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剣士様は女になりたい【完結済】  作者: ZIKIRU
第2章 帝国編
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帝国編 第2話 『リアナ・アルベール』

彼女に『どうして私を殺さなかったの?』と聞かれたら、答えられるだろうか…

その答えが”一目惚れ”だったとしても…



ルイは帝国の王族であるトラニカル家の三男として生まれた。

身分的に言えば第三王子である。そしてこの帝国には古くから王族に伝わる伝統があった。

それは王族の男たちは手柄を立てることで名を与えられるというものである。

だから姉上には最初から名があり、兄上2人と自分には最初は名が無かった。

手柄と言っても何も戦争だけでは無い。

第一王子のマーク・トラニカルはその優れた頭脳で帝国の基幹図を再構成し、手柄を立てた。

一方、第二王子のジーク・トラニカルは戦争で手柄を立てた。

そんな中、ルイは情報戦で手柄を立てようとした。

だから帝国と王国の一部の境界にある霧の森で生活し始めた。

ちょくちょく王都に顔を出しては情報を集めていた。だが、あまり良い情報は得られなかった。

ルイが霧の森で暮らし始めて一年が過ぎようとしていた頃だった。

ルイは運命の人に出会った。



ルイはいつもどうり王都に行こうとしていた。途中で飲み水を取ろうと思い、滝のある湖に向かった。

湖に着いた時、一人の騎士が打ち上げられていた。

ルイは喜んだ。これでやっと手柄を立てる。そう思ったからだ。

しかし、その騎士に近づいた時にはそんな考えは既に無くなっていた。

水に濡れ、輝く金の髪。綺麗な顔。その騎士は女だった。

ルイは彼女を助けた。理由は単純だった。

ルイは彼女に”一目惚れ”したのだった。



助けた後、荷物から身分証らしきものが出てきた。

『アルベール公爵家 特別騎士 第六騎士小隊長』

アルベール公爵家といえばセフィロース王国の大貴族の一つだ。

しかし、この時のルイには彼女を手柄にすることは、考えてすらいなかった。

ただ、彼女を助けたい。その思いでいっぱいだった。

何度か王都に行くうちに彼女が王国で死んだことになっていることが分かった。

恐らく、王族や上流貴族達の仕業だろう。

彼女が目覚めてからは大変だったが苦では無かった。

朝早くから働いても彼女の顔を見ると頑張れた。そのおかげで新しい出会いも増えた。

彼女が倒れた時は必ずルイがそばにいた。

すると彼女は段々と心を許してくれた。一緒に笑ってくれた。それだけで幸せだった。

だが、彼女の笑顔を見るたび、正体を隠している事実に胸が苦しくなった。



彼女をもっと幸せにしてあげたかった。しかし、ルイはしくじってしまった。

彼女が攫われた。彼女を守れなかった。あの時動けなかった自分が情けなかった。

恐らく彼女はルイの正体を知るだろう。彼女はどう思うのだろうか…

憎むだろうか、それとも怒るだろうか、でもルイは彼女を見捨てられなかった。

助けに行こう。もし、彼女が助けを求めていなかったら、そこで諦めようと。

王城に侵入し、パーティー会場に乗り込んだ時、後ろから声が聞こえた。

「ルイ!」

彼女は自分を読んでくれた。必要としてくれた。

そして彼女は自分の新しい人生を貴方と送りたいと言ってくれた。

名もなき帝国の第三王子としてではなく、もう一つの自分である”ルイ”を。

だから、支えると言ってくれた彼女を自分も支えようと思った。一人の剣士として。

どんなことがあろうとも、もう絶対に彼女を手放さないと。

そんな自分を愛してくれた人、そして自分が愛した人。彼女の名前は…




ー「リアナ・アルベール」ー


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