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剣士様は女になりたい【完結済】  作者: ZIKIRU
第2章 帝国編
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帝国編 第15話 『嵐の前の静けさ』

アルベール領の屋敷に早馬が来たのは書状を送ってから三日後のことだった。

その間、ジークが王国のよこした隠密部隊に尋問をおこなったらしい。

ただ、腐っても隠密部隊。最後まで口は開かなかったそう。

地下牢からたびたび悲鳴が聞こえてきたが、聞かなかったことにしよう。

「よし、みんなを会議室に集めよう」

ルイは書状を受取り、みんなを呼びにいった。



〜セフィロース王国王城内〜


朝からレオンは不機嫌だった。

椅子に座っている間もずっと貧乏ゆすりをしている。

隠密部隊を出してはや二日。報告が一度もない。

すると廊下からバタバタと足音が近づいてきた。

使用人が慌てた様子で部屋に入ってきた。手には何かを持っている。

「ご、ご報告です…」

使用人の顔は青白い。足も震えている。

「どうした?やっと帰ってきたのか?」

レオンはとても高圧的な態度だ。よほどイライラしていたらしい。

「いえ…その…先程、王城の庭にこんなものが…」

使用人は手に持っているものを差し出した。

服のようだ。だが少し薄汚れている。そして見覚えのあるデザイン…

「ーー!?」

レオンは何かを思い出した。そして焦って服の胸のあたりを探す。

見つけた。そしてそこに刺繍されていたのは王国の紋章…

そう、この服はレオンが送り出した隠密部隊のものだ。つまり…失敗した…!?

直後、部屋に『ドカッ』という音が響き渡った。レオンが机を叩いたのだ。

「ああぁぁぁクソクソクソ!使えないゴミどもが!」

レオンは怒鳴りながら机のものを薙ぎ倒したり、本を投げたりしている。

使用人は物が飛び交う中、震えながら下を向くしかなかった。

その様子をジークは王城の屋根の上から見ていた。

その顔は面布をつけて見えないはずなのに笑っているように見えた。



〜トラニカル帝国王都オスタージュ〜


今日は王都で軍事パレードが催されていた。

帝国では戦争が近くなるとよく軍事パレードをする。

主に士気の向上が目的だ。兵士たちが飾られた花道を通り市民から歓声を受ける。

その際演奏される行進曲は華やかながらも力強く兵士たちの背中を押す。

ダグラスは観覧席からそのパレードを見ながらある覚悟を決めていた。

「そんな難しい顔をしているとせっかくのパレードが台無しですよ」

振り返ると後ろにマークが立っていた。

「おお、すまん。気をつけるわい」

そう言いながらダグラスは苦笑いをした。

「…ついにですね父上」

「ああ、そうだな…」

「リアナ・アルベールがもたらしてくれたこのチャンス、必ずものにして見せます」

「うむ。そして我々は今度こそこの長い戦いに決着をつける」

「ええ、必ずや」

「それで、ルイたちに作戦の書状は届いたか?」

「はい。この戦いは彼らにかかっています」

「しかしお前があんな作戦を立てるとはな。正直驚いたぞ」

「まあ、今まで通りとはいきませんからね。それに…」

「それに?」

「軍部総司令官としてあの女に負ける訳にはいきませんから」

マークとダグラスは緊張に包まれながらパレードを見るのだった。

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