな輪のような建物に民たちが押し寄せる。何かを求めるように。
しばらくすると、その輪の中心にある台にオニキスが現れた。
オニキスは一段高いその台から民たちを見渡し、優越感に浸っていた。
「オニキス様〜!」
「オニキス教皇〜!私たち信徒に祝福を〜!」
「オニキス教皇様〜!」
民たちはオニキスに手を伸ばし懇願する。その光景はまさに“狂っている”。
オニキスは両手を広げ、天を仰ぎ、話し出す。
「今日も愛しき我が信徒たちに神からの祝福を!!」
オニキスは右手を挙げ、天に向かって指を刺す。
ー「神力解放」ー
そう唱えた瞬間、オニキスの体から眩い光が生まれ、右手の指した指に集まり出す。
それは魔力とも違う不思議な力だ。
ー「神の祝福」ー
唱えると同時に集まっていた光が弾け、民たちに降り注ぐ。
民たちは歓喜し、地面に頭をつけオニキスを神のように崇める。
オニキスはその光景に酔いしれる。まさに自分が神になったかのような優越感だ。
オニキスは束の間の余韻に浸った後、『パン!』と手を叩く。
すると神官たちに拘束された民の一人がその台に運ばれてきた。
「皆さん。ご注目!この民は先日、この神聖なる地で盗みを働いた者です!」
オニキスは大きな声で民たちに話す。その声は妙に心地がいい。
「この者の処罰を皆様神の信徒たちに委ねようと思います!」
オニキスは笑顔で民たちに問いかける。
「殺せー!」
「神聖なる神を侮辱した極悪人めー!」
「神の裁きをー!」
民たちはまるで合唱するかのようにその男を非難する。
「では、この者に神の裁きを!」
オニキスが話した瞬間、その声は民の歓声によりかき消される。
ー「神力解放ー神の矛」ー
オニキスの手に金色に輝く矛が現れる。そして構える。
男は二人の神官に拘束され、首を差し出す。
「最後に何か言い残すことは?」
オニキスは男に問う。
「狂ってrーー」
ーーザシュッ
オニキスはその言葉を聞く前に男の首を刎ねた。
建物はまた歓声に包まれる。
ここは神聖国。神を讃え、神を愛し、そして神に狂わされた国だ。
〜その頃、帝国の郊外にて〜
ルイとリアナは剣の発注を済ませ、帰路についていた。
そして二人は妙な気配を感知する。
「ルイ…」
「ああ、わかってる…」
ルイは軍刀を抜き、構える。リアナは一応買っておいた剣を構えた。
「おい!いるんだろ!わかってるぞ!」
ルイが叫ぶと道の脇から白い死装束のような服を着た者たちが三人ほど現れた。
「死ぬ準備はできてるってか…?」
ルイは苦笑いを浮かべながら軍刀をしっかりと握る。
「さあ、やるか!」
ここに二人と謎の刺客との戦いが始まったのだった。




