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剣士様は女になりたい【完結済】  作者: ZIKIRU
第2章 帝国編
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帝国編 第7話 『リアナの決意』

ルイとリアナはソフィアの研究室を出て、また長い廊下を歩いていた。

「どうだ?面白いやつだったろ?」

「面白い…のかな?変わった人だなとは思ったけど…」

リアナは少し申し訳なさそうに言った。

そしてふと、ソフィアの顔を思い出す。

ぼさっとした紺色の髪にだらしないドレス。

あんな姿を普通に見せれるのだからルイとはかなりの付き合いなのだろう。

そしてルイが婚約者である自分を紹介した時の顔を思い出す。

(でも、あの時の顔って…)

「リアナ?」

ルイがリアナの顔を覗き込む。

「ふぇ⁉︎ あ、何?ルイ?」

「いや、ぼーっとしてどうしたのかなと」

「な、なんでもないわよ!多分、旅の疲れじゃないかしら…」

「そうか、じゃあ自室に戻ったらゆっくり休めよ?」

「うん。ありがとう」

リアナは来た道を振り返った。そこにはただ、薄暗い廊下が続いているだけだった。



その後、二人はダグラスのいる王の部屋に向かった。

ルイが扉を叩く。すると中からダグラスの『入れ』と言う声が聞こえた。

「父上、お話とは?」

「今回、話したいのはお前ではなくリアナ嬢だ」

「私…ですか?」

「ああ、今やそなたもこの帝国の人間の一人だ。そこで問う…」



「お前は王国と、戦うのか?」



その声はあまりに冷酷でダグラスの“皇帝”としての質問だった。

もちろん、私を捨てたのは紛れもなく王国だ。だが、故郷でもある。

ふと、家族や侍女たちの顔が浮かぶ。

“戦う”つまりリアナの故郷、アルベール領も例外ではない。

リアナは隣にいるルイを見る。するとルイは優しい顔で頷く。

言葉がなくてもわかる。『君の自由だ』とルイは言っているのだろう。

リアナはダグラスの方をまっすぐ見て口を開いた。


「もちろんです」


だがその顔にはまだ、迷いの片鱗が残っているのだった。

「…そうか」

ダグラスは低い声で答えた。恐らく、リアナの迷いに気づいたのであろう。

しかし、ダグラスはその一言以外何も言わなかった。

そこにはダグラスの“婚約者の父”としての優しさがあったのだった。

「ではついてこい」

ダグラスは席を立ち、歩き始める。二人はその後について行くのだった。



扉の奥から何人もの声が聞こえる。ダグラスはその扉をゆっくりと開けた。

そこには大きな長机に地図や書類が並べてあり、その周りを人々が囲んでいた。

一番奥の中央の席には銀色の髪をした男が座っている。

黒い軍服にいくつかの勲章を付け、左肩には金の刺繍が入った※ペリースを羽織っている。

[※ 肩掛けのマントで階級と権威の象徴でもある]

リアナは一目でトラニカル家の者だとわかった。

「お前たち、沈まれ」

ダグラスが一言言うと立っていた者たちは一斉に座り、ダグラスの方を見た。

「おい、マーク。名乗れ」

すると銀髪の男が立ち上がり胸に手を当て一礼した。

「私はトラニカル帝国第一王子、マーク・トラニカル。ここでは軍部総司令官をしております」

マークの顔は少し大人びているもののどこかにルイの面影を感じる。

リアナはやはり兄弟なのだなと改めて実感した。

「よろしい。軍議に戻れ」

その合図で会議室はまた、騒がしくなった。

「お前たちも参加するといい。新しい発見があるかもしれんぞ」

そう言ってダグラスは帰って行った。



あれから2時間ほど会議が続いている。かなり難航しているようだ。

「マーク様、やはり少しの犠牲を出してでもどこかの領地を取らなければいけません」

一人の将校が意見する。

「わかっておる。だがこれでは軍の損耗が大きすぎる。何か手は…」

数秒の沈黙が続いた後、誰かが口を開いた。

「ーーあの…よろしいでしょうか…」

それはリアナはだった。リアナは申し訳なさそうに手を小さく上げている。

「どうした?」

マークは驚いた。まさか見学に来ていた弟の婚約者が意見するとは思ってもいなかったからだ。

案の定、隣にいるルイも驚いた顔をしている。

「どこか一つでも領地を取れれば良いのですよね…?」

「ああ、そうだが…」

するとリアナは一歩前に出て話し出した。


「それなら私に一つ考えがございます」


この時は誰も知らなかった。

リアナのこの一言が後に歴史を変えるきっかけになることを…

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