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剣士様は女になりたい【完結済】  作者: ZIKIRU
第2章 帝国編
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帝国編 第11話 『再会』

静かな夜だ。外に出て星を見るのにちょうどいいそんな夜。

先程まで死闘を繰り広げいたとは思えないほどにその部屋は沈黙に包まれていた。

砕かれた氷から出た冷気が部屋の蝋燭の火を消し、月明かりがよく見える。


ー「ライトニング」ー


白い軍服を着た女が小さな声で魔法を唱える。

放たれた光が砕けて転がった氷によってさまざまな方向に屈折し、なんとも幻想的な空間を生み出している。

だがその光がその女の顔に触れた時、メーリアは息を飲んだ。

忘れるわけがない。何年も隣にいたから。ずっと見守ってきたから。

「リ…アナ…さ…」

言葉が、声が、喉に詰まって声が出ない。早くその名を呼びたいのに…

それを見た女は少し微笑んで口を開いた。


「久しいな。メーリア…」


久しく聞いていなかった自分を呼ぶあの人の声。

何度も何度も自分を呼んだあの人の声。

目から生暖かいものが溢れ、頬をつたうのがわかる。

メーリアは震える声でその人の名を呼ぶ。


「リアナ…様…」


何度も呼んで呼び慣れているはずなのに、それなのに…

リアナを呼ぶメーリアの声はとても辿々しかった。

「言っただろ?」

そう言うとリアナは軍服で隠れた首元からネックレスを取り出した。

そのネックレスにはアルベール家の紋章が入っている。


「もう離れないと」


こうして待ち望んだ主人との再会は月明かりの映えるこの夜に静かに叶ったのだった。




あれから少し時間が経った後、ルイたちは応接室にいた。

そこにはリアナやメーリアを始め、現領主のルーク・アルベールやその他の使用人たちもいる。

ルークは次男だからかリアナより少し幼く見える。

部屋の空気は少し重い。ルイはゆっくりと話し始めた。

「まず、なぜ帝国の人間である俺がいるのか、今リアナがどんな状況なのかそれについて話そうと思う」

ルイはリアナが王国に捨てられたこと。助けるためにリアナを攫ったこと。

そして今は帝国の人間として生きていることなどを話した。

怒ったりすると思ったがみんな静かに黙って聞いていた。



一通り話し終わったところでルークが口を開いた。

「リアナを救ってくれたこと、領主として、家族として深く感謝します。」

ルークは深々と頭を下げた。それには確かに感謝の意思があった。

「あの、一つ質問よろしいですか?」

「どうぞ」

「リアナ様は我々アルベール家を帝国につかせるために来たのですよね」

「ああ、そうだが」

「ではなぜルイ様もご一緒に?監視として一国の王子を使うとは思えないのですが…」

「それは…」

「ルイ、これは私が言う」

リアナは話そうとしたルイを手で制した。

「実は皆様にお伝えしなければならないことがございます」

「何だ姉上?急に改まって」

「その、ルイなのですが…実は…その…」

「何ですか?言うなら早く言ってください。夜が明けてしまいますよ」


「ルイは私の……婚約者なんだ!」


一瞬で場の空気が凍る。まるでメーリアの氷魔法でもかかったように。

「ルイ様…」

「はいぃ⁉︎」

振り向くと笑顔のメーリアがいた。ただ、目が全然笑っていない。

ルイは一瞬で理解したメーリアを怒らせるとやばいと。

ルイは助けを求めるようにリアナの方を見た。

その目はあの日、敵城に一人で乗り込んだ男とは思えないほどか弱い。

だがリアナは頭を小さく横に振り、諦めろと言った。

この話し合いはまだまだ終わりが見えないのであった。

リアナのネックレスについては王国編11話をご覧ください。

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