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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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初めての植物工場

うむ。植物工場は完成した。


建物自体は、もう問題ない。

温水管。

照明。

水循環装置。

栄養液のタンク。


設計通りに出来上がっている。


「……さて」


私は腕を組んだ。


「如何するか?」


作るのは簡単だ。スキルがある。

設計も出来る。建物も建てられる。他の方が。


「運用となると、、、」


私は天井を見上げた。

前世の記憶がよぎる。


サボテン。


乾燥地帯の植物。

普通は枯れない。

それなのに――


「……サボテンを枯らしたこの私」


私は小さく呟いた。(前世で)


どう考えても農業の専門家ではない。

私は深くため息をついた。


「村長さんに相談して農家の方に手伝ってもらうか」


それが一番だ。農業は農家に聞く。

私はすぐに村長へ話を通した。


そして数日後。

村に、若い農家の男の子達が集まった。


「えーっと」


私は彼らを見渡す。

全部で五人。


年齢は――


「みんな若いわね」


と言っても私より歳上だが。

十代前半。まだ少年と言っていい。

村長が横で説明してくれる。


「皆、訳ありでして」


私は首を傾げる。


「訳あり?」


村長は少し言いづらそうに続けた。


「次男に三男です」


私はすぐ理解した。

この世界の農家は基本的に――


長男が土地を継ぐ。


次男。

三男。


彼らは大きくなると家を出る。


兵士になるか。

職人になるか。

冒険者になるか。


土地はない。


つまり――居場所がない。

私は少年達を見る。

皆、少し緊張した顔をしていた。

恐らく自分達の状況を理解しているのだろう。

私は小さく頷いた。


「まあ、いいわ」


そして建物を指す。


「今日はこの設備の説明をするわ」


少年達が一斉に建物を見る。

大きなガラス窓。

内部に並ぶ棚。

普通の畑とは全く違う。

私は中に案内した。


「まず、ここね」


水槽を指す。


「ここに栄養の入った水が入る」


少年達は真剣に聞いている。

私は続ける。


「植物は土を使わない」


一人が首を傾げた。


「……土なし?」


私は頷く。


「そう」


次に天井を指す。


「この光」


ランプが並んでいる。


「これで育てる」


少年達の顔がどんどん困惑していく。

私は続ける。


「光は二十四時間」


その瞬間。全員の顔が完全に固まった。


「……」


沈黙。私は説明を続ける。


水の循環。

温度管理。

栄養液。


そして説明が終わった。

私は深く息を吐いた。


「だぁ〜。疲れた」


少年達を見る。


「……?」


全員の顔に浮かぶもの。

大きなハテナ。


私は苦笑した。


「みんなハテナだよ」


そりゃそうだ。土を使わない。

水だけ。光をずっと当てる。

普通の農業から見れば意味不明だ。


「余計話が訳分からん状態よ」


私は頭をかいた。

だが――ここで諦めるわけにはいかない。

私は棚を指した。


「先ずは軽く葉物から」


レタス。

ほうれん草。


「成長も早いし」


結果が出やすい。

そして私は少年達に言った。


「結果をまず出す!」


百の説明より。

一つの成果。


植物がちゃんと育てば――

皆、理解するはずだ。

私は腕を組んで笑った。


「さあ」


新しい農業。

その実験が――ここから始まる。

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