極秘計画
極秘プロジェクトのメンバーが集められた。
場所は村から少し離れた建物。
表向きは「新型工作機開発施設」という看板が掲げられている。
中に集まったのは、領内でも特に腕の立つ技術者達だった。
鍛冶職人。
機械職人。
工作機械の操作員。
そして最近育ってきた新人技術者。
全員が円卓の周りに集まっている。
私はその前に立ち、机の上に図面を広げた。
「さて」
皆の視線がこちらに集まる。
「今日は作る物の説明をするわ」
私は最初の図面を広げる。
「三八式歩兵銃」
長い銃身。
木製の銃床。
ボルトアクション機構。
次の図面を出す。
「九九式軽機関銃」
さらに続ける。
「三八式実包」
銃弾の断面図。
薬莢。
火薬量。
弾頭。
技術者達の視線が徐々に鋭くなる。
私は止まらない。
次の紙を広げた。
「一〇〇式機関短銃」
短い銃身。
連射機構。
さらに――
「ブレダM35 20mm機銃砲」
大きな図面。
砲身。
給弾機構。
私は弾薬の図面を指す。
「20×138mmB弾」
ここで、さすがに空気が変わった。
最初は「機械部品かな?」という顔だった者達が、はっきりと理解し始める。
武装。兵器。
私は最後の図面を広げた。
一番大きな紙。
「それにL6戦車」
ざわめきが起きる。
履帯。
装甲。
砲塔。
私は図面を指しながら説明を続ける。
「ガーデンロイドの部品をなるべく共通化」
既存の機械技術を流用する。
「対空にも撃てる様に砲塔を改良した物」
私は砲塔部分を指した。
「主武装は、ブレダM35 20mm機関砲」
そして続ける。
「副武装は、九九式軽機関」
私は図面の山を軽く叩いた。
「設計図は既に完了してます」
部屋が静かになる。
呼ばれたメンバーは最初こそ「何の機械だ?」という表情だった。
――武装。
その言葉が出た瞬間。
皆が理解した。
兵器。極秘。
そして自分達が呼ばれた理由。
そもそも極秘として呼ばれたメンバー。
薄々普通では無い事は感じていたのだろう。
一人の技術者がゆっくり息を吐く。
「……なるほど」
私は皆の顔を見回す。
この兵器。
「まきちゃんにも受け入れてくれるかな?」
私は小さく呟いた。
まあ――
「いざという時に渡す可能性もあるし」
備えは必要だ。
その時だった。
一人の技術者が手を上げた。
「あの……」
私は頷く。
「はい。どーぞ」
技術者は図面を指差す。
「この一〇〇式機関短銃」
少し迷いながら続ける。
「って弾は如何するのですか?」
彼は弾薬図を見ている。
「他のと規格が違いますが」
良い質問だ。
私はあっさり答えた。
「それ弾は既に開発済みで生産も可能」
部屋が静まり返る。
「……」
技術者は一瞬黙った。
そして小さく頷く。
「……解りました」
その目は鋭くなっていた。
彼は理解したのだ。
既に弾がある。
つまり――既に発射できる物が存在する。
この場にあるかどうかは別として。
私は心の中で苦笑した。
更にピンと来て居るのね。
だがそれでいい。
全部説明する必要はない。今は。
「まあ」
私は手を叩いた。
「それで今はいいわ」
空気を切り替える。
「さて」
私は皆を見回した。
「始めるわよ」
極秘兵器開発。
その第一歩が――静かに始まった。




