表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/106

次の備え

極秘計画は静かに始まった。


村の外れに建てられた研究施設。

そこでは今、限られた技術者達だけが集まり、図面と睨み合っている。


三八式歩兵銃。

九九式軽機関。

一〇〇式機関短銃。

そしてブレダM35二〇ミリ機関砲。


さらにL6戦車。


どれも、この世界ではまだ存在しない兵器だ。


「これで時間は掛かるだろうけど武器は完成するだろ」


私は一人、執務机の前で考えていた。

同時に、胸の奥に小さな疑問も残る。


「しかし……念の為って事」


私はペンを指先で回した。

この判断は正しいのか。


それとも――間違っているのか。


「今の段階では判断はつかない」


誰かが攻めてくる確証はない。

転生者が敵にいる確証もない。

それでも。


「でも恐らくだけど」


私は窓の外を見る。


工場。鉱山。鉄道工事。


この村は、急速に発展している。


そして――


「私が開発した製品がきっと大事になる筈」


石鹸。機械。蒸気機関。通信。


便利な物は、必ず価値を生む。

価値が生まれれば――

欲しがる者も出る。


私は机を軽く叩いた。


「その大事が何処から批判やら嫌がらせが来るか」


王家か。

他の貴族か。

それとも他国か。


誰が敵になるかは分からない。

だからこそ。


「それに対抗するには武力も必要だと思うし」


私は小さく息を吐く。

武力だけでは足りない。

戦うには金が必要だ。


兵器。

兵士。

補給。


すべて金だ。


「それまでに金稼いで更に色々と開発して更に稼ぐ」


そしてさらに領地を強くする。

私は地図を広げた。


「その為には武力もそうだが」


指先が村の周囲をなぞる。


「食料自給率を上げでおかないと」


兵は飯を食う。

住民も食う。

食料が足りなければ、どんな文明も崩れる。


「この村だけ見ていちゃ不味いわね」


私は領地全体を思い浮かべる。

幸い。


「まあ領都付近は私が残した農業系も広まりつつと報告は有るけど」


改良農具。

灌漑。

肥料。


少しずつ成果は出ている。


「それ以外にも何か考えないと」


私は顔を上げた。


「文官さん」


すぐに呼び出しのベルを鳴らす。

しばらくして文官が部屋に入ってきた。


「はい、お嬢様」


私は椅子に座ったまま聞いた。


「この国で国の専売商品みたいの有る?」


文官は少し考える。


「専売ですと……」


そして答えた。


「塩ですね」


私は頷く。


「やっぱり」


文官は続ける。


「保存やらで価格の乱高下の抑制の為」


塩は重要な物資だ。

食料保存。

肉。

魚。


文明に欠かせない。


「まあ、そう言われればそうね」


私は軽く頷く。

そしてふと聞く。


「塩の造り方詳しく解る?」


文官は少し困った顔をする。


「いや……」


そして頭を下げた。


「調べて報告します」


そのまま続ける。


「他は砂糖、胡椒ですね」


私は小さく笑う。


「まあ、無難と言えば無難」


塩。

砂糖。

胡椒。


どれも食に関わる重要品だ。

私は少し考える。

そして言った。


「……そうね」


机の上の地図を見ながら続ける。


「砂糖の原料を調べておいて」


文官はすぐに頷いた。


「解りました」


部屋を出ていく。


私は一人、椅子に深く座った。


兵器。

鉄道。

通信。

食料。


やる事はまだ山ほどある。


私は小さく笑った。


「忙しいわね」


それだけ未来が広がっているという事でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ